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ほしい物件が見つかったら、自分の年収ではどの程度の住宅ローンを借りられるのか、気になるところです。今回は、4,500万円程度の住宅ローンを組むのにどの程度の年収が必要か、検証してみます。

4,500万円を借り入れると、毎月の返済額はどうなる?

日銀は2018年7月30日~31日の金融政策決定会合で、実質的には金利上昇を容認しており、今後の金利変化は気になるところです。
まずは、仮に4,500万円の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済金額がいくらかになるかを借入期間別、適用金利別にみてみましょう。

【表1 4,500万円を借り入れた場合、月の返済額はいくらになる?】

適用金利/期間 20年 25年 30年 35年
金利1.0% 20万6,910円 16万9,560円 14万4,720円 12万6,990円
金利1.2% 21万960円 17万3,655円 14万8,905円 13万1,265円
金利1.4% 21万5,055円 17万7,840円 15万3,135円 13万5,585円
金利1.6% 21万9,195円 18万2,070円 15万7,455円 13万9,995円
金利1.8% 22万3,380円 18万6,345円 16万1,820円 14万4,450円


※金利は借入期間中、変わらないと仮定。借入金100万円あたりの返済額表から試算
※元利均等返済、ボーナス返済なしと仮定。保証料は考えない

ちなみに、2019年1月時点での【フラット35】の最頻金利(最も多い金利)は、借入期間21年~35年の融資率9割以下で1.33%、9割超で1.77%。三井住友銀行の超長期固定金利型では借入期間20年超35年以内で1.68%、住信SBIネット銀行の35年間全期間固定金利型(当初金利引き下げタイプ)では、1.42%となっています。おおよその月返済額は【表1】の試算表でイメージできるでしょう。

【参考:主な金融機関の住宅ローン金利 2019年1月時点】

商品/金融機関 借入期間 金利
ARUHIフラット35:融資率9割以下(機構団信込み) 21年~35年 1.33%
ARUHIフラット35:融資率9割超(機構団信込み) 1.77%
ARUHIフラット35:融資率9割以下(機構団信込み)  15~20年 1.26%
ARUHIフラット35:融資率9割超(機構団信込み) 1.70%
三井住友銀行:超長期固定金利型 20年超35年以内 1.68%
住信SBIネット銀行:全期間固定金利型 新規借り入れ(諸費用を含まない) 35年 1.42%(当初金利引き下げプラン)


当然、同じ適用金利でも借入期間が長くなるほど、毎月の返済金額は少なくなるので、目先の返済は楽になりますが、利息も含めたトータルの返済額は多くなります。
「毎月いくらなら返済できるのか」という月々の返済金額だけでなく、「退職までに返済が完了できるのか」「金利が上昇した場合でも返済が可能か」など含め、総合的に借入金額が妥当かを判断する必要がありますね。

4,500万円を借り入れるのに適正な年収は?

4,500万円の借り入れをする場合に「年収がいくらあれば安心か?」というのは、「金融機関の審査基準を満たしているか?」と「自分の家計上、いくら借りても大丈夫か?」という2つの観点で考える必要があります。

いくら借りられるか?

金融機関では収入基準のひとつの目安として「年収に占める1年間のすべての借入返済金額の割合=返済比率」を決めています。
これは金融機関によっても異なりますが、【フラット35】では年収によって返済比率が定められ、年収400万円未満で30%以下、 年収400万円以上では35%以下です。

フラット35】返済比率

年収400万円未満 年収400万円以上
30%以下 35%以下

たとえば、①金利1.2%で4,500万円を35年借り入れするケースでは、自動車ローンや教育ローンなどそのほかのローンがなければ、月返済額は131,265円、年間の返済金額は157万5,180円となり、少なくとも451万円以上の年収がないと収入基準を満たすことができません。
もし、②30年間で借り入れをするのであれば、年間の返済金額は178万6,860円ですから、少なくとも511万円以上の年収が必要、というように返済期間を短くすると、必要な年収はそのぶん多くなります。

なお、民間の金融機関は返済負担率というかたちで明確な基準を公表していない機関がほとんどですが、一般的には上限を35~40%程度としているところが多いようです。

夫婦共働きで収入合算する場合にはどうなる?

