子どもの教育資金の確保するために入る“学資保険”って、本当に必要?

これまで意識していなかった人でも、さまざまなライフイベントを機に保険やお金のことを考えることがあります。なかでも、子どもが生まれると気になるのが「教育資金」。学資保険に入っていれば安心なように思えますが、本当にそうでしょうか? 学資保険以外の選択肢も含めて解説します。

貯蓄目的ならば、元本割れに注意を

子どもの教育資金を貯めるためには、「学資保険に入るべき」と思っていませんか? もしそう考えるのだったら、他に方法があるかもしれません。

学資保険とは、“子どもを扶養する人に万が一のことがあったときに教育資金を確保すること”が目的です。契約が始まると、決められた保険料を支払い、決められた年齢で給付金を受け取ることができます。貯金とは違い、途中で解約はできません。

教育資金の準備として学資保険が選ばれる理由は、解約返戻率の高さにあります。返戻率の計算方法は、以下の通りです。100%を下回ると元本割れします。

「受け取る給付金・保険金の総額÷支払う保険料の総額×100」

なお、医療保険や育英年金を学資保険に付けることができます。子どものためだから、と言って色々な特約を付ける人がいますが、付加すると元本割れしてしまうリスクも伴います。貯蓄を目的として学資保険に加入したならば、その点は注意が必要です。

学資保険以外の3つの選択肢

普通預金、定期預金、株や商品などの金融商品で、教育資金を用意することもできるので、検討を

<低解約返戻金型終身保険>

教育資金の貯蓄を目的にするならば、学資保険以外にどんなものがあるでしょうか。近頃、「低解約返戻金型終身保険」に教育資金目的で加入する人が増えて、注目を集めています。

この保険は、一定期間の返戻金を低くするために、割安な保険料で加入することが可能です。満期における解約返戻率が学資保険と同じく高い返戻率(100%~110%)程度となります。一定期間の返戻金を低くするために、割安な保険料で加入することが可能です。

また解約しないと返戻率が上がり続け、保証も続きます。大学入学時だけではなく、結婚資金として充てることもでき、便利です。

ただ、返戻金が低いうちに解約をすると、低解約返戻金型でない終身保険に比べ返戻金が少なくなってしまいます。元本割れする可能性もあるので気を付けなくてはいけません。学資保険の契約者は子どもの扶養者であるのに対し、低解約返戻金型の保険の契約者は、扶養者でも子ども本人でも構いません。

<外貨建て終身保険>

金融情勢事情を考えると、近年高い返礼率が期待できないと思う人が、「外貨建て終身保険」を選んでいるようです。

外貨建ての場合、為替手数料がかかり、為替変動で損失が発生するリスクもあります。なぜ、必ず必要になる教育資金に、投資に値する外貨建て収支保険の返戻金を充てようとするのでしょう。それは、月払いすることで、外貨投資する時期を分散でき、リスクを軽減できるという利点があるからです。この仕組みをドルコスト平均法と言います。また、米ドルで積み立てれば、日本円に換金せずにそのままドルで受け取ることができるので、子どもが海外留学の際にも役立ちます。

<国債>

大学入学前に資金を使う可能性がある人は、「個人向け国債(日本)」がおすすめです。固定3年、固定5年、変動10年の3種類から選べます。外貨建てに比べ、信用度が高く、変動10年の場合はインフレになると自動的に金利が上昇するため、物価の変動にも強いという利点があります。金利の上昇は学資保険にはありません。

デメリットは学資保険に比べ、金利が低いこと。低インフレの場合は、学資保険よりも金利が低くなります。また、自動引き落としができません。ネット証券や銀行で購入するので、学資保険よりも購入に手間がかかります。

返戻率が高いのは学資保険と低解約返戻金型終身保険だが、インフレに強いのは、変動型の国債

いつ資金が必要になるかで選ぶ商品が違ってくる

ライフプランには、「大学進学」だけでなく「親の退職」「年金受給開始」「子どもの結婚」「就職」などのイベントなどがたくさんあります。それらは各家庭によって状況が異なります。まずは、自分たちが現在、または将来どんな状況になるのかを分析する必要があります。

ファイナンシャル・プランナーに相談して、自分たちがどの時点でどれくらい資金が必要かをトータルに理解することをおすすめします。その過程の中で、教育資金がいつ、いくら必要か調べ、資金調達が可能だったり、大学入学前にまとまった資金が必要だったりする場合は、学資保険は必要ないでしょう。

本当に必要な時期に必要な資金を準備することが大切です。

(最終更新日:2019.10.05)
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