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今、日本では全国的に空き家が増えています。空き家が原因で起こる経済的な損失や地域の問題を一般に「空き家問題」といいます。少子化・人口減少が進む今、空き家問題は誰にとっても他人事ではありません。管理ができず「特定空き家」に指定されると、固定資産税の減免が受けられなくなるなど不利益も生じます。空き家問題の背景や、空き家問題の当事者になってしまったときの対策を紹介します。

空き家は本当に増えているの?

「空き家が増えているといっても、多くは賃貸住宅の空室や売却予定の家のこと」と思っている人も多いかもしれません。たしかに、空き家の過半数はそういった住宅です。しかし、国土交通省の「空き家等の現状について」によると、賃貸・売却用の空き家や、別荘などを除いた「その他の空き家」もその数が増えています。「その他の空き家」は1983年には125万戸だったのが、2013年には318万戸まで増加しているのです。

「賃貸用または売却用」と「その他」の空き家の推移

※二次的住宅(別荘や、たまに寝泊まりする人がいる住宅)は除く
※出典:国土交通省「空き家等の現状について

全住宅のストックに占める「その他の空き家」の割合は、全国平均で5.3%となっています。鹿児島県、高知県、和歌山県は、「その他空き家」の割合が10%を超えているため、10軒に1件は空き家があることになります。

空き家の原因は相続が過半数

先ほどと同じく国土交通省の「空き家等の現状について」には「空き家になった住宅を取得した経緯」「空き家にしておく理由」もまとめられています。
これによると、空き家を取得した原因の過半数は「相続」となっています。地方にある親の家を相続したものの、自身は東京で暮らしているため空き家のままにしているといったケースがこれにあたるといえるでしょう。

また、「新築として注文・購入」「中古として購入」した場合も一定数あります。これは、「居住目的で購入したが転勤になり、結果的に空き家になってしまった」「中古住宅を購入。リフォームして住む予定が、リフォーム費用が予算を超えることがわかり空き家のままになっている」といったケースが考えられます。ただし、相続による取得と比較すると、その数は多くありません。

相続により空き家を取得する経緯としては、先ほども触れましたが、親が亡くなり、親の住んでいた家を相続するパターンが代表例でしょう。

昔は結婚後も親世帯と同居するのは一般的でしたが、現在では親との同居は敬遠されがちです。仕事などの事情で地元を離れ、親と離れて暮らす人にとって、空き家問題は他人事ではありません。

また、親がすでに亡くなっている人でも、親戚から空き家を相続する可能性があります。たとえば、叔父叔母に子どもがおらず、祖父母や親も他界していればおい・めいに相続権が回ってくる可能性が高いです。

空き家が個人と地域に及ぼす影響

空き家が多くなるとどのような問題が生じるのでしょう。問題は大きく個人に関するものと地域に対するものに分けられます。

個人における空き家問題

空き家を保有している以上、管理の責任が生じます。家が荒れないよう、定期的に補修したり、庭の掃除をしたりしなければなりません。所有者は固定資産税の納付義務もあります。

なお、家が建っている土地は、たとえそれが空き家でも、固定資産税の減免措置が受けられます。そのため空き家を取り壊して更地にすると、解体費用がかかるうえに固定資産税の負担が重くなってしまうのです。

地域における空き家問題

空き家を定期的に手入れしていても、時間の経過による劣化は避けられないでしょう。劣化が進むと景観が悪いだけでなく、倒壊や屋根・外壁落下などの危険も高くなります。庭木があれば樹木の倒木、落ち葉の飛散などもあるでしょう。

空き家へのゴミなどの不法投棄、不審者が空き家に入り込む、空き家が出火原因になることも考えられ、防犯・防災面のリスクも生じます。空き家により景観や治安に実害が出ればそのエリアの不動産評価にも影響を及ぼす恐れもあり、空き家問題は想像以上に深刻です。

なお、倒壊の危険や不法投棄の温床など、地域へ悪影響を及ぼすと判断された空き家は「特定空き家」の指定を受けることがあります。特定空き家に指定されると固定資産税の減免がなくなるほか、取り壊しの強制執行を受ける可能性も出てきます。自治体の強制執行により取り壊しされた場合、その費用は所有者の負担となります。

空き家が増える原因と背景

先ほどの「空き家等の現状について」から、空き家の所有者が空き家を保有している理由をご紹介します。

空き家にしておく理由(複数回答・上位5つ)
・物置として必要だから
・解体費用をかけたくないから
・特に困っていないから
・将来、自分や親族が使うかもしれないから
・好きなときに利用や処分ができなくなるから
※出典:国土交通省の「空き家等の現状について」

上記のうち、明確な意思をもって空き家にしてるのは「1」の「物置として必要だから」のみで、そのほかは解体費用がかかることを好まないだけだったり、空き家があることに対し特に困っていなかったりと、消極的な理由です。思い入れのある生家や、親の大切にしていた家を経済的な理由で解体・改良することに抵抗がある人もいることでしょう。では、空き家の再活用を進めるためには、どうすればよいのでしょうか。

空き家対策は相続時がキモ

空き家を保有すれば必然的に、管理の手間と固定資産税がかかってきます。手間と経費が積み重なるだけでなく、時間が経てば空き家の劣化は大きくなるでしょう。家の劣化が進んでしまってからでは、アクションを起こそうとしても乗り越えるべき課題が大きくなってしまいます。

そのため、早い段階で親の家をどうするのか話し合うことが大切です。できれば相続前、つまり親が存命のうちに、それが難しい場合には、遅くとも相続時に家をどうするのか、売却するのか、維持するのであれば誰が管理するのかなど、親族と話し合いたいものです。
より早く、より主体的に動くことで、いたずらに空き家を老朽化させてしまったり、管理の負担を積み重ねたりすることのないようにするのが望ましいです。

相続時にやってはいけない対策

相続時に空き家をどうするのか話し合うことが重要とはいえ、家の売却や解体を決めるのは難しいでしょう。相続人間で話し合いがまとまらない場合であっても、避けたいのが「不動産の共有」。家をどうすべきか意見が分かれたときに、家を相続人間の共有財産にしてしまうケースがあるのです。共有で保有すれば公平感がありますが、そうしてしまうとその後に解体や売却をしようとしたときに、共有者全員の同意が必要となり、行動を起こしにくくなってしまいます。

相続はひとつ間違えると親族間で感情的な対立や争いを引き起こすことになってしまいます。親が存命のうちにしっかりと話し合っておくことをおすすめます。空き家問題は当事者にとっても周辺住民にとっても軽視できる問題ではありません。空き家を相続する可能性がありそうな場合は、想定される相続人間で危機意識を共有し、万一の場合に備えたいものですね。

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