4,500万円という大きな金額を借り入れする場合、夫婦共働きで一緒に返済していくというケースもあるでしょう。
収入合算できる金額は金融機関によっても異なりますが、たとえば、【フラット35】では、収入合算者の全額を合算できます(合算者の年齢により借入期間の制限あり)。
収入合算では、夫婦の年収を合計した金額が収入基準を満たしていればよいため、上記の①のケースでは、仮に夫の年収が300万円でも、収入合算する妻の年収が151万円以上あれば収入基準を満たすことになります。

ただし、夫婦で収入合算する場合には、共に働き続けることができるのかといった点は、非常に重要なポイントです。
たとえば、「育休は取れたけれど、保育所が見つからなくて復帰できなかった、あるいは復帰が遅れた」「育休中に2人目の子どもができて結局、復帰できなかった」など、当初の予定通りに仕事が続けられないケースも考えられます。
最初から「夫婦の収入ありき」で返済計画を組んでしまうと、万が一、妻が仕事を辞めた場合や産休・育休期間中の収入減で住宅ローンの返済ばかりか家計に支障をきたしてしまうかもしれません。「夫婦共働きできなくなった場合でも返済可能な資金計画」を立てておく必要がありますね。

いくらであれば無理なく返済できるか?

上記の①のケースで審査基準を満たすからといって、年収451万円あれば4,500万円の借入金額が妥当かというと、そうとは限りません。年収の約80%を手取り額と仮定すると、年収451万円では手取り額は約360万円、さらにこの手取りから年間返済金額の157万5,180円を引くと、残額は約202万円。この金額で固定資産税や都市計画税、さらには生活費や教育費などをやりくりするのはかなり厳しいです。

つまり、「家計から見て、いくら借りるのが適切か」という観点も非常に大切といえます。
住宅ローンは、年収から税金や社会保険料などを控除した「手取り」から返済します。無理なく長期間返済を続けるには、年収に占める返済の割合(返済比率)を年収の20~25%以内程度に抑えておくことが理想といえるでしょう。

仮に、金利1.2%で4,500万円、35年借り入れするとなった場合(ほかのローンはなし)には、返済負担率を20~25%以内に抑えるには、約630~788万円の年収が必要です。
上記の「年収451万円で4,500万円の借り入れ」というケースは、返済比率が約35%ですから、審査上は借入可能ですが、家計にとっては無理がある借り入れといえますね。

3.頭金はどれくらい入れるべき? 返済期間は35年が最適?

では、頭金はどの程度準備する必要があるのでしょうか? 住宅を取得する際には購入物件の5~10%程度の経費がかかります。最近では、諸経費も上乗せして借り入れできる商品も増えていますが、借入金額が増加すればそれだけ返済負担も増えてしまいます。できれば諸経費も考慮して物件価格の2~3割程度、頭金として準備しておきたいところです。

返済期間についてはどうでしょうか? 退職時までに完済することを考えると、「退職時年齢-現在の年齢」が借入期間の一つの目安といえます。例えば、現在35歳で65歳まで働くと仮定すると、「30年」です。ただし、返済期間を短くすれば毎月の返済金額は大きくなるので、いったん35年間など長い期間で組んでおき、繰り上げ返済を活用しつつ期間の短縮を図っていくのもよいでしょう。
 
また、返済期間中に収入が減少する、金利が上昇するなど、家計や世の中の状況が変化する可能性もあるので、特に変動金利(半年型)で借り入れをする場合には、金利上昇によって月返済額が増えても対処できるように、「頭金を多めに入れて借入金額を減らしておく」など余裕を持った資金計画を立てておくことをおすすめします。

4.まとめ

仮に、金利1.2%で4,500万円、35年借り入れする場合(ほかのローンはなし)、理想とする返済負担率を20~25%以内に抑えるには、少なくとも約630~788万円の年収が必要なことがわかりました。
ただ、住宅は購入したらそれで終わり、ではなく、住宅ローンの返済もしつつ、教育資金や老後資金、旅行資金などライフプランに必要なお金を同時に準備していく必要があります。希望する生活を送るのに必要な金額も人それぞれです。住宅を購入したために返済に追われて、希望する生活が送れないのでは本末転倒ですので、住宅購入をライフプランの一環としてとらえて、「適正な借入金額」を判断することも忘れずにしましょう。

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この記事の執筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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