【助成金制度も】親との近居を決めた判断基準は?

共働き家庭や親の高齢化をきっかけに、同居を考える人も少なくないもの。ここ最近では、近居の形態をとるケースも増えてきている印象です。実際の体験談と、近居を決めた判断のポイントを伺いました。

近居が増えてきているワケ

近居にあたる定義は明確ではありませんが、行き来しやすく、何かあったときにも対応できる距離に祖父母と親子の住まいがあることを指します。ライフスタイルの相違やすでに住居を購入している場合など、同居に踏み切れない世帯にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

近居を決めた判断基準とは

昨今、近居を選択する人がだんだんと増えてきている印象ですが、どのような理由から決断したのでしょうか。実際に近居を決めた人に、判断基準を教えてもらいました。

助成金があることを知ったため

助成金の存在をきっかけに検討を開始する人も。

「親がどんどん年をとって、離れて暮らすのは少し心配だなと思っていました。このままでいいのか、それとも同居するのか……と夫婦で話していたときに、近居でも助成金が出ることを知って。親としても同居はなかなか踏み切れないようだったので、助成金があるなら、と近くに引っ越しをすることに決めました」

近くに住むとなると、引っ越し費用が発生し、金銭的に負担にもなります。とくに都内近郊では、賃貸住宅の家賃相場が高くて決断できない家庭もあるかもしれません。自治体によっては、助成金があるので活用しない手はないでしょう。

たとえば、神奈川県厚木市の「親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金制度」では、親世帯との同居や近居によって市外から子世帯が引っ越す際、近居で40万円(同居の場合は60万円)の補助があります。

(出典:親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金

今後の人口減少や福祉や教育の充実のために、さまざまな自治体で同居や近居を促す動きが出ています。助成金が近居の後押しとなることも多くあるよう。住まいとなる各自治体の制度をチェックしておきましょう。

親の定年退職を機に

「父親の定年を迎えたことによって、住む場所が比較的自由になったことがきっかけでした。我が家は4人家族で、両親と一緒に住むとなると住居が限られてくるため、同居の選択肢は元々ナシ。両親としては住み慣れた家を離れることに抵抗があったようですが、仕事をやめて時間にゆとりができたことで、新しい場所で生活を始めてみるのも悪くないと思ったようです」

両親もしくは自分たちがこれまで住んできた場所を離れなければなりません。そうなると、通勤や通学の支障が出るケースも。定年退職したことによって、近居の選択を取ることができたという声もありました。

職場の制約がなくなることで、近居を検討しやすくなる場合もあるようです。

同居へのステップとして

「ゆくゆくは同居を視野に入れていますが、いきなり一緒に住み始めるとお互いストレスも多いかと。そこで、最初は近くに住んで様子を見ながら、同居について考えていくことになりました」

日々の生活をサポートしあえたり、金銭的にも負担が減ったりと、同居によって受けるメリットも多くあるもの。その一方で、同じ場所に住むとなるとストレスを感じる場合もあります。同居するまでの第一ステップとして近居という形態を取るのは、後々のことを考えるとスムーズといえそうです。

ある程度近くにいた方が何かと便利だから

「近居を決めた大きな理由はありませんが、引っ越しを考えていたときに『両親と近い方が何かと便利だろう』と判断しました。徒歩圏内ではなく、電車で数駅ほど離れているので過度にお互い干渉しすぎることもありません。共働きのため、子どもの面倒を見てもらったり、親の体調が優れないときにサポートしにいったりと、困ったときに助け合える距離にいるというのはよかったと感じています」

どの程度近くに住んでいるかによっても状況は変わってきそうですね。距離が近ければ近いほど、日常生活のサポートもしやすいですが、ストレスや不満を感じやすくなる恐れも。ある程度一定の距離をとることも考えておきたいポイントです。

育休明けに職場復帰するから

「保育園に預けているときに子どもの具合が悪くなったら、仕事を途中で切り上げて早退しなくてはなりません。夫婦どちらかが仕事の都合をつけるのは、結構大変だと思います。そこで、職場復帰をきっかけに、両親に近くへ引っ越してきてもらいました。孫の面倒も見られるといって、両親もうれしいようです」

小さいお子さんがいる共働き家庭は、仕事と子育ての両立に悩むことも少なくありません。近居によって親のサポートを受けやすくなります。ただし、実家が近い場合、ほとんどの区において認可保育園の選考基準で不利になるので要注意。住まいによって選考基準は異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

近居によって想定されるトラブルも

どんなことにもメリットとデメリットがあります。近居の場合も同じですね。

近居は同居よりも気軽で心理的な負担も少なく、いいとこ取りの印象があります。しかし、近居によって問題が出てきてしまったケースもあるよう。

片方の親とのコミュニケーションが取りにくくなった

夫婦どちらかの親と近くに住むと、片方の親と会う機会やコミュニケーションの量が少なくなったりするケースもあるようです。

価値観の相違が浮き彫りに

これまではとくに気にならなかった価値観の相違が見えてくるようになり、ストレスに感じる場合も。前述のように、近居でも少し一定の距離がある場所に住むことで解消されるかもしれません。

会っていないときも常に気にするように

別の場所で生活していたとしても、どうしてもお互いの存在が気になってくるものです。友人と遊びに行ったりする機会が減るなど、自分自身の自由な時間をつくりにくいと感じてしまうこともあるよう。

近居はメリットが多いもの。しかし、検討する場合は、よくよく考えて判断することが重要です。まずはきちんと家族で話し合って、将来的にどうするかを含めて答えを出すようにしたいですね。

 

(最終更新日:2019.10.05)
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