マンションはなぜ夜になっても暑い? 特有の構造と3つの対策

マンション暮らしは夏が暑くて大変、夜になってもエアコンなしでは暑さが引かないという話を聞くことがあります。特に、最上階や西向きの部屋に住んでいる人からこのような話を聞くことが多いようです。そうした話を聞くと、マンションを購入する際や住む際に、どのようなことに注意したらよいか気になるかもしれません。そこで、なぜマンションは室温が高くなってしまうのか、暑い夏を乗り切るためにはどのような対策があるのかなどを紹介します。

マンションが暑くなる原因

そもそも、なぜ夏のマンションの室内は暑くなってしまうのでしょうか。主な理由はマンションの構造による断熱性、日当たり、窓、ライフスタイルの4つです。

マンションの多くは鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造という構造で造られています。これらの一般的なコンクリート造の建物は、木造に比べて気密性が高く、断熱性にも優れているため、一度室内に熱が蓄積されるとその熱が逃げにくく、夏になるとどうしても室内の温度が高くなる傾向があります。

また、コンクリート自体も熱を伝えやすい特性を持つため、壁面に断熱材などを使用していないコンクリート打ちっぱなしの仕上げのマンションでは、夏は暑く、冬は寒いということになり、室内の熱環境については快適とはいえなくなることがあるので、注意が必要です。一方、戸建てによくある木造の建物は、通気性が高く、熱が逃げやすい特徴をもった住居といえます。

暑さの原因となる2つ目の原因は日光です。日当たりが良い部屋ほど室温が高くなります。特に、熱が逃げにくい、あるいは貯めやすい部屋だとより室内の温度は高くなります。たとえば、夏の日差しの強い西向きの部屋は夕方ごろに室内温度が上がり、夜になっても熱が逃げないので、夜間家にいる間でも暑いと感じてしまいます。また最上階の部屋も、日差しが当たり続ける屋上からの熱が伝わり、夏は室内が暑くなります。そのほか、南向きの中住戸と呼ばれる住宅と住宅に挟まれた位置にある住戸も、照り付ける日差しの熱が逃げにくいため、室内が暑くなりやすいといえます。

窓が部屋に一つだと、家電から出た熱がこもりやすくなってしまいます

3つ目は窓の配置です。マンションの各部屋に窓が1つしかなかったり、1つの方角にしかなかったりという場合、空気の流れがつくりにくく、換気しにくくなります。そのため、室内に熱がこもってしまいやすい部屋といえます。

4つ目の要因は、室内で使っている電化製品です。意外かもしれませんが、電化製品が発する熱もバカになりません。たとえば、照明は熱が出やすいですし、旧型の大型テレビやパソコンなどからも熱が発生します。マンションは室内で発生した熱がこもりやすいので、一度に利用する家電製品が多いと、特に夏は室内が暑く感じてしまいます。

マンションの最上階はとくに注意!

マンションの最上階は眺望が良いことに加え、上階の居住者の生活音などを気にする必要もないことから、最上階を好む人も多いようです。しかし、最上階は室内の暑さという面では注意が必要です。

最上階は屋上からの熱がゆっくりと伝わってくるため、築年の古いマンションでは特に注意

最上階の上は、マンションの屋上であるため、屋上に照り付けた熱気が階下の部屋に比べてゆっくりと室内に伝わってくるため、熱がこもりやすくなります。マンションの屋上はコンクリートでできており、日光の熱を蓄熱しやすいのが特徴です。そのため、日中だけでなく日が落ちた後も室内に熱が伝わってくるのです。

築年の古いマンションでは特に注意が必要です。当時の断熱性は現在と比較すると不十分なことが多く、低層階と比べると平均して2度ほども室温が高くなるところもあるといわれています。ただし、最上階は風通しが良い物件も多く、低層階よりも風通しが良いというメリットを生かして上手に換気をすれば、快適に暮らしやすくなります。また、最近のマンションは、建物全体の外側を断熱材で包みこむことで断熱性を高めた「外断熱」という構造を採用しているケースもあります。このような物件では外気の影響を受けにくく、最上階でも快適に過ごしやすいのが特徴です。

