マンションでペットとの同居は大変? トラブル回避策を伝授!

多くの家庭では、ペットを大切な家族の一員と位置づけているはずです。そして、マンションを探すときも同居ができる物件を選びたいところでしょう。一方で、マンションでは近隣住民とペットをめぐってトラブルになるケースも珍しくありません。国土交通省の「平成25年度マンション総合調査」によると、違法駐車や生活音に次いで多い居住者トラブルがペット問題で、22.7%にのぼるとのこと。この記事では、マンションでペットに関するトラブルを回避する方法を紹介します。

ペットを飼育できる分譲マンションは少ない?

そもそもマンションでペット絡みのトラブルが耐えない原因として、「ペット禁止のマンションが多い」という事実が挙げられます。冒頭の「平成25年度マンション総合調査」によれば、実に47.4%の分譲マンションがペットの飼育を禁止しています。種類やサイズなどを限定して認めているのは42.5%で、全面的にペットを連れ込めるマンションは全体の2.9%です。多くのマンションはペットを飼いたい人、現在ペットを飼っている人にとって不利な条件といえるでしょう。

こうした条件を無視してペットを飼い始めると、当然、トラブルに発展してしまいます。近隣住民はペットがいないことを前提に居住しているので、クレームが出ても仕方ありません。管理会社を通して対処を迫られるケースもありえるでしょう。こうした状況が続くと近隣住民との関係が悪化するだけでなく、立ち退きのリスクも出てきます。マンション選びの際は、ペットに関する規約をしっかりとチェックしましょう。

マンションのペット飼育基準は3種類

ペットについてマンションの管理会社がどう捉えているかは「飼育基準」を調べることで分かります。

飼育基準は大きく3種類で、まずは「ペット飼育可能」と謳っているマンションです。こうしたマンションはペットの連れ込みを禁止はしていません。また、しっかりと「可能」と規約に記載している場合もあります。そのかわり、飼育可能なペットに制限がかかっているなど、全面的に認められているともいえません。

次に、「共生型」のマンションです。これらの物件ではペット可能を謳っているうえで、マンション内の設備も整っています。ペット連れ込みが前提となっているので、飼い主が不便に感じることもあまりありません。ペットの種類やサイズについての規約もゆるいのが特徴です。

そして、「ペット禁止」のマンションです。このタイプのマンションではあらゆる種類のペットを連れ込めません。仮に規約違反が見つかればペナルティも課せられるでしょう。ペットと一緒に住みたい人にとって、もっとも避けるべき物件です。

マンションにありがちなペットのトラブル事例

ペット飼育可のマンションでも、共有スペースではペットを抱いて移動するなどの配慮が必要です

具体的にマンションで起こるペットのトラブルとして、まずは「規約違反」が挙げられます。飼育を禁止されている物件に連れ込むことはもちろん、種類やサイズが認められない場合もあります。

そのほか、マンションによってペットに関する規定は細かく定められているので、「以前のマンションでは認められていた行為が新しいマンションでは問題になる」ことも出てくるでしょう。

次に、「放し飼い」によって、近隣住民に恐怖を与えることもトラブルの一種です。放し飼いに派生して、近隣住民に噛み付いたり、飛び付いたりして怪我を負わせると賠償問題にも発展します。ペットが認められているマンションでも、飼い主が責任を持って近隣住民の安全を確保しなくてはいけません。

さらに、「臭い」「騒音」「アレルギー」なども深刻な問題です。ペットの体臭や糞尿に耐えられない人もいますし、真夜中に遠吠えするような動物も歓迎されないでしょう。そして、動物にアレルギーを持っている人は近くで暮らすのも不安です。マンションにはさまざまな事情を抱えた住民が集まってくるだけに、細かい気配りが必要とされるのです。

ペットのトラブルが起きる原因

ペットは、苦手な人や動物アレルギーの人にとっては近づきたくない存在。飼う側の配慮が求められます

大前提として、マンションで起こるペット問題の多くが飼い主側の責任であるといえます。ペットにまったく罪はありません。飼い主の意識の甘さ、モラル違反などによって怒りを買うケースが大半なのです。

