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2014年から始まったNISA。2019年12月末時点でのNISA口座数は約1,247万口座、買い付け額も15兆円を突破し、メリットのある投資ツールとして広く普及されています。非課税で運用できるのであれば損はないと感じるため、見過ごされがちですが注意点もあります。今回はNISAの注意すべき点をチェックします。

口座開設は一人一口座、変更は煩雑

参考:金融庁ホームページ

口座を開設する際にはあまり気にはならないものの、運用を始めてから案外ネックとなるのが一人一口座しか開設できないという点です。

もちろん、1年ごとに金融機関を変えることはできますが、変更できる期間が決まっており、金融機関から書類を取り寄せて手続きをする、というのは、かなり大変で面倒なものです。

金融機関変更の手続き期限は、10月1日から翌年の9月30日まで。例えば2020年初から別の金融機関ですぐに投資を始めようと思えば、「2019年10月1日以降年内に」手続きを完了させる必要があるのです。実は私も早めに手続きをしようと10月1日より前に書類をもらおうと金融機関に電話をしたところ、まだ書類が用意できていません、などと断られ、かなり面倒な思いをした経験があります。

手続きの流れとしては、

今利用している金融機関から「金融商品取引業者等変更届出書」をもらい提出。

同時に「非課税管理勘定廃止通知書」を発行。

新しく使いたい金融機関に「非課税口座開設届出書」と「非課税管理勘定廃止通知書」を提出。

といった流れとなります。
 
また、年単位での変更、というのもネックとなります。仮に投資枠に余裕があって、他の金融機関の商品を購入したい、と思っても翌年まで待たなければならない点にも要注意ですね。安易にあとで変更すればいいや、というのではなく、あらかじめ商品ラインナップや商品の手数料などをしっかりチェックしたうえでしっかり金融機関を選択しましょう。

他の口座との損益通算ができない

参考:金融庁ホームページ

投資をするのはNISA口座のみ、というのであれば問題ありませんが、複数の口座で投資商品を購入する場合、NISA口座で損益が出た損失を他の口座の利益と損益通算ができない点、翌年に損失を繰り越して翌年の利益と相殺する「損失の繰り越し控除」も利用することはできない点にも注意が必要です。

損益通算ができないことで、本来払う必要がなかった税金を支払わなければならない、となるとせっかく非課税で運用できても本末転倒になってしまいます。NISA口座を投資全体の中でどう位置付けるかを考えておく必要もありますね。

同一金融機関でしかロールオーバーできない

NISA口座で非課税期間が終了した場合の対応のひとつとして、投資を続けて「非課税期間が終了する翌年の非課税投資枠にロールオーバーする」という考え方があります。

例えば、2017年初にNISA口座で120万円の投資を始めて5年経過後、「今は損しているのでもう少し非課税で運用を続けたい」あるいは「もう少し利益が出るまで非課税で運用を続けたい」という場合、そのままNISA口座を継続していれば、2022年からの非課税期間にロールオーバーすることができます。

ただし、ロールオーバーできるのは同一金融機関のみです。金融機関を変更している場合には、ロールオーバーはできず、課税口座に移すか、売却しなければならないので要注意です。金融機関の変更をする場合には、将来、ロールオーバーする可能性も考慮して
置く必要がありますね。

ちなみにNISA口座での「5年」とは購入してからちょうど5年後というわけではなく年度末で考えます。したがって年初に購入したものは非課税期間が5年間丸々ありますが、年末に購入したものは4年しかありません。あわせて注意しておきましょう。

ロールオーバーした金額は新たな投資額としてカウントされる

参考:金融庁ホームページ

ロールオーバーした評価額は新規購入額としてカウントされるため、ロールオーバーした金額が非課税枠の120万円以上の場合、当然、その年には新たに投資できる金額はない、ということとなります。

なお、現時点では、NISA制度が活用できるのは2023年までの投資についてです。2023年中に購入した金融商品については2027年まで非課税で保有することができますが、仮に2014年に購入した投資信託等を2019年の非課税投資枠にロールオーバーできても、2024年には非課税投資枠はないためもうロールオーバーを行うことはできません。非課税終了時の取り扱いについても考えておきましょう。

損が出ているのに税金を払わなければならないケースも

最大のデメリットは、非課税期間終了時に課税口座に移した際、損失がでているケースです。

例えば、120万円の非課税枠を使って購入した投資信託が、課税口座に移管した際に100万円に目減りしていたとします。

この場合、課税口座で新規に100万円で購入したと扱われることとなります。もし、この後、値上がりして110万円で売却した場合、10万円分の収益に対して課税され、損失が出ているにもかかわらず、税金を支払わなければならないわけです。

非課税期間終了時点での相場環境をあらかじめ予測するのは不可能ですので、非課税期間終了時にどう対応するのが、定期的に運用の状況を確認しつつ、考えておくことも大切ですね。

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