マンションを買うには幾ら必要? 知っておきたいお金の話

長い人生において、住宅にかかる出費は非常に大きなウェイトを占めています。たった1度の決断が一生を左右するため、冷静な判断ができなくなるのでは、と心配されている人もいるかもしれません。特に、マンションを買うための初期費用やその他もろもろの費用についてなどは、多くの人にとって関心の高い事柄といえるでしょう。ここでは、そのような悩みを解決すべく、マンションを買うために必要な費用の目安やその内訳などについて解説していきます。情報をしっかり整理しておき、マンション購入などの判断に役立てましょう。

賃貸と分譲、どちらがお得?

賃貸マンションを借りて住むのと、分譲マンションを買って住むのとどちらを選択するにせよ、ここが大きな分岐点になることは間違いありません。この両者、全く違う選択ではあるのですが、実は、それに必要な住居費はさほど変わらないというデータもあるのです。

仮に、家賃月額5万円の賃貸と3,000万円の分譲マンション購入で比較してみた場合、賃貸と分譲マンション購入の費用は60年後にほぼ同じになります。諸費用などがあればもっと数字は変わりますが、イメージとしては賃貸でも分譲マンションでも、金額だけでいうと大差ないといえます。

資産として残るという価値

金額には大きな開きはありませんが、住宅の扱いは違います。それは、マンションを買うのであれば、それが資産として残るということがポイントの一つです。資産になると、リフォームするもよし、売却して新しい住み家の元手にもできます。自分がオーナーとなって、人に貸すことも考えられるでしょう。また、マンションを買う場合は、ローンの返済が終われば毎月の出費も減るため、老後の生活も安心という面もあります。

一方、賃貸では1度に大きな出費がないかわりに、そこに住み続ける限りはずっと家賃を払い続ける必要があります。更に問題なのは、入居者が高齢な場合です。賃貸で住むためには、連帯保証人が必要になりますが、高齢になると連帯保証人を子どもや孫など下の世代に頼むことになる可能性があります。たとえ身内であっても、連帯保証人になってもらうというのは少し気が引けるものでしょう。

マンションを買うのであれば、他人に対して必要以上に気を遣うこともなく、堂々と住み続けることができます。目には見えにくいですが、そのような精神的な安定ももたらしてくれることもマンション購入のポイントのひとつでしょう。マンション購入は、転居などの可能性がなくなるなど生活状況が安定してくれば、購入を検討すべきタイミングかもしれません。

マンションを買うのに必要な費用とは?

用意しておきたい頭金は、物件価格の3割程度と言われています。これを用意せずに物件購入を行うと、返済期間が長くなり、トータルの利息が高くなるでしょう。金利は複利で計算されるため、返済当初はなかなか元金が減らないことも少なくありません。住宅ローンを組む場合、できるだけ金利負担を低く抑えるように頭金を確保するべきでしょう。

単純に物件価格だけを追い求めていては思わぬ失敗をすることも

マンションを買う場合、純粋に物件価格だけを追い求めていては思わぬ失敗をすることがあります。それは、住宅取得における登記費用などの諸費用や、共益費、マンションの修繕積立金の存在です。これら諸費用を考慮して資金計画をたてないと、いざそれを支払うとなったときに予算オーバーなどという事態になりかねません。

継続的な費用で代表的なものには「固定資産税」もあります。これは、住む土地や家屋の価値により変動しますが、土地や家屋を買う場合は払い続けなければならない費用です。このような明らかに必要な費用は、計画的に準備しやすいでしょう。しかし、物件の維持・修繕にかかる費用は突発的なものであり、返済計画が崩れるきっかけになる場合もあります。

資金計画の破たんはそのまま生活の破たんにつながりかねません。そのような事態を避けるためにも、それぞれの状況で必要な費用についてみていきましょう。

購入時に必要となる費用

マンションの購入時には、主に「頭金」「申込証拠金」「手付金」「印紙税」「登記費用」「不動産取得税」「固定資産税・都市計画税」などがかかります。さらに、ローン契約に関連する費用として「印紙税」と「住宅ローンの借入手数料」や「保証料」なども必要になります。これらに加えて、マンション購入であれば「修繕積立金」、戸建て住宅の場合は「水道負担金」などもかかります。そして、引っ越し費用や家具を新たに購入する費用なども必要になるのです。

登記費用については、自分で済ませるか司法書士などに依頼するかでも費用が変わります。しかし、手続きは非常に煩雑なものであり、時間が十分に確保できない人であれば司法書士などに依頼することになるでしょう。そうなると、数万円~十数万円程度の費用が生じます。どの費用もしっかり把握しておけば、節約の余地がみつかるものもあるため、事前にチェックしておくことが肝要です。

購入後に必要となる費用

購入時には様々な費用が必要になりますが、実はそれだけではありません。購入後も住宅関連の出費は続きます。もっとも代表的なものは、ローンの返済費用です。これは計画しやすいかもしれませんが、この他にもマンションの「管理費」「固定資産税」「修繕費積立費」「駐車場賃貸料」などの費用があります。

具体的な金額として、修繕積立金の相場は月額で5,000円~1万5,000円です。この費用は物件が古くなるほど高くなる傾向があります。また、マンションの管理費は月額1万円~2万円程度です。こちらは住宅環境により幾らか変動します。これらを住宅ローンに上乗せして払う必要があるので、経費として毎月準備することが必要となります。

これらの出費をしっかり考慮して住宅資金を計画しないと、どこかでひずみが出てくることになります。計画通りにならなかったときに、生活費を削ったり教育費を削ったりするなどして、別の部分にしわ寄せがいく可能性が出てきます。そうしたことを防ぐためには、継続的にかかる費用を細かく把握しておくことが肝要です。

新築と中古どちらを買うべき?

資金が十分にあれば新しいものを買うでしょうが、資金がないのであれば中古の選択肢もあるでしょう。しかし、資金がないからといって安易に中古マンションを買うのも、少し気にしておいた方がいい点があります。それは、中古マンションの場合は修繕積立金が高額になるためです。特に、築20年以上の物件であれば、より高くなる傾向があります。このような管理・維持費を見落とすと、安いと思って購入した物件が思ったよりも高くつくことになりかねません。

新築マンションであれば、もちろん物件価格は高くなります。しかし、修繕積立金は比較的安価で、共用設備は新しくて充実しており、間取りが選べるなど環境も良好です。これらの要素を踏まえたうえで、高いか安いかを判断していくべきでしょう。中古マンションについては物件価格が安いのはもちろん、立地条件のよい物件があるなどのメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを確認し、自分のライフスタイルに合ったものを選択していくとよいでしょう。

費用は計画的に準備を

賃貸とマンション購入では、お金だけをみると長い目で見て、さほどトータルの出費は変わりません。また、新築と中古のどちらかを選択するにしても、双方メリット・デメリットは存在するものです。重要なのは、必要な費用を確認したうえで、堅実な資金計画をたてることになります。マンションを買うつもりであれば、事前に必要な費用を総合的に検討し、十分な購入資金を確保しておきましょう。

(最終更新日:2019.10.09)
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