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マンションを購入するためにはさまざまな手続きがありますが、そのなかのひとつが登記です。物件を内覧しに行ったり、内装や部屋のなかに設置する家具について考えたりすることに比べると、少し地味な手続きかもしれません。 しかし、登記は住宅ローンの借り入れにも関わってくることであり、その内容は知っておかなければならないことなのです。そこで、ここでは登記の基本について詳しく説明します。

そもそも不動産登記とは?

登記にまつわる事柄はすべて不動産登記法によって定められています。土地や建物などの不動産は権利関係をしっかり把握しておかなければ、さまざまなところで争いの火種になりかねません。そうならないためにも、不動産に関して権利関係をわかりやすく示しておく必要があるのです。また、そもそも権利関係を主張するためには、物件を正確に把握しておくことも大切になります。そのため、不動産登記法によって、不動産に関する表示や権利を登記しておくよう定めているのです。

不動産登記法では、不動産登記記録の記載方法や登記の手続きに関することはもちろん、添付地図の内容や登記官の役割など、登記にまつわるさまざまな内容が含まれています。不動産登記法は明治時代に始まった制度がもとになっていますが、時代の流れとともに少しずつ改正されてきました。コンピューターやインターネットの普及により、不動産登記の世界にも電子化の波が押し寄せ、2005年にはオンライン申請なども導入されています。

不動産の特定が目的の表示登記

登記の中でも表示登記と呼ばれるものは、不動産を特定することが目的です。登記記録の中でも表題部に記載される部分で、土地の一筆または建物一個ごとにそれぞれ作成されます。分譲マンションなど区分建物と呼ばれる物件の場合は、土地や戸建ての建物とは少し異なるところがあるので注意が必要です。分譲マンションの表題部は一棟の建物全体の表題部にくわえて、各区分所有建物についての表題部と権利部もあります。

表示登記は不動産の状態を表すものであるため、土地を分筆して新しい土地ができた場合や、建物を新築したときなどは、1ヶ月以内に申請しなければなりません。そのため、通常、マンションの表題登記に関しては、売り主のディベロッパーが土地家屋調査士に依頼して済ませています。

所有権の保存登記と移転登記

登記には表題部のほかに権利関係を示す権利部があり、権利部はさらに甲区と乙区に分かれています。そのうち、甲区にはその土地や建物が誰の所有であるかを示す内容が記載されます。最初の所有者がおこなうのが所有権保存登記です。

新築マンションを購入する場合は、まだ誰も所有権の登記をしていない状態であるため、誰の所有物かを明確にするためにマンション購入時にこの所有権保存登記をします。所有権保存登記をすれば、権利部の甲区には受付年月日や受付番号、所有者の住所と氏名が記載されます。

不動産は長く1人の人物が所有していることもありますが、ずっと同じ持ち主のまま続くわけでもありません。相続が発生したり、途中で中古物件として売り出されたりなど、所有者が変わることもあります。しかし、物理的に所有者が変わったとしても、なにも手続きしなければ登記上の所有者までは変更されません。

そこで、所有権が被相続人から相続人へ、または売り主から買い主に移ったときなどに、そのことを明確にするのが所有権移転登記です。所有権移転登記をすると、登記を受付した年月日や受付番号のほか、売買など所有権が移転した原因や新しい所有者の住所・氏名が記載されます。

抵当権の登記が必要

権利部の乙区には所有権以外の権利関係に関する登記が記載されます。たとえば住宅ローンを組んでマンションを購入するときには、抵当権設定登記などで、この乙区に抵当権に関する内容が記載されるのです。

マンションを購入するときに住宅ローンを組む際、本人に返済能力があるかどうかが大切なのはもちろんですが、不動産として価値のあるマンションの存在も担保として確保され、融資が実行されます。そのため、万一返済ができなくなった場合には、金融機関がマンションを差し押さえることができる権利を示しているのです。実際に差し押さえされるとマンションは競売にかけられ、金融機関は競売で得たお金で返済されなかった分を回収することになります。

