集合住宅であるマンションを購入した場合、中には駐車場を専有のものとして住宅部分と同時に分譲しているものもありますが、一般的には共有部分の一部として賃貸形式になっているケースがほとんどです。共有部分はマンションの管理組合が管理・運用をおこなうため、その駐車場を利用して自動車を保有したいなら「車庫証明書」の取得が必要になります。取得手続き自体は難しいものではないので、この機会に覚えておきましょう。

マンションの駐車場管理は2つの方式がある

車庫証明書の取得方法を紹介する前に、まず分譲マンションにおける駐車場の利用形式を知っておかなければなりません。マンションの駐車場形式には、「賃貸方式」と「分譲方式」という2種類があります。

賃貸方式

賃貸方式は、駐車場をマンションの区分所有者全員で所有する共有部分として、マンションの管理組合が管理と運用をおこなうスタイルです。区分所有者から住宅を借りて住む人も居住者として駐車場を利用することができます。こうした賃借人を含むマンションの居住者は管理組合から駐車場を借りることになるため、毎月一定の駐車場代を支払います。

分譲方式

一方で分譲方式は、「共有部分である駐車場の専用使用権を購入するタイプ」と、「駐車場も区分所有権として購入するタイプ」があります。いずれのタイプも住宅と同じように駐車場も区分所有者個人が購入し、自身の専用使用部分あるいは所有物とするスタイルです。このため毎月の駐車場代はかかりません。

ただし、とくに区分所有する場合は、所有財産と見なされるため固定資産税がかかります。さらに、共有部分の持ち分比率が上がるため、修繕積立金や管理費などの金銭的負担が増える可能性もあります。

どちらの形式かはマンションによって異なりますが、駐車場を個人で購入するメリットがあまりなく問題も多いことから、最近は賃貸形式を採用しているマンションが一般的です。

車庫証明取得の第一歩はマンションの管理会社への問い合わせから

駐車場の利用が賃貸形式になっているマンションの場合、駐車場を管理するマンションの管理組合とマンションの居住者との間で駐車場の使用契約を交わす必要があります

駐車場を使用したい場合は、まずマンションの管理組合に連絡しなければなりません。マンションに管理人が常駐しているようであれば管理人を通して、あるいはマンションの管理を受託している管理会社経由で管理組合に連絡することができます。

車庫証明書を取得するには、管理組合から「自動車保管場所使用承諾(証明)書」を発行してもらう必要があります。保管場所使用承諾書は車庫証明書を取得する際に必要な書類のひとつであり、管理組合の理事長や管理会社などの押印が必要になります。

マンションによって「自動車保管場所使用承諾(証明)書」の申請手続きや流れが異なるため、まずは管理会社に問い合わせたほうがよいでしょう。

そもそも車庫証明とは?

引越しで車庫が変わる場合などには必ず車庫証明書が必要になります

車庫証明書とは正式名称を「自動車保管場所証明書」といい、所有する自動車を保管する場所が確保できていることを証明するための書類で、警察署が発行します。新車や中古車を購入したとき、または譲り受けたときなどで所有者の変更があった場合や、引越しで車庫が変わる場合などには必ず車庫証明書が必要になります。

車庫証明書が必要とされる理由は、車庫を確保できていない状態で車を手に入れ、路上に違法駐車するなどして周囲に多大な迷惑をかけることを防ぐためです。道路の通行をスムーズかつ安全にするために、法律で車庫証明書の取得が義務付けられているのです。

一般的には、車を購入したときに自動車販売店が取得手続きを代行してくれますが、自分で手続きを行えば費用を節約することもできます。引越しや、知人などから業者を通さず譲り受けた場合などは、別途代行業者に依頼するか、自分でおこなうしかありません。

車庫証明の取り方1…必要書類を用意・作成する

車庫証明書を取得するには、マンションの場合は自動車保管場所使用承諾書が必要です。

まず管理会社やマンションの管理組合に問い合わせて申請書類を準備しましょう。新たに車を購入する場合は、自動車保管場所使用承諾書以外の必要書類は自動車販売店が手配してくれます。

