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住みたい街として多くの人が憧れる東京・吉祥寺。「住みたい街」として有名ですが、実際の住みやすさはどうなのでしょうか? 吉祥寺の現状をデータからチェックし、環境や子育てのしやすさなどの特徴を紹介します。

都内の住みたい街ランキングの常連! 人気の街・吉祥寺

吉祥寺のシンボル・井の頭恩賜公園

東京の「住みたい街ランキング」などの多くで上位を獲得し続ける人気の街「吉祥寺」。長谷工アーベスト社によって毎年行われる「住みたい街(駅)ランキング」のWebアンケートでは、吉祥寺は2004~2018年の間連続1位を獲得し続けています。吉祥寺は、なぜここまで人気があるのでしょうか?

吉祥寺の人気の理由は「東京にあって東京らしくない環境」

吉祥寺に住みたいと希望する人や実際に住む人の多くが挙げる魅力は、「都心へのアクセスの良さ」と「公園や緑の多い環境」です。
吉祥寺は、公園や大規模な商業施設やにぎわいのある商店街などの環境が整っているうえに、渋谷や新宿などへもアクセスしやすいという特徴があります。そのどちらの条件もそろえたエリアがめずらしいからこそ、住みたい人が増えるのではないでしょうか。
一方で、その人気はデメリットも生み出しています。

吉祥寺ブランドは地価にも影響

吉祥寺の人気は一種のブランドとなっており、土地の価値にも影響を与えています。例えば、国土交通省による地価公示を見ると、吉祥寺の標準的な地価がほかのエリアと比べて高いことがわかります。
東京駅からの距離を基準としてみた周辺住宅地の公示価格を比較すると、吉祥寺の価格帯は成城学園前、田園調布に次いで3位の価格です(※1)。また、同比較による商業地の公示価格では、東京駅からの距離が同等である地域の中では1位の価格帯でした(※2)。人気エリアゆえに価格が高いのが現状です。

※1 国土交通省 東京圏の沿線別駅周辺住宅地の公示価格例
※2 国土交通省 東京圏の沿線別駅周辺商業地の公示価格例

実際の吉祥寺は住みやすい? 路線、施設、物件について

吉祥寺~渋谷間を結ぶ京王井の頭線

不動の人気を誇りながら、コスト面がやや懸念点でもありますが、住みやすさについてはどうでしょうか? 利用可能な路線や施設等の観点から吉祥寺の特徴を考察していきます。

新宿・渋谷双方にアクセス容易な乗り入れ路線

吉祥寺駅はJR中央線(快速)総武線京王井の頭線の利用が可能です。
JR中央線は東京、新宿といったターミナル駅に直結しているだけでなく、立川・八王子方面にも通じており、さまざまな用途での利用が考えられます。また、京王井の頭線は渋谷まで乗り換えずにアクセスできるため、こちらも利便性が高い路線です。
吉祥寺から新宿・渋谷までの移動時間はいずれも約30分以内。日々の通勤を想像しても、比較的ストレスのない時間といえるでしょう。アクセスのよさという観点から見れば、吉祥寺は好立地であると考えられます。

大規模な商業施設から多彩な個店までそろう街並み

吉祥寺はファッション、飲食、生活雑貨など多様なニーズに応える施設や店舗がそろっています。
たとえば、コピス吉祥寺は子育て世帯をターゲットとして2017年リニューアルオープンした複合施設です。子ども向けのショップから家族で楽しめるアパレルショップ、飲食店まで、ラインナップも豊富。東急百貨店パルコマルイヨドバシカメラドン・キホーテなど他駅でも人が集う拠点となる店舗も充実しています。また、駅直結の商業施設として、キラリナ京王吉祥寺アトレ吉祥寺があり、こちらもにぎわいをみせています。
他方では、吉祥寺サンロード商店街吉祥寺ダイヤ街吉祥寺通り中道通りなどには個性豊かなショップを楽しめる環境も。居酒屋や飲食店の種類も豊富で、外食する場所には困りません。ショッピングや食の観点では、大変満足度の高い生活が実現できます。

家族で暮らす住まいの物件はやや高め

あらゆる点で好立地と考えられる吉祥寺ですが、住むことを考えると気になるのが家賃の相場です。

不動産・住宅情報サイトのデータベースを元にした吉祥寺の賃貸住宅の家賃相場

※独自調べ

ワンルームであれば比較的安い家賃で部屋を借りられますが、ファミリー向けの物件ではややコストがかかる印象があります。上記データは駅徒歩10分以内の賃貸物件の平均賃料(管理費・駐車場代等除く)をもとに算出しているため、より駅から離れたエリアなどを探せば、もう少し家賃を抑えることが可能かもしれません。

