クレジットカードや電子マネー、支払いアプリを使った決済など、現金を使わない電子決済が世界的に増えています。世界銀行が2015年に行った調査(※)によると、韓国は89.1%、中国は60.0%と利用が多く、欧米ではイギリス54.9%、アメリカ45.0%、フランス39.1%など、約40~50%に到達している状況で、すでに海外ではキャッシュレス決済が進んでいます。一方、日本は18.4%でドイツは14.9%にとどまり、現金の利用率が高いことがわかりました。経済産業省は、2027年6月までにキャッシュレス決済の比率を40%程度にすることを目指しています。

※出典:「キャッシュレス・ビジョン」経済産業省:2 世界のキャッシュレス動向>2.1 キャッシュレス決済比率の状況>図表 4 各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015 年)※画像をクリックすると拡大されます

日本でキャッシュレスが普及しない理由は

クレジットカードやデビッドカード、電子マネーなどのカードの保有枚数は日本では平均7.7枚で、欧州諸国が2~3枚程度なのに比べると、日本人は多くのカードを持っていることになります。

※出典:「キャッシュレス・ビジョン」経済産業省:2 世界のキャッシュレス動向>2.1 キャッシュレス決済比率の状況>図表 6 各国の種類別カード保有枚数(2015 年) ※画像をクリックすると拡大されます

それなのに日本でキャッシュレスが普及しないのは、治安がよいこと、紙幣が綺麗で偽札が少ないので現金の信頼性が高いこと、店舗のレジの処理がスピーディーで正確であること、ATM を利用しやすく現金を入手しやすいこと、などが考えられています。

キャッシュレス決済のメリット

スウェーデンでは、1990年代に起きた金融危機がきっかけで、金融機関を中心に生産性向上を目指したことが、キャッシュレス普及につながったと考えられています。

また、犯罪対策として2007年から公共交通機関での現金の取り扱いをやめ、金融機関は2012年から2012年にかけて現金を取り扱わない店舗を増やし、ATM900台を撤去しました。銀行強盗は2008年には110件起きていましたが、2015年には年間7件に減っています。

個人から個人へ送金するスマートフォンのソフト「Swish」の利用者は毎年100万人ずつ増え、2017年10月末時点で人口の約60%が利用しています。

実店舗でも現金での支払いを拒否する店も増え、社会的に受け入れられています。ただし2015 年のスウェーデンのキャッシュレス決済比率は48.6%で、キャッシュレス先進国と呼ばれるスウェーデンでも半数以上が現金決済を行なっていることが伺えます。

現金を使う人が多い日本でキャッシュレス決済を進めるには、セキュリティの確保も必要です

キャッシュレス決済の利用率が高い韓国では、脱税防止や消費生活を活性化するために、クレジットカード利用促進策を実施した結果だと考えられています。

中国では、偽札問題など現金の安全性や脱税問題、紙幣や貨幣の印刷・流通コストの問題があり、電子決済を行うアプリ「アリペイ」などが普及したことが、普及の背景にあると言われています。

キャッシュレス決済の課題とデメリット

ロイヤルホストなどを展開するロイヤルホールディングス社は、次世代の店舗運営としてITを活用し、完全キャッシュレスやセルフオーダーのシステムを導入した研究開発店舗も運営し、店舗業務の効率化を目指しています。

スマホアプリを活用した支払いサービスも登場しています。個人間送金や店舗での支払いができる「LINE Pay」や「Origami Pay」などの利用も増えつつあります。例えば、Origami Payなどにクレジットカード番号や銀行口座を事前登録しておけば、レストランなどで食事をした後に、タブレットに表示されたQRコードをスキャンするだけで支払いを完了できます。

日本でキャッシュレス決済が普及しない理由として、クレジットカードに対応していない商店が多いことも挙げられています。クレジットカードを導入する際に、支払い端末や端末設置のための回線引き込みなどのコストが発生するほか、クレジットカード支払いは資金として利用できるまでに半月から1ヶ月くらいかかるので、中小・零細事業者が多い飲食店や取引件数が少ない店舗では、クレジットカード決済が普及していないのです。

また地震などの災害時に停電が起きた場合、キャッシュレス決済はできなくなります。停電などのシステムダウンへの不安や、暗証番号や個人情報流出のリスク、システムへのハッキングなど、セキュリティ面での問題もあります。持病や障害があってスマートフォンを操作できない人への対応なども、考えていく必要があります。

一方、経済産業省は、購読履歴などのデータを収集し、ビッグデータとして分析し利活用するビジネスの創出も目指しています。今後ますますキャッシュレス決済が普及するでしょうが、小規模事業者に過度の負担がかからないことや、消費者の個人情報保護、セキュリティ対策なども進めていく必要があるでしょう。

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