人気の習い事として定番のピアノですが、熱心に練習していると思った以上に周囲に音が響いていることもあります。特に都市部では一戸建てではなくマンション住まいの人も多いことでしょう。この記事では、集合住宅でピアノの演奏をしても大丈夫なのか、またマンションで存分に楽器の演奏をするために気をつけておきたいポイントについて解説します。

楽器演奏の可否は管理規約で確認

集合住宅であるマンションの場合、リビングなどの専有部分である室内で演奏するから自由に好きなときに演奏できるというわけではありません。マンションでの楽器演奏に関するルールは、必ず管理規約で確認しておきましょう。確認のポイントとしては、次の2つです。まず、演奏可能な楽器の種類です。特に明記されていない場合もありますが、特定されている場合はそれ以外の楽器は演奏できません。そして確認すべきなのが演奏可能な時間帯です。

特に禁止されることが多いのは、朝8時以前の早朝や午後9時以降の夜などです。仮に規約で可となっていても、音量が大きすぎないか、迷惑な時間ではないかなど、近隣への配慮は必要です。手に持って演奏するバイオリンやトランペットなどと比べると、ピアノは床に面しているぶん、床からの振動で音が近隣に響きやすくなっています。また直接床に面していなくても、トランペットやバイオリンなども窓や壁を伝って隣へ音が届いてしまいますので、ピアノと同様に配慮は欠かせません。

ピアノを演奏したい人のための防音対策

近隣への音漏れが気になるといっても、練習なしではピアノは上達しません。特に上手に弾けない部分を何度も練習する必要がありますし、激しく弾かなければならない曲もあります。近隣を気にすることなく思い切り演奏したい人のためにおすすめなのか、電子ピアノです。電子ピアノの場合は一般的なアップライトピアノなどと比べると音量の調節がしやすく、さらにヘッドホンを使えば完全に音を遮断することができます。アップライトピアノの場合でも、消音装置を後付けできますし、ピアノの下に防振マットを敷くことでも床からの音の伝わりを軽減できるでしょう。

あるいは、防音室を作ってしまうという方法もあります。防音室といっても大掛かりな工事をする必要はありません。ユニットタイプの簡易防音室を作ることも可能です。あるいは、ホームセンターなどで防音性の高い壁紙を買ってきて貼ったり、床に吸音材を敷いたりするなどして自分で防音対策を行う方法もあります。防音室を作るよりもずっと費用を抑えることができ、工事の音で迷惑になるということもありません。自分で防音室を整える際には、楽器の性質と音の伝わり方を知っておくことが大切です。特に、空気の層を厚くすることが防音対策になることを踏まえたうえで、効果の高い防音室を作りましょう。

近隣トラブル対策その1:階下への対策

ピアノの場合、特に音が響きやすいのが階下です。なぜならば、ピアノは指で鍵盤を叩き弾く事により音を出す打弦楽器であり、鍵盤を叩いた打音が必ず床に伝わってしまう構造になっているためです。階下に対しては、床の防音が重要となりますので、衝撃や振動を和らげる素材を床に敷いて防音対策を図っていきましょう。具体的には、振動対策マットや防音タイルカーペット、遮音材のカーペットなどを敷くことなどが挙げられます。こういった素材はホームセンターなどで比較的リーズナブルな値段で売られており、入手も簡単です。

また、1枚ではなく複数の素材を重ねて敷くことで空気の層が厚くなり、音が響きにくくなります。振動対策マットは固いものが多いため、順番としては振動マットの上にタイルカーペットを敷くとより快適です。それでもピアノを弾き始めた直後は、階下の住人に会った際にピアノの音がうるさくないかどうか確認しておくのがマナーです。くわえて、平日の夕方までや休日も午後など音が万一漏れていても比較的気にならない時間帯に弾くように配慮することでトラブルが起こりにくくなります。