ここでいう「意識の甘さ」の一例として、近隣住民も「動物を好きになってくれるはず」との思い込みが挙げられます。いうまでもなく、すべての人間が動物を愛しているわけではありません。むしろ動物嫌いの人にとってはペットを見るのも嫌ですし、飼い主の配慮がなされていないと、ペットに憎しみが向けられてしまうでしょう。

また、「しつけの悪さ」「世話のずさんさ」といったモラル違反により、ますます近隣住民との溝は深まっていきます。飼い主がしつけを怠っていると、ペットは凶暴な性格に育ちます。さらに、糞尿や体毛の後始末ができていないとマンションは衛生的に悪くなり、大きな迷惑がかかるでしょう。こうしたトラブルが起こってから、近隣住民との関係を回復するのは至難の業です。クレームが入る前に、ルールとモラルを守ってペットを教育しましょう。

マンションでペットを飼うための注意点

平和にマンションでペットと暮らすためには、近隣住民との健全な関係性構築に努めましょう。ペットについて怒りを買ってしまった原因を探ると、実は他のことで既に悪い印象を持たれていたケースも少なくありません。逆をいえば、ふだんから交流がある住民に対して、頭ごなしに苦情を入れる人は少ないといえます。仮に問題があっても、優しくお願いしてくるなど、大きな問題には発展しにくいでしょう。まずは近隣住民と仲良くなるよう心がけ、あらかじめペットがいることや迷惑をかける可能性があることも説明しておくことが得策です。

そのうえで、ペットへのしつけを徹底します。特に、犬や猫はしつけが悪いと人を傷つける恐れもある動物です。少なくとも他人に対して急に攻撃しない程度のしつけは必要です。そして、いざというときは飼い主の命令で止められるよう、優しさと厳しさを使い分けて育てましょう。そのほか、騒音対策も必須です。フローリングには防音マットを敷き、階下に足音や鳴き声が届かないよう工夫をしましょう。

ペットと一緒に暮らすマンション選びのポイント

ペットに理解がある住民が多く、動物病院や公園が近くにあるマンションがベスト

マンションでペットを飼いたいなら、最初に販売会社や管理会社へ相談しましょう。そして、ほかの入居者のうち何割がペットを飼っているかを調べます。もしも割合が高いマンションなら、ほかのペットに対しても理解を示してくれる可能性は高いでしょう。逆に、割合が低いようなら飼い主自身から歩み寄る努力をしなくてはいけません。

次に、マンションの間取りを入念に確認します。ペットと暮らすからには玄関が広くないと、汚れや傷がつきやすくなってしまいます。また、汚れて外から帰ってきてもすぐに洗えるよう、玄関からお風呂場までの距離は近いほうが効率的です。

周辺環境も重要なポイントです。安全に散歩できるよう交通量をチェックしたり、公園の有無を確かめたりしておきましょう。もしも散歩ができないとペットのストレスはたまり、凶暴化するリスクが高まります。

そして、動物病院が近いマンションが理想的です。そのほか、マンション側の設備も選定基準になるでしょう。ペット共生型のマンションでは、エントランス周辺に足洗い場を設けてくれていることもあります。飼い主の負担が軽くなれば、ペットと末長く過ごせるでしょう。

住人への配慮を欠かさないことが大切!

たとえペットが認められているマンションでも、近隣住民への配慮は欠かさないようにしましょう。飼い主にはかわいくて仕方がないペットでも、誰もが同じように受け入れてくれるとは限りません。また、「受け入れられて当然」という態度で過ごしていると、思わぬ場面で他人から反感を抱かれてしまいます。マンションにおけるペット問題では、人間同士の関係が原因になっているケースが少なくありません。近隣住民とは日常的にコミュニケーションを取り、平和にペットと暮らせる環境を整えましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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