同じ路線の沿線上の近隣駅や、武蔵野市内の他エリアと比較しても、吉祥寺は人気があるため、平均家賃はやや高い傾向があります。吉祥寺に対する強いこだわりがないのであれば、近隣で家賃相場が比較的低い阿佐ヶ谷や西荻窪、武蔵境などの周辺駅付近を比較検討するとよいでしょう。

観光客が多い? 利便性や立地がもたらす混雑

交通アクセスや施設の充実に加えて、吉祥寺では観光客向けの案内対応も進んでいます。羽田空港・成田空港双方からの直通バスがあることも加えて、他県や海外から見た観光スポットとしても注目の高い街です。
したがって、観光客の多いにぎやかな街で暮らすことにストレスを感じる人は、あまりよい環境とは感じられないかもしれません。

待機児童数は? 福祉事業は? 吉祥寺の子育て事情

ファミリー層の多い吉祥寺は住みやすい? ※写真はイメージ

吉祥寺で長く暮らすことを考えれば、子育てがしやすいのかどうかも住むときに検討すべき点でしょう。子育ての観点から見た吉祥寺について紹介します。

武蔵野市の待機児童数

平成30年の調査によると、吉祥寺が含まれる武蔵野市の待機児童数は53名でした(※3)。前年度と比較すると、67名減少しています。保育所等の利用定員数は昨年度と比較して324名分増加しており、待機児童解消への取り組みが進められていると考えられます。
また、子どもの預かり先に対しての相談を引き受ける窓口となる保育コンシェルジュ制度も取り入れられています。
待機児童0の目標と比較すればまだ課題の残る数といえますが、保育所の増設や相談窓口の対応は進んでいると考えられるのではないでしょうか。
※3 東京都福祉保健局「都内の保育サービスの状況について」区市町村別の状況【表4】

子育てはしやすい? 施策や教育事情

武蔵野市は子育てのしやすい環境としても評価されています。たとえばベビーカー貸し出しサービス事業「べビ吉」は、子育てにやさしい街を目指す取り組みの一つとして挙げられるでしょう。
また、教育に対する意識も高い市であるという特徴があります。平成30年度「全国学力・学習状況調査」では、すべてで全国および東京都の平均正答率を上回っており(※4)、成蹊学園をはじめとした人気私立校も集う地域です。
※4 武蔵野市教育委員会発行「きょういく武蔵野」No.137(平成30年12月15日発行)

データを集めることで改善点を模索する武蔵野市

武蔵野市の子育てに対する支援や施策の根幹には、「子どもプラン武蔵野」と呼ばれる長期的な計画や「武蔵野市子ども・子育て支援に関するアンケート調査報告書」があります。
「子どもプラン武蔵野」では、子育て支援施設の整備や学校教育の充実等のテーマごとに課題の整理と具体的な取り組みがまとめられており、目標値設定とそれに対する成果が定期的に発表されています。
「子どもプラン武蔵野」は誰でも閲覧可能で、武蔵野市の子育てに対する指標が明確にわかる資料です。

「武蔵野市子ども・子育て支援に関するアンケート調査報告書」は、武蔵野市に住む子育て世帯へのアンケートがまとめられています。子育ての不安はどこに生じているのかなどを調査しており、ニーズ調査の結果を市の取り組みに活用しています。住民の声をデータで分析することや、それに応じる仕組みが整っていることが、吉祥寺の含まれる武蔵野市の魅力なのかもしれません。

吉祥寺はあらゆる点で暮らしやすい地。でも、家賃は高いので注意

吉祥寺はアクセスの良さ、利便性、環境のよさなど、あらゆる点で「住みやすい」街といえるでしょう。都内で井の頭公園のような大規模な公園を持ち、かつ住宅地と大型店舗、活気ある商店街がすべて徒歩圏内にある駅は希少です。吉祥寺がある武蔵野市も、子育てのしやすさを意識した政策に力を入れており、その成果が待機児童数の減少などにつながっています。

吉祥寺は総合的に非常に魅力的な街といえますが、一方で家賃や地価は平均より高いことを覚悟しなければなりません。住まいにかかるコストと、これからどのように暮らしたいかの条件を併せて検討し、吉祥寺が最適な場所かどうか考えてみましょう。

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