近隣トラブル対策その2:壁の対策

ピアノの音は床と壁に向かいます。床に加えて、壁への遮音や吸音対策をすることがピアノの防音対策を行ううえで大事なポイントです。まず、ピアノは壁にくっつけないように設置し、さらに隣の部屋への対策として、防音壁や吸音パネルなどを用意しましょう。防音壁とは、鉄材の遮音シートをグラスウールで挟む構造になっており、音を防ぐ効果が高いものです。ワンタッチで設置できる防音壁も市販されており、設置したい壁の高さや幅を測るだけで自分の手で防音対策が行えます。1枚の板になっているので比較的設置がしやすいほか、既存の壁を傷つける心配もありません。

ただし鉄材を使用しているため重たいので、足の上に落としてしまわないように設置の際には注意して作業を進める必要があります。できるだけ、大人2人以上で行うのが理想的です。重さのある家具の後ろに立てかけたり、突っ張り棒などで壁に固定したりして設置を行いましょう。万が一地震などの際にも落ちてこないように、壁に固定する際には専用の接続部品を使ってしっかりと設置することが大事です。一方、吸音パネルは音を吸うことは可能ですが、遮音効果はありません。ピアノのように音が響きやすい楽器の場合は、吸音パネルではなく遮音効果の高い防音壁を設置するほうが良いでしょう。

すぐできる防音対策として家具の活用は有効です

簡単な壁の防音対策としては、楽器を演奏する部屋に本棚やタンスを設置し、隣との間にもう一層の壁を作ることで、簡易的な防音対策になります。中身の入った本棚やタンスを置くことで音を吸収、遮断する効果があるので、防音効果が期待できるのです。

近隣トラブル対策その3:窓の対策

窓は壁より薄く、音が漏れやすい場所ですので、近隣とのトラブルを防止するためには窓の対策も行っておく必要があります。窓の対策としては、2重サッシや防音壁のはめ込み、防音カーテンなどが比較的簡単に行える方法です。高い防音効果を期待できるのは、今ある窓を二重サッシにする方法です。空気層ができるので防音効果が高く、さらに家の断熱効果も生まれます。もちろんきちんと光も入ってきます。工事自体もその日のうちに行え、工事時間も短く済む場合が多いでしょう。窓に効果的な防音対策を行いたい場合、この二重サッシにする方法はメリットが多いのでおすすめです。

次に効果を期待できるのが防音壁のはめ込みです。吸音や遮音効果のある板をはめ込むことで防音になります。しかし、きちんと窓のサイズに合ったものでないと効果が十分に発揮されません。また、窓を板で覆う形になるので、光が入らなくなり室内が暗くなり閉塞感も出てしまいます。最後に、防音カーテンに変えるという方法ですが、ピアノの場合はカーテンだけで音を防ぐのは難しいと言えるでしょう。加えて、防音カーテンは効果が高いものは重たく厚い素材になっていることが多く、部屋に圧迫感や閉塞感が出てしまうこともあります。そのため窓の防音対策としては、まず二重サッシを検討し、そのうえで補助的に防音カーテンに変えるのが良いでしょう。

周囲への気遣いで楽器の演奏を楽しもう

マンションでピアノなどの楽器を演奏する場合は、まず近隣への音漏れを最小化できるように細心の注意を払いましょう。マンションで起きやすいトラブルの代表例が騒音に関するトラブルです。しかし、音に関するトラブルは主観的な問題として管理会社があいだに入ってくれないケースも少なくありません。せいぜいロビーや廊下などの共有スペースに注意喚起の貼り紙が行われる程度で終わってしまう場合もあります。貼り紙の注意喚起の内容が自分を指摘しているものではないかなど思い当たる場合は、ピアノの音への対策は十分か再検証するようにしましょう。

苦情の声が上がっていることに気づかずに演奏を続けることで、我慢が続いて限界に達した近隣住民が怒鳴りこんで来てしまっては大変です。マンションの場合は普段の生活に加えて総会などでほかの住民と顔を合わせる機会も多いため、一度トラブルになってしまうと気まずくなってしまいます。ここで述べたように、ピアノの音に関しては自分で安価に行える対策も増えていますので、トラブルにならないように工夫をしたうえで、存分に演奏を楽しみましょう。

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この記事の執筆者
秋津 智幸 ファイナンシャル・プランナー

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ファイナンシャル・プランニング技能士2級、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
住宅供給公社、不動産投資専門の仲介会社などを経て、不動産コンサルタントとして独立。不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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