ただし、保管場所の地図などは自分で作成することが必要です。自分で準備する場合は、警察署でももらえるので問い合わせてみましょう。

車庫証明の取り方2…警察署で申請する

必要な申請書類が完成したら、警察署へ提出します。受付は、警察の管轄によって若干異なりますが、東京都の警視庁の場合、基本的に平日の午前8時30から午後5時15分までとなっており、土日祝日は受け付けていません。仕事を休んで手続きに行かなければならないこともあるので、計画的に日程を調整しましょう。また、申請手続きには2,100円の申請手数料と標章交付手数料500円が必要です。

申請手続きが終わると、納入通知書兼領収書が発行されます。車庫証明書を受け取るときに必要となるため、失くさないように保管しておきましょう。

また、車庫証明書の発行前に現地確認が行われるため、交付まで一週間近くかかるケースもあります。警視庁では申請から3日から7日間を要するようです。どんなに急いでいても、申請したその日のうちに車庫証明書が発行されることはないので注意が必要です。

車庫証明の取り方3…警察署で書類を受け取る

申請書類を提出すると、車庫証明書の交付日が案内されます。何日で発行されるかは個々のケースで異なりますが、警視庁では前述のとおり3~7日程度です。交付日になったら、再び警察署に出向いて車庫証明を受け取りましょう。このとき、申請手続きをした際に発行された「納入通知書兼領収書」が必ず必要になります。

また、保管場所標章の交付手数料として別途500円がかかるため、あらかじめ準備しておくとスムーズに進みます。保管場所標章は、車のリアガラスに貼るシールのようなものです。罰則などはないものの、標章を貼ることは法律で定められている義務なので忘れないようにしましょう。

警察署で交付されるのは、車庫証明書と保管場所標章番号通知書、保管場所標章の3点です。受け取ったら内容を確認し、車検証と一緒に失くさないよう大切に保管しておきます。

車庫証明申請が受理されない場合

車庫証明書は、申請すれば確実に発行されるとは限りません。場合によっては申請内容が受理されず、車庫証明書を取得できない可能性もあるのです。こうなると、マンションの駐車場が車庫として利用できないため、自動車を保有することができません。

仮に、マンションの駐車場の使用契約を締結してもその利用料が無駄になってしまいます。申請が受理されない理由はさまざまですが、代表的なのは必要な書類がそろっていなかったり、記入漏れや誤字脱字などがあったりするケースです。

申請書類は、申請内容が正当かを見極めるために必要不可欠なものであるため、不備があればすぐに却下されてしまいます。また、駐車場として申請した保管場所のスペースが狭く、現地確認で「ここには駐車できないだろう」と判断された場合も車庫証明書はもらえません。マンションの駐車場であればスペースの問題で申請が却下される心配はまずあり得ないので、申請書類にミスがないよう十分に注意しておきましょう。

手順をおさえてスムーズに車庫証明を取得しよう

車庫証明書の取得と聞くと難しそうに感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそれほど複雑な手続きではありません。

これまでの内容をまとめると、

【1】まずマンションに問い合わせて保管場所使用承諾書を作成してもらう
【2】車庫証明書の申請書類と合わせて所轄の警察署へ提出
【3】所定の期日以降に警察署に行き手数料を支払って、証明書を受け取る

上記3ステップだけです。

マンションの購入と同時に自動車も購入する場合は、車庫証明の発行はマンションの名義が自分になってからになりますので、手続きのタイムラグに注意が必要です。マンション購入後、しばらくしてから自動車を購入する場合は、委任状などを書くことで自動車販売店が書類の準備から手続きまで代行してくれるケースがありますので、その場合は任せてもよいでしょう。

また、すでに車を所有していてマンションに引越しをする場合は、書類をそろえて自分で警察署へ行きます。車庫証明に必要な書類は警察署に準備されています。管轄の警察によってはインターネット上から書類をダウンロードすることもできます。

車庫証明が、実際に発行されるまで長ければ一週間ほどかかることもあるので、時間に余裕をもって行動することが大切です。いずれにしても、マンションを購入する際の車庫証明書申請手続きは、まず管理組合や管理会社への相談から始めると覚えておきましょう。

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この記事の執筆者
秋津 智幸 ファイナンシャル・プランナー

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ファイナンシャル・プランニング技能士2級、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
住宅供給公社、不動産投資専門の仲介会社などを経て、不動産コンサルタントとして独立。不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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