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長期間にわたって子どもの教育資金の準備をしていても、子どもの進