マンションの暑さ対策1…積極的に換気する

ここからは、マンションの暑さ対策を具体的に紹介していきます。

まず上手に活用したいのが、サーキュレーターや扇風機、換気扇を使った換気です。暑いときはすぐにエアコンを使いたくなりますが、まず室内の窓をすべて開けて室内にこもった熱気を排出した後にエアコンをつけるようにします。また、エアコンとサーキュレーターや扇風機を併用したほうが早く室温を下げることができます。 サーキュレーターは直線的な風の流れを作り出せるため、扇風機に比べて外に室内の熱気を出しやすいのが特徴です。サーキュレーターは後ろから空気を取り込んで前方に出します。そのため、窓の外に向けて稼働させることで熱気を外に排出できます。

もし、サーキュレーターがない場合には、扇風機でも効果が期待できるでしょう。室内に窓が1つしかないような場合でも、窓を開けて換気扇を動作させることで、空気の流れが生まれて換気しやすくなります。浴室やキッチンなどの換気扇も活用しましょう。離れたところにある換気扇ではあまり効果がないと思えるかもしれませんが、室内の空気が外に排出され、窓から新たな空気が入ってくることには変わりありません。帰宅直後など室温が高い際には、複数の換気扇を使うことによって、室温より温度の低い外気をより早く取り込めます。

マンションの暑さ対策2…日光を遮る

遮光カーテンを使って日光を室内に入れないようにするのが有効

暑さ対策の2つ目は日光を遮ることです。マンションの場合は基本的に窓を改修することができません。そのため簡単にできる暑さ対策方法として、遮光カーテンを使って日光を室内に入れないようにするのが有効です。遮光カーテンのほかにも、遮熱・断熱フィルムを貼るという方法も手軽で効果があります。西日など強い日差しを弱めてくれるうえ、工事も必要ありません。

また、すだれを使って直射日光を和らげるのも良い方法で、日差しが入り込むマンションの室温を下げるのに効果的です。すだれには隙間があるため、窓から風が入ってくるのを完全に防がないのが特徴です。適度に空気の流れが維持できるメリットもあるので活用してみましょう。さらに、すだれに霧吹きなどで水をかけておくと、通過した風の温度がより下がります。遮光カーテンや遮熱・断熱フィルム、すだれなどは電気を使わない対策です。光熱費を節約できるメリットもあるので、上手に取り入れたい暑さ対策といえます。

マンションの暑さ対策3…ベランダにも暑さ対策をする

ベランダのコンクリートから直射日光が照り返すことで、室内が暑くなることもあります。この対策としては、窓の上部からサンシェードで覆うことがとても効果的です。完全に日差しをカットしないため、部屋が暗くなりすぎることもなく、ベランダの照り返しの熱を防げます。

ほかの方法としては、グリーンカーテンがあります。マンションの場合はプランターなどでゴーヤやアサガオなど、つる植物を育ててグリーンカーテンにする方法が一般的です。ただし、この方法はあまり育ちすぎるとほかの住人の迷惑になることもあるので、適度に育てるよう配慮が必要です。
また、より手軽な方法は、観葉植物などを置くことです。一般的にはハーブや常緑多年草、常緑低木などが適しているとされます。ただし、ベランダは避難路しての役割があるため、あまり大きな植物を植えたり、置いたりすることは基本的に禁じられていますので、通路を塞がない程度に配置することが必要です。緑は見た目も涼しげな印象があるため、実際以上の効果を感じる人も多いようです。

また、ベランダの床に熱や光を反射しにくい素材のものを敷くという方法もあります。コンクリートに比べ、天然素材であるウッドデッキは熱を吸収し、照り付ける日差しを和らげる効果が期待できます。また、人工芝なども同様の効果があります。炎天下に照り返しがきついベランダでは、このような対策も有効です。

上手に工夫して暑い夏を乗り切ろう!

西向きの部屋や最上階など、同じマンションの中でも熱がこもりやすい部屋は存在します。デザイン性が高いことで人気がある打ちっぱなしのコンクリートなどは、室内の温度が上昇しやすいため、マンション選びの際には注意が必要です。
また、築年数が古いマンションは、断熱性があまり高くないこともあり得ます。マンションの部屋の位置によっては、熱がよりこもりやすい部屋であっても、換気や日差しを遮るなどを工夫すれば、室温を上手にコントロールすることができます。室内の温度が高いときにはまず換気を心掛け、上手にサーキュレーターなどの機器を使ってエアコンの効果を上げることもポイントになります。室内だけでなく、ベランダなど室外にも工夫するなどして暑い夏を乗り切りましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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