マンションでは、実際に生活していると土地を所有しているという感覚がないかもしれません。しかし登記については、建物の専有部分のほか、専有部分の割合に応じて土地の持ち分である敷地権も記載されているのです。そのため、戸建ての建物と同様に土地と建物両方に対して抵当権が設定されます。

登記をするには登録免許税が必要

登記手続きをおこなうとかかる登録免許税は、国に対して納める国税です。金額を計算する税率は登記の種類によって異なっています。新築マンションを購入する際におこなう所有権保存登記と住宅ローンの抵当権設定登記の税率は0.4%です。一方、中古マンションを購入するときは、すでに持ち主がいて所有権保存登記がされているため、税率が2%の所有権移転登記をおこなうことになります。ただし、登録免許税は一定の条件を満たすと2020年3月31日まで、税率の負担が少なくなる軽減措置を受けることが可能です。

新築マンションを購入する場合、登記簿記載の床面積が50平米以上で、自宅として住む住宅であり、取得後1年以内に登記をした場合に適用されます。中古マンションの場合は、さらに一定の耐震基準を満たしているかどうかや、築25年以内かどうかなどの条件も満たしていることが必要です。軽減措置が受けられれば0.4%の所有権保存登記が0.15%に、2%の所有権移転登記が0.3%に、0.4%の住宅ローンの抵当権設定登記は0.1%になります。

マンションの登記をしないリスク

登記のうち、表題部に記載される表示登記は義務になっており、もし怠って登記の申請をせずにいると罰則を受ける可能性があります。一方で、権利部の甲区に記載される所有権保存登記や所有権移転登記は、必ず申請しなければならないという義務はありません。そのため、登記をしていない状態でも、実際に生活することに関して問題はないのです。

ただし、なんの登記もされていない状態では、もし所有権に関してトラブルが発生したときに所有権の特定ができず、不動産の権利を主張することもできないリスクがあります。また、登記をしない場合、現実にはマンションを購入して住んでいたとしても、登記簿の上では所有者になっていないということです。そのため、金融機関でマンションを担保にして融資を受けるということもできないというデメリットもあります。

マンションの登記は自分で? 専門家に依頼?

マンションを購入した際の登記手続きは、購入者自身ですることが可能です。自分でできれば、司法書士などの専門家に支払う報酬を節約することができるでしょう。しかし、実際に登記をするとなると、対象となる不動産に関する正確な情報が必要になります。たとえば、表題部の表示登記には土地ならば地番や地積、マンションなら構造や床面積などを把握していなければなりません。中古物件の場合は、詳しい情報を確認するために、不動産に関する重要な書類を売り主から預からなければいけないこともあります。

しかし最近は自分で登記をおこなう人も増えており、手続きの流れを教えてくれるホームページも増えてきています。もちろん難しい事ことも多いですが、費用を節約したい人や、事務関係の得意な人は一度調べてみるのもよいでしょう。注意点としては、新築マンションを購入する場合はマンションのディベロッパーが一連の登記を一括して司法書士などに委託する場合が多いため、自分で手続きすることが不可能な場合が多いことです。

また、住宅ローンを利用してマンションを購入する場合は、抵当権設定登記だけは金融機関のルールとして司法書士への委任が必須の場合も多いです。 こういった制約がないときや、中古マンションを購入する場合は自分で登記をおこなうことが可能ですが、自分で登記を行った場合はかなりの費用削減ができるというメリットがある一方で、思いがけず手間がかかったり、書類不備のために住宅ローンの手続が間に合わなかったりなど、トラブルに繋がる場合もあるので注意が必要です。

登記のポイントをおさえて円滑なマンション購入を!

マンションを購入する際は所有者であることを示しておくために登記が必要です。もし、登記をしていなければ後々トラブルを抱えてしまうことにもなりかねません。登記の申請自体は自らおこなうことも可能ですが、実際にはなかなか難しいものです。マンション購入にまつわる手続きを円滑に進めるためには、自分でするよりも専門家に任せたほうが安心できます。

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