マンション高層階の住み心地は? 快適さの裏に潜むリスク

マンションの高層階に住むと、それまでは味わえなかった眺めや空気感などが日常になります。特に、建物が密集している都心部などは、高層階に住むメリットはより感じやすいといえるでしょう。一方で、周りの環境や高い場所であるための制約やリスクもありますので、契約前に十分に検討することが必要です。この記事では、10階以上のマンション高層階の物件を購入する、あるいは住む際に考えるべき問題について解説していきます。

高層マンションって何階建てから? その定義は?

よく「高層マンション」と言われますが、建築基準法上では高層マンションの明確な定義はなく、高さ60メートルを超える建築物に構造耐力上異なる基準を設けているにとどまります。一方で消防法や電波法においては、高さ31メートルを超える建築物を「高層建築物」と定義しています。

建築物というものは、高くなればなるほど相応の安全性が求められます。

たとえば、31メートルを超える建築物は火事になってもはしご車が届かなくなる可能性があるため、建築基準法第34条2項にて非常用エレベーターの設置が義務付けられています。さらに、6階以上のマンションには、原則として地上に出られる直通階段を2つ以上設けることが義務付けられています。このような事情から、一般的には6階以上の建物が高層住宅と呼ばれることが多いです。また、これらの法的基準をクリアするためのコストや敷地条件から、日本の「高層マンション」は10階建て前後のものが多くなっています。

高層階の住み心地は?

10階以上の高層マンション住むとなると、どちらかというと低層階や中層階より高層階に住みたいと思われる方のほうが多いのではないでしょうか。では、実際の高層階の住み心地はどうなのでしょうか。

まず、「日当たりが良い」ことは高層階の一番のメリットです。特に、都心部の高い建物が密集している地域などは、高層階の恩恵は大きいです。日当たりが悪いと洗濯物が乾きにくかったり、日中でも電気を点けなければならなかったりと不便を感じてしまうでしょう。これらの心配をせずに済むのは、高層階のメリットといえます。

また、眺望の良さも高層階に住む魅力です。

圧巻の眺望は疲れも癒してくれるかもしれません

夜景をじっくり味わうなどの楽しみが生まれ、日常に癒しと贅沢感が加わるでしょう。加えて、高層階のほうが低層階と比べるとプライバシー性や防犯性、さらには外部からの音の遮断性にも優れているといえます。

さらに、高層階は風通しもよく、虫が少ないという点もメリットとして挙げられるでしょう。夏場の蚊やハエ、蛾などの害虫に悩まされている人にとっては、特に魅力的に映るのではないでしょうか。

マンションの高層階の価格は?

同じマンション内でも、どの部屋に住むかで価格が異なることは珍しくありません。

マンションの価格を左右するものは、広さ、方角、間取りなど、いろいろとあります。階数もそのなかの1つで、一般的には階数が高くなるほどマンションの価格は高くなる傾向があります。先に述べた高層階のメリットなどに魅力を感じる人は多く、高層階は低層階より人気があるからです。新築マンションの分譲時でも、多くのデベロッパーは人気のある高層階と低層階で価格設定を変えています。最上階となると、さらに価格は高くなりがちです。

一般的には階数以外の条件が同じ場合、階数が1階違うごとに1~2%の価格の差があるともいわれます

また、高層階は中古マンション市場でも人気なため、低層階と比べると資産価値を維持しやすく、将来売却する際などは有利に働きやすいともいえます。

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高層階に住むデメリットは何があるの?

高層階の住戸に住むデメリットは何が考えられるのでしょうか。

1つは緊急時の避難経路の確保です。高層階はどうしても、1、2階の低層階と比べると避難に時間を要します。日常生活においても、マンションの外に出るまで時間が掛かることはストレスになってしまうかもしれません。マンション総戸数に対して十分なエレベーターが備わっていないマンションの場合、思った以上にエレベーターの待ち時間が長くなってしまうことはよくあることです。

また、先にメリットとして挙げた風通しや日当たりのよさなども、風が強すぎて窓を開けられなかったり、夏場は部屋が暑くったりするなど、デメリットになってしまう場合も考えられます。

ちょっと気になる高層階症候群

マンションの高層階に住むなら知っておきたいのが「高層階症候群」です。これは、高い場所に住み続けることで、めまいや耳鳴り、不眠などの症状が起こり、肉体的に問題が生じることを指します。年齢、性別などに関係なく発症するため、すべての人が注意すべき症状です。高層階症候群には気圧や免震構造が関係しているとされています。高層の建物では地震時の力を揺れによって吸収する構造があり、高層階は揺れを感じやすくなっていることが原因ともいわれます。

また、高層階でこれまでの低層階との生活環境が大きく変わる場合、環境の変化に体がついていかないとの説もあります。高層階症候群はすべての人がかかるわけではないものの、あらかじめその存在は知っておくべきでしょう。

高層階のマンションが向いている人とは?

マンションの高層階に住む上で、メリットもデメリットもありますので、本当に高層階でないといけないかは慎重に検討しましょう。

眺望や日当たりを重視する人には、高層階のマンションはおすすめといえるでしょう。毎日の目に入る開放感のある眺めは何物にも代えがたいものがあります。しかしその一方で、マンションの出入りにかかる時間やエレベーターの待ち時間など、日々の生活における不便を感じる部分もあることは覚悟しておきましょう。価格的にも低層より高く設定されていますので、そういったデメリット以上に高層階での生活を重視したい人に向いているといえます。

また、将来の住み替え、売却などを予定している人にも資産性のある高層階はおすすめと言えます。ただし、マンションの価格、資産価値を左右する要素は、階数以外にもありますので、そういった条件含め総合的に判断しましょう。

リスクも考慮して購入の検討を!

マンションの高層階購入を検討する際には、高層階におけるメリットとデメリットをしっかりと踏まえて判断をすることが大切です。高層階のメリット、デメリットの各要素を、どこまで重視するかは人それぞれです。一定以上の日当たりが確保されていれば、眺望は特に必要ないという方もいるでしょう。通勤や買い物時のエレベーターの待ち時間が苦にならない人もいれば、我慢できないという人もいます。

せっかく高層階を購入したのに、実際に住んでみたら自分にはあまり高層階のメリットを感じられなかった、ということのないようにしましょう。

(最終更新日:2024.04.19)
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