この記事は、約6分で読めます

マンションを購入する際、販売価格は気にしても“建設費”は気にしないという人は多いのではないでしょうか。販売価格の妥当性を見極めるうえで重要な要素のひとつが建設費です。本記事ではマンションを買う際、ぜひ押さえておきたい建設費について解説します。費用の計算方法や費用目安なども紹介しますので、購入判断の参考にしてみてはいかがでしょうか。

マンション価格の大半は建設費

マンションを購入する際、販売価格はオープンにされていますが、その内訳までは大々的に公表されているということは少ないでしょう。マンションの販売価格は、土地代や建設費、販売諸費用、不動産会社の利益などによって決まり、内訳の大半を占めるのが建設費です。

建設費はマンションの規模やグレードによって変動します。まず、地盤を含めた土地環境は建設費用に大きく影響するものです。そのほかにも、戸数や骨組み構造、階数、設備のグレード、共有スペースの充実度なども建設費にかかわる要素です。そのため、マンション規模が大きくなるほど建設費の占める割合は大きくなる傾向にあります。これらをすべて高い基準で満たすようなタワーマンションレベルになってくると建設費は相当なものになります。

建設費用のカラクリ

マンション1棟を立てるのに必要な建設費用は、「建設費の坪単価×延べ床面積」で計算されます。1坪は約3.3平方メートルですので、坪単価とは約3.3平方メートル分の単価のことです。

マンションには、一戸当たりの専用面積のほか、エントランスやエレベーターホール、バルコニーや外部廊下といった共有部分が設けられています。床面積には、この共有部分もすべて含まれます。そのため、広い敷地に何棟も立ち並ぶような大型マンションやタワーマンションの場合では、莫大な建設費用がかかってくるというわけです。

マンションの建設費を大きく左右するのは、建設地の坪単価や人件費、資材費などです。しかも、これらは景気や建設予定地の場所などによって大きく変動します。そのため、坪単価といってもかなり幅があります。

構造による違いも坪単価に影響します。現代のマンションにはほとんど見られない構造ですが木造が最も安く済み、次に鉄構造、鉄筋コンクリート造の順で費用が高くなります。さらに、鉄骨コンクリートの芯部に鉄骨を入れることで、鉄筋コンクリートの耐久性と鉄骨造のしなやかさを兼ね備えた最新型の構造が鉄骨鉄筋コンクリートです。タワーマンションのように規模が大きい建物で採用されることが多く、その分坪単価としては割安になります。

マンション建設費の内訳

マンション建設費には、本体工事費のほかに、外構工事費、付帯工事費、その他諸費用も含まれます。本体工事費とは、アパートやマンションなどの建物を建てる際の工事費用のことで、一般的に建設費の7~8割を占めます。逆に本体工事費を圧縮し過ぎることで、経年劣化が進みやすくなったり、修繕費が増えたりする可能性がありますので、本体工事費が安すぎるマンションは注意が必要です。土台から基礎、壁、屋根はもちろん、内装やキッチン、トイレ、給湯器など入居者の生活に必要な設備をすべて含みます。外構工事費に含まれるのは、建物の外回りにかかわる費用です。具体的に対象となるのは、塀や門、庭、アプローチ、駐車場などの共有部分です。

外構工事費には、建設費用だけでなく、これらの美観を保つための植栽などに関する費用もかかってきます。また、建設予定地にそもそも別の建物が残っていた場合の解体費用や地盤改良費用などの費用が発生する場合も、外構工事費用に含まれます。付帯工事費とは、給排水工事や電気・ガス工事など、生活に必要な環境を提供するための工事費用のことです。ほかにもインターネット環境や防音対策費用など、周辺環境やマンション入居ターゲット層に応じて想定されるニーズを踏まえた工事が行われます。その他諸費用には、不動産取得税などの税金や、登記に関する費用や火災保険料などが含まれます。

マンション建設費が高騰しているって本当?

東日本大震災の復興、東京オリンピック開催のため、建設現場は人手不足に。労務費や建築資材が高騰し建設費を圧迫しています。

新築のマンションを見学に行った際に、想定よりもマンションの販売価格が高くて驚いたという経験がある人は多いのではないでしょうか。実際に、マンション建設費は高騰傾向にあります。

その理由は複数ありますが、まず大きな理由としては、東日本大震災の復興のために相当な人員が必要になったことがあります。さらに、東京オリンピック開催のためにさらに貴重な人材が必要になり、初心者では対応できない建設現場の人手不足に追い打ちをかけているのです。オリンピックを円滑に実施するために、都内でさまざまな工事が行われていることから、建築資材がそれ以外の場所に回らず不足気味という現状もあります。結果として、労務費や建築資材が高騰し、それが建設費を圧迫しているのです。

国土交通省「建設工事費デフレーター」より作成

国土交通省が建設工事に係る名目工事費を基準年度の実質額に変換する目的で、毎月作成、公表している建設工事費デフレーターで、建設工事費の傾向を見てみます。

グラフはマンションの多くが採用している鉄筋RC構造の数値で、2011年4月を基準の100としていて2011年から2018年10月までの推移を示しています。これを見ると、建設工事費は2013年以降は右肩上がりで上昇しているのがわかります。こうした状況を受けて、マンションの価格も上昇傾向にあります。

しかしながら、同じレベルで給与が増えないなかで、マンションの価格だけが上がっても、需要と供給が合致しません。そのため、不動産会社としても、販売価格上昇をできるだけ抑えようとして、コストカットのために見えない部分で材質や構造のグレードを下げている場合もあります。特に、エントランスや外部廊下、ベランダなど居住者が気付きにくい部分でコストカットを行っている傾向にあります。

そのため、マンション購入の際には室内以外の部分にも目を向けてみることが大切です。場合によっては、労務費や建築資材が高騰している時期に建設された新築マンションよりも、それ以前に建てられた中古マンションのほうが、質感がいいこともあります。マンション販売価格高騰は、東京オリンピック後には落ち着いてくるという見通しです。マンションの購入を特に急いでいない場合は、しばらく世の中の動きを観察してみるのも判断の一つとなるでしょう。

マンションを買うなら建設費にも注目

マンションの建設費は、マンション価格や設備のグレードなどにもかかわる問題です。自分や家族が住むうえでの満足度を左右しますし、将来的に売却する際の資産価値への影響も懸念されます。土地付きの一戸建てと比べると、マンションの資産価値はどうしても経年と共に下がっていく傾向が否めません。

それを少しでも軽減するためには、広告宣伝で謳われている通りのグレードの高いマンションなのか、グレードに対して適正な販売価格かという観点も必要です。マイホームは一生のなかでも大変大きな買い物ですので、賢く物件を見極める必要があります。優良なマンションを購入するための基礎知識のひとつとして、建設費についての知識を持っておくと有利です。

関連記事

カンタンな質問でおススメ物件診断

住宅ローン情報

住宅ローンをご検討中の方

おすすめ記事