太陽光発電の設置で「0円住宅」は実現可能か? 導入時のポイントや注意点

自宅で消費する電気を自宅で発電することができる“太陽光発電システム”。余った電気を売電することもできるケースもあるので、「オール電化にすれば光熱費はタダ」「売電でローンが返せる」「売電収入も可能」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。一方で、売電価格は年々下がっているというニュースも目にします。いったいどこまで実現が可能なのでしょうか。「おうちの相談窓口」店長で、おうちコンシェルジュの越智渉さんに伺いました。

自宅でエネルギーを消費する「光熱費0円住宅」は実現可能

数年前までは「0円住宅」「実質0円住宅」「売電で収入を得る家」などという言葉を耳にすることがありました。太陽光発電によって自宅で消費するエネルギーを賄うだけでなく、売電することでローンの返済や収入も期待できるという住宅です。

しかし、売電価格が下がっている現在では、太陽光発電のローンを売電収入で返したり、利益を得たりすることは難しくなっています。特に、売電価格が固定されている“購入後から10年〜20年”を過ぎると一気に値段が下がるので注意が必要です。

一方で、自宅で消費するエネルギーを賄う「光熱費0円住宅」であれば実現が可能そうです。毎月かかる光熱費の支払いがなくなるというのは大きなメリットでしょう。太陽光発電システムの性能は年々上がっており、設置費用は下がっているので、導入もしやすくなってきています。

売電収入に過度な期待をすることなく、ローンの返済計画が立てられるようであれば、光熱費の削減を目的に設置を検討するのも良いと思います。

新築に設置するなら住宅ローンに組み込むのがお得

太陽光発電システムを購入する際、新築への設置であれば住宅ローンへ組み込むことが可能。住宅ローンはソーラーローンよりも金利が低いため、お得に購入することができます。

ただ、住宅ローンの借入額には限りがあるため、太陽光発電にお金をかけると住宅のその他の内装や設備にかける費用を削らなくてはいけなくなる可能性はあります。そうなると、自分にとって優先度の高いものを考え、費用のバランスを取らなくてはいけません。

中には住宅ローンとは別にソーラーローンを勧められたという話も聞きますが、金利の高いローンを追加して組むのは返済負担が大きく、お勧めできません。特に変動金利の場合は将来的に返済額が上がるリスクもあるので、計画当初より負担が増えて支払いが難しくなる危険もあります。

見落としがちなメンテナンス費用も忘れずチェック

太陽光発電システムを設置すると、平均的に12年〜15年でメンテナンスが必要になります。住宅ローンの返済額だけでなく、この“メンテナンス費用”も忘れずチェックしておきましょう。

また、近年増えている台風などの自然災害で故障してしまうこともあるかもしれません。アクシデントの際に修理をしてもらえるかどうかはメーカーの保証内容によって異なります。

特に、保証期間は以前は10年というのが主流でしたが、最近では15年保証も増えているので、しっかりと確認しておきましょう。

まとめ

太陽光発電システムを導入することで、光熱費がかからないというのはとても魅力的なことです。しかし、売電価格が下がっている現在では、売電収入を得てローンを返済するまでは難しいようです。住宅ローンの範囲内で、住宅設備の一部として導入するのは有効ですが、無理をして追加ローンを組むと、光熱費の支払いより大きな負担になることも考えられます。将来的なメンテナンス料などもふまえて、しっかりと返済計画を立ててから導入を検討してみてください。

<取材協力>
店長・おうちコンシェルジュ 越智 渉さん

おうちの相談窓口岡山店
住宅の購入や家づくりに関するさまざまな問題に対して、住宅購入の専門家である“おうちコンシェルジュ”が公正中立な立場で回答。住宅業界の話や、知って得する“お役立ち情報”を無料で提供している。

(最終更新日:2019.10.05)
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