太陽光発電において2019年は、ひとつの曲がり角といわれています。2009年にスタートした「余剰電力買取制度(現在は固定価格買取制度=FIT(Feed-in Tariff )に移行)」は、家庭の太陽光発電で作られた電気のうち、自宅で使い切れなかった分を電力会社が10年間固定した価格で買い取る仕組み。再生エネルギーの普及を後押しするために国が定めた優遇制度です。2019年はFITが終了する家庭が多くなり、その数、50万世帯。
そんな中で、初期費用0円で太陽光発電を導入できるサービスが登場してきています。今後、私たち一般家庭のエネルギー事情はどのようになっていくのでしょうか?
TEPCOホームテックの杉原広央さんにお話をうかがいました。

太陽光発電利用へのハードルを下げるためのサービス

TEPCOホームテックの創業は、2017年。「省エネをすべての家に」というコンセプトをもとに「エネカリ」というサービスを提供しています。その中のひとつに初期費用0円で太陽光発電を設置できる「ソーラーエネカリ」というものがあります。

現在、新築戸建てを購入する人の多くが太陽光発電を検討しているといいますが、実際に導入した物件は戸建て住宅総数の約8%(社団法人太陽光発電協会「太陽光発電の現状 」より)に過ぎません。多くの人が太陽光発電に興味を持っているのに、なかなか普及に至らないのはなぜでしょう?

「やはり、初期費用が高額だということだと思います。住宅を購入する際には、みなさん予算をどのように振り分けるかに悩まれます。太陽光発電も検討していただくのですが、初期費用に100万円以上かかるとなると二の足を踏んでしまうというのが実情ではないでしょうか。住宅を購入する方々は子育て世代の場合も多いので、トータルに検討してみて見送られる場合も多いのだと思います。そのハードルを取り除くのが、当社の役目だと考えています。」

「これまで太陽光発電を導入するには、機器を購入するしかありませんでした。それに対して『ソーラーエネカリ』は、太陽光発電という機能だけを利用するという考えです。
住宅を購入する際にはいろいろな好みや条件があると思いますが、太陽光発電の機器については、メーカーにこだわる人はあまりいません。みなさんが利用したいのはあくまで『発電』であって、機器を所有したいわけではないという所に着目しました」(杉原さん)

「より多くのご家庭で省エネが実践できるようにするのが当社の務めです」(杉原広央さん)

「機能だけを使う」という新たな考え方

0円で太陽光発電が設置できるというのは、どういうシステムになっているのでしょう?

「設置される機器は当社の所有として、ユーザーの方にはその利用料をお支払いいただきます。その一方で、発電した電気は自家で消費しながら余った分は電力会社に買い取ってもらいます。」

「この仕組みで、一般的なご家庭のシミュレーションをしてみると、自家消費で節約できた電気代と余った電気を買い取ってもらう分を合計した金額、つまり太陽光発電で節約できる分と、機器の利用料が同じくらいになっています。シミュレーションなので、ご家庭によって節約できる額は変わってきますが、初期費用0円で太陽光発電を利用できるようになります。」

「10年後には機器を無償で譲渡しますので、それ以降は利用料を払わずに使用することができます。太陽光発電で得られるメリットをまるまる受け取ることができる、ということですね」(杉原さん)

太陽光発電で節約できる分とソーラーエネカリの利用料がほぼ同等になるようにシミュレーションされています。 10年後は利用料がなくなるので、節約分がそのままメリットになります。

エネルギーシステムもサブスクリプションの時代へ

最近あらゆる業界で採り入れられつつある、サブスクリプションやシェアリングサービスと同様の考え方といえるでしょうか?

「そうですね。機器を定額で利用するという面では、リースやシェアリングというサービスと同じですね。」

「『エネカリ』で利用できるのが、太陽光発電パネル、蓄電池、エコキュート、IHコンロなどです。新築はもちろん、リフォームで設置することも可能です。『ソーラーエネカリ』が設置できるかどうかについては、建物の耐震性などの審査はありますが、建物の築年数や資産価値などについては特に問われることはありません。
太陽光発電の効率については建物の立地条件に関わってきますが、この点については、通常の太陽光発電を設置する際に検討する場合と同様です。」

「さらに、エネカリでは、どこの電力会社と契約していただいても自由だというのが特徴です。当社は東京電力のグループ会社なのですが、必ずしも東京電力と契約しなくてもエネカリを利用できます。つまり、日本全国どこでもサービス対応可能なのです。太陽光発電パネルにしても、蓄電池にしても、より多くのメーカーから選んで頂くことができます。
その一方で、東京電力グループとしての強みも備えています。それは、エネルギーのプロとしての提案力です。ユーザーの方に安心感をもって利用していただけると自負しています」(杉原さん)

太陽光発電とエコキュートを合わせてエネカリで設置すれば、さらに省エネ効果が期待できます。(画像提供:パナソニック株式会社)

●その他の太陽光発電0円サービス

ハウステンボス「HOME太陽光でんき」

初期費用0円で高品質を誇る京セラ製の太陽光パネルが設置できます。太陽光で発電した電気をそのまま自分の家で自家消費。日中に発電されて余った分の電力は、10年間はハウステンボスが売電をします(10年後はユーザー自身で売電)。逆に、夜間や悪天候などで発電が不足した場合は、ハウステンボス(HTBエナジー)から電気を供給します。

太陽光発電システムで発電している時間であれば、発電量の最大1500Wまでの電気を「非常用コンセント」から使うことができるので、万が一の停電でも安心です。10年間の契約期間終了後、太陽光発電システム一式は無償譲渡されます。

TRENDE株式会社「ほっとでんき」

太陽光発電システムを初期費用0円で設置できます。システムの所有は会社側となり、追加費用0円で工事の手配やサービスに関わることを一括して手配してもらえます。

運営会社は東京電力グループなので安心。契約期間中の故障やメンテナンスなども無料で対応してもらえます。契約期間は10年と20年のプランから選ぶことができ、プランに応じて電気料金が10、20%割引になり、契約終了後は太陽光発電のシステムが無料で譲渡されます。

まとめ

FITが終了することで、売電する電力の単価が下がっていくという予測がある中で、今後は太陽光などで自家発電した電気は自家で消費するという、電力の「地産地消」ならぬ「自家自消」にシフトしていくと見られています。

また、近年は自然災害による被害が多発していますが、災害時の非常用電源として、太陽光発電システムや蓄電池などへの関心も高まっています。
さまざまなエネルギーサービスが登場してくることによって、私たち一般家庭のエネルギー環境の選択肢が増えていくと思われます。

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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