さくら事務所が、長嶋修さんによる「投資物件目利きセミナー」を開催!

近年「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられ、資産運用の必要性が叫ばれています。投資信託や株式投資など、その方法は様々ですが、何に投資すればよいのか悩んでいる人は多いでしょう。

そこで、さくら事務所が「投資物件目利きセミナー」を開催。さくら事務所創業者・会長であり、不動産コンサルタントの長嶋修さんによる「失敗しない投資物件の見極め方」を教えていただきました。

長嶋さんに聞く、不動産投資を行うリスクと向き・不向き

さくら事務所創業者・会長であり不動産コンサルタントの長嶋修さん

今回のセミナーは、投資物件をこれから始める方や、始めたばかりの方を対象に開催されました。読者の皆さんの中には、「資産形成を考えるにあたり、不動産投資はした方がいいの?」「ハイリスクではないの?」と半信半疑な人も多いのではないでしょうか。長嶋さんは「不動産投資は安定した収益を上げやすい投資法」だと言います。

長嶋さん:
シェアハウスのサブリース(家賃保証)不払い問題で話題となった「かぼちゃの馬車」事件のように、トラブルに巻き込まれて騙されるようなケースは、かなりレアです。不動産投資は株式投資などのように、資産が一気に2倍、3倍になることはまずありませんが、著しい下落もまずありません。一定のリテラシーがあれば、安定した賃料収入を得やすい投資手段です。

不動産投資に向いているのは、どのようなタイプの人なのでしょうか?

長嶋さん:
ずばり、「不動産が好きな人」ですね。投資物件を購入して、建物管理はプロに任せるとしても、どのくらいの賃料で入居者を募集するのか、退去者が出たら修繕はどこまでやるのか、水漏れなどの緊急対応はどうするのか、最終判断はいずれも、オーナーであるご自身が行います。こうした決断を楽しみながらできる人であれば、無理なく不動産投資を行えるのではないでしょうか。

「ミドルリスクミドルリターン型」の投資を成功させるには?

代表取締役社長・大西さん

セミナーは、代表取締役社長・大西さんのご挨拶から始まりました。今回のセミナーの対象者は、これから不動産投資を始めたい人や、ビギナー投資家。会場内で、既に投資用不動産を所有している人がどれだけいるのか問いかけたところ、多くの人が不動産投資を実践していることが分かりました。

界壁の施工不備が話題となった、いわゆる「レオパレス問題」や前述の「かぼちゃの馬車事件」などが報道される度「不動産投資はリスクが高いのでは?」と不安になりますが、不動産投資は安定的に家賃収入が入る「ミドルリスクミドルリターン型」の投資と言われています。「どうすれば失敗のリスクを軽減できるの?」という疑問に応えるべく、いよいよ長嶋修さんによる解説に入ります。

今、不動産は買い時ではない!?

セミナー当日は満員御礼。長嶋さんの声に、熱心に耳を傾ける参加者の姿が印象的でした

不動産経済研究所の発表(首都圏マンション市場動向2018年度)によると、2018年度に一都三県で発売された新築マンション1戸当たりの平均価格は5,927万円。23区に至っては7,320万円と、とても普通の会社員には手が届かない価格まで高騰しています。そのため、長嶋さんは「結論を言うと、今は不動産の買い時ではありません」とずばり。ただし、不動産の売買は株式投資のように全員が同じ状況下で行う取引ではなく、個人的な事情を持った買主と売主による取引です。そのため、従来よりも難易度は上がっているものの「現在も良い物件を購入し、安定した収益を上げることは可能」だと言います。

施工不備問題や中古物件の老朽化リスクを回避するには?

長嶋さんは、高所得者を中心として弁護士や金融機関勤務の人も被害に遭った「かぼちゃの馬車事件」の実態や「レオパレス問題」を始めとする施工不備問題にも言及。恒常的な人手不足により、誰もが知る有名な会社の物件であっても施工不備は起きているとのこと。こうしたリスクを回避するには、事前に建物のコンディションを把握することが大切で、インスペクション(住宅診断)の活用が有効です。

インスペクションを活用して建物の状態をチェック

2018年から、中古住宅取引の際にインスペクション(住宅診断)の説明が義務化されました。不動産取引のプロである宅建業者が、専門家による建物状況調査の活用を促すことで売主も買主も安心して取引ができるようにという趣旨ですが、実際にはあまり活用されておらず、購入する側のチェックが必要不可欠とのこと。上下水道の配管や配線など隠れて見えない箇所の現状もしっかりと把握し、どこに不具合が生じているのか、管理組合は把握しているのか、いつどのように対処すべきかを確認。不具合があったら「買えない」ということではなく、必要な対策と、それにかかる費用を見積もっておくことが大切なのだそうです。

物件購入前に、修繕積立金をチェック!

