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2020年4月から開始予定だった幼児教育・保育料無償化ですが、消費税率10%への引き上げと同時に前倒しで実施されることになりました。今後のライフプランにも影響する内容ですので、対象年齢や所得制限などしっかりチェックしましょう。

2019年10月に前倒し! 幼児教育・保育の無償化の対象は?

家計負担の軽減が期待される幼児教育・保育の無償化

まず、幼児教育・保育の無償化は、少子化対策の一つとして2020年4月から実施される予定でした。これは、20代・30代の若い世代が理想とする子ども数を持たない最大の理由が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という調査結果を受けています(※)。
国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015年)

では、なぜ前倒しで実施されることになったのでしょうか?

安倍政権は改めて2019年10月からの消費税率引き上げ実施を確認したわけですが、その見返りとして「消費税率引き上げによる税収の半分を国民に還元」することを明言、その一つが「幼児教育・保育無償化」なのです。つまり幼児教育・保育無償化の財源は消費税の増税分を見込んでいるのですね。無償化の主な対象や所得制限などの条件は以下の通りです。

<幼児教育・保育の無償化の主な対象>
・3~5歳の子がいる世帯:年収に関係なく無償化
 ⇒ 認可施設は保育所・幼稚園・認定こども園ともに無償化
   認可外保育施設等(※)は月額3.7万円を上限として無償化

・0~2歳の子がいる世帯:住民税非課税世帯のみ無償化
 ⇒ 認可施設は保育所・幼稚園・認定こども園ともに無償化
   認可外保育施設等(※)は月額4.2万円を上限として無償化

※自治体の認証保育施設、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業、基準を満たしたベビーシッターなど

上限金額はあるものの、待機児童問題で認可保育所に入ることができず、認可外保育施設等を利用した場合でも無償化となる点はうれしいですね。なお、幼稚園での預かり保育も対象です(月額上限1.13万円)。手続きについては、幼稚園や保育園などから配布されるはずです。

幼児教育・保育の無償化が実施されたら、家計はどう変わるの?

では、幼児教育・保育の無償化で家計はどの程度、ラクになるのでしょうか?
無償化される対象費用から確認していきましょう。保育料は当然のことながら無償化の対象ですが、保護者から実費で徴収する通園送迎費、食材料費、行事費などの経費については、無償化の対象外となります。
ここでは、一例として、幼稚園の費用が無償化されたらどうか?という観点でのメリットをみてみましょう。

文部省の統計データ(平成28年)によると、公立幼稚園に通った場合の年間教育費は、3歳で約12.7万円、4歳で約11.6万円、5歳で約12.2万円、私立幼稚園では3歳で約36.9万円、4歳で約27.6万円、5歳で約31.6万円です。

<参考:3~5歳の学習費>                                (単位:円)

 

学校教育費

給食費

公立幼稚園

私立幼稚園

公立幼稚園

私立幼稚園

3歳

126,669

(月額約10,555)

368,983

(月額約30,748)

23,923

30,068

4歳

115,990

(月額約9,665)

275,948

(月額約22,995)

19,415

29,600

5歳

121,985

(月額約10,165)

315,563

(月額約26,296)

19,963

30,108

平均

120,546

318,763

20,418

29,924

※文部科学省「子供の学習費調査」(平成28年度)より作成

一方で、2019年10月には消費税率が10%にアップします。もちろん食料品や飲み物、テイクアウトのお弁当などは8%のままですので、すべての品目の消費税が上がるわけではありません。たとえば、消費税10%の対象品目の支出が月15万円の家計では、消費増税に伴う家計負担は年間36,000円(ひと月3000円)です。幼児教育・保育の無償化による支出の軽減は、期間限定ではありますが、メリットは大きいですね。

ちなみに、ノンアルコールビールは8%のまま、医薬品・医薬部外品は10%、外食や社食、イートインで食べるお弁当は10%ですが、テイクアウトのお弁当は8%と品目によって消費税が8%なのか10%なのかが変わります。自分の家計では、どの程度の影響がありそうなのかをチェックしてみて、家計の見直しを図ることもおすすめします。

<参考:30代・40代の月の平均的な支出>
*住宅ローンや税金などの非消費支出は含まず
※総務省統計局「家計調査」世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(全国・二人以上の世帯のうち勤労者世帯)より/平成28年

幼児教育・保育の無償化はうれしい! でも、デメリットはないの?

まず、無償化になることで今まで金銭的な理由で保育園や幼稚園に預けていなかった家庭が保育園や幼稚園を利用することで、ますます待機児童が増える可能性があります。ただでさえ保育士など専門スタッフが足りない状況の中、保育所等に通う子どもが増えることで、人材がさらに不足し、「保育の質が下がる」「子どもに目が行き届かなくなる」ことも懸念されています。現時点では、保育施設の質を客観的に評価する仕組みがないため、利用する側もどう見極めるかが重要ともいえますね。

まとめ

幼児教育・保育の無償化は金銭的に家計にとって十分メリットがあることがわかりましたが、浮いたお金をどう活かすのかもポイントといえます。

たとえば、塾代やおけいこ代に回してより質の高い教育を目指す、軽減できた金額を貯めておき、高校や大学の学費に役立てる、あるいは、子どもを預けてパート勤務をすることで家計収入のさらなるアップを図る、あるいは子どもは1人と思っていたけれど2人目も考えてみるなど、家族で話し合い、どう活用するのか、今後のライフプランも考えてみてください。

また、子育て支援については自治体独自の取り組みもあります。自分が住んでいる地域の制度もしっかりチェックしてみることもおすすめします。

今後も政府は、2020年度までに32万人分の保育の受け皿整備を進めて、一日も早く待機児童が解消されるようにする、認可外施設から認可施設への移行を促進させるなど、さまざまな政策を進めていくようですので、そういった変化も含めて最新情報には注目しておきたいところですね。

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