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あなたはこの1年、何日有給休暇を取りましたか? 有給休暇を使いたいけれど、なかなか消化できていないという人にはうれしいニュースとなった、このたびの労働基準法改正。2019年4月からすべての企業で、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。ここでは、日本人の有給取得状況や有給休暇の対象、今回の改正のポイントを解説します。

日本人の有給休暇取得率は世界ワースト1!

実は日本人の有給休暇の取得率は50%、3年連続で世界19か国中の最下位となっています(エクスぺディア・ジャパン調べ)。ワースト2のオーストラリアでも取得率は70%なので、これはダントツの低さです。また、有給休暇取得日数も世界最小の10日間であり、日本では「休みにくい」のが実情です。

同じくエクスペディア・ジャパンによると日本人の58%が「有給休暇の取得に罪悪感」を感じると回答しています。みなさんも周りの目を気にしながら有給休暇を取った覚えがあるのではないでしょうか。

「休み」に対する考え方は世代間でも差があるようで、18~34歳、34歳~49歳で休み不足と感じている人が6割に達しているのに対して、50歳以上で「休み不足」を感じている人の割合は約4割と、50歳以上では休みをあまり必要としていない人が多いようです。もしかしたら、休み不足を感じていない上司の考え方が有給休暇を取りにくい雰囲気を作り出してしまっているのかもしれませんね。

上手に有休休暇を取って、リフレッシュしたいものです

年次有給休暇はいつから誰がもらえる?

そもそも年次有給休暇とはどんなものでしょうか? 年次有給休暇とは、半年間以上働いた人に付与される賃金が支払われる休暇日のことです。

労働者が以下の2つの要件を満たす場合に取得できます。

【1】雇い入れの日から起算して6ヶ月継続勤務していること
【2】全所定労働日の8割以上を出勤していること

つまり、上記の条件を満たしている場合、正社員、パート・アルバイトの雇用形態にかかわらず年次有給休暇はもらえるのです。

では、休暇は何日もらえるのでしょうか?
正社員の場合には、まず、最初の6ヶ月経過日に10日の年次有給休暇がもらえます(出勤率が8割以上の場合)。そして、さらに、継続勤務年数1年ごとに勤続年数が増えるほど、少しずつ増えていきます。

一方で、パート・アルバイトの場合には、労働時間や週の出勤日など働き方によって付与される日数が変わります。例えば、週所定労働日数が3日かつ継続勤務年数が3年半の労働者の場合、最初の6ヶ月では5日付与、3年半で8日付与、といった感じです。

なお、この年次有給休暇は労働者が「いついつ休みたいです」とはっきり時季を指定することによって取得できるものなので、労働者が自ら言い出さない限り、企業が休暇を与えなくても法令違反にはなりません。
厚生労働省の調べ(年次有給休暇取得状況の推移 平成22~28年)では、正社員のうち約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者の比率が高いという実態が明らかになりました。

働き方改革の一貫で、5日以上の年次有給休暇取得が義務付けられる

この「年次有給休暇の権利はあっても取得をしていない」状態を打開するために出されたのが、今回の「年次有給休暇の時季指定義務 」というわけです。

2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられます。
ただし、労働者が自ら申請して取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて与えた日数(計画的付与)に関しては、5日のうちから控除することができます。つまり、すでに年次有給休暇を5日以上取得している労働者に対しては、使用者による時季指定は行わなくてよい、ということです。

この義務付けは、企業の規模・業種を問わず、かつ、正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず適用されます。
対象者は「年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)」ですから、6ヶ月経過日に10日の年次有給休暇がもらえる正社員は全員必ず対象となります。

一方で、パート・アルバイトのうち、週所定労働時間が30時間未満の方は、働き方によって対象・非対象が異なります。具体的には、以下の通りです。

・週所定労働日数が4日:勤続勤務3年6ヶ月以上の労働者は全員対象
・週所定労働日数が3日:勤続勤務5年6ヶ月以上の労働者は全員対象
・週所定労働日数が2日:年次有給休暇の最大付与日数が7日のため、対象外

自分が対象であるのか、否か、しっかりチェックをしておきましょう。

実際の運用としては、企業側が年次有給休暇を取得していない労働者に「いつ取りたいか?」の希望を聞いて、その希望を踏まえて「いついつ休んでください」と時季の指定をすることが想定されます。

なお、企業が最低年5日の年休を取得させなかった場合、従業員1人当たり最大30万円の罰金が科されたり、企業側が時季を指定したにもかかわらず労働者が出勤した場合も処罰されたりする可能性もあるようです。実際のところ、どこまで罰則が厳しく科されるかはわかりませんが、いずれにしても、以前よりは年次有給休暇を取りやすい環境にはなりそうです。こういった世の中の流れに乗って、自分の権利はしっかり行使したいものですね。

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この記事の執筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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