中古物件を購入するにあたり、修繕積立金が適正であるかの確認も必要です。一般的なマンションの修繕積立金は、専有面積1平米辺り200円が相場。大規模マンションであればスケールメリットでもう少し安く、維持費が高いタワーマンションであれば300円程度掛かるそうです。(最低金額は、国土交通省による、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」も参照のこと)しかし、新築時は不動産会社が「売り逃げ」するために、修繕積立金にかけるコストを下げがち。一見お買い得に思えますが、12~15年に1回程度行う大規模修繕時に費用が足りず、1住戸あたり50万円、100万円といった一時金を出し合う必要が生じます。「お金のある範囲内でしか修繕しない」という選択をして、十分なメンテナンスができず顕著に老朽化が進むマンションも多いとのこと。

ただし、「修繕積立金が安い物件は買わない」と決めてしまうと大部分のマンションが購入できなくなってしまいます。どの程度の修繕積立金があるのか、大規模修繕時にどの程度の費用が必要なのか、事前に確認しておくことが大切なのだそうです。

投資物件は、建物のコンディションと立地・自治体選びが重要!

セミナーではこの他にも、多岐にわたる話題が繰り広げられました。例えば、自動車の保有比率が年々低下していることや共働き世帯の増加により、都心の中古マンションは駅から徒歩1分離れるごとに成約価格が大きく下落するという事実。このことから、空間や居住性よりも利便性を重視する人が増えていることがうかがえます。

「オリンピック後の不動産市場は暴落するのか?」という疑問には、「都市伝説に過ぎず、選手村ができた晴海など一部地域を除き影響は出ないのでは?」と長嶋さん。過去にオリンピックが開催された都市を見ても、経済や不動産市場に大きな動きが出たのは新興国だけとのこと。過剰に心配をする必要はなさそうです。

投資物件を見極めるための様々なトピックを取り上げつつ、長嶋さんが重要視しているというポイントは「建物のコンディション」と「立地・自治体選び」の2点。建物のコンディションは、建物の基礎・構造や屋根、外壁などをチェックし「築何年か」よりも「実質年齢」を確認することが大切とのこと。立地や自治体に関しては、多くの自治体が都市機能や居住地域を一拠点に集中させる「コンパクトシティ」を推進している事実や、子育てに特化した政策で人口が急増中の千葉県流山市を例に挙げ、将来性がある立地・自治体を選ぶ重要性に言及。これらを踏まえた投資物件を購入すれば、中長期的に見て、ミドルリスクミドルリターンの賃貸経営を成功させやすいというお話でした。

「いい物件」「いい不動産会社」の探し方を知りたいとの声が続出

投資物件の購入を検討している参加者から、相次いで質問が寄せられました

最後の質疑応答ではたくさんの挙手があり、時間を延長して質問に回答。様々な質問が飛び交う中、皆さんが気にしていたのは「投資物件の探し方」や「いい不動産会社の見極め方」でした。

投資物件を購入する大多数の人が、インターネットサイトで検索して探し、条件を交渉して購入しているとのこと。売主の意図や状況が千差万別な中で、いかに好条件の物件を見つけるかが鍵となりそうです。市場に出ない物件を紹介してもらうには、不動産会社の営業担当者と良好な関係を築くことが第一歩。そのためには、自身の資金背景や融資状況を明らかにし、日頃からやりとりをする中で購入の意思を表明することが第一歩となりそうです。

いい不動産会社の見極め方は、「いい伴侶の見つけ方と同様で答えがなく、運が左右する部分が大きい」とのこと。大西さんからはアメリカの不動産事情についての言及があり、不動産テックの本場アメリカでも、不動産エージェント選びやインスペクター選びはアナログで、力量の高いエージェントを選ぶのは難しく、口コミを参考にするケースが多いそうです。日本では、全国各地で大家さんの勉強会が行われているため、自分に合うコミュニティを見つけてネットワークを作り、有益な情報を得ることが大切だというお話でした。

大盛況のうちに幕を閉じた「投資物件目利きセミナー」。不動産投資に興味がある人は、これらの話をヒントに、物件探しを始めてみてはいかがでしょうか?

(最終更新日:2019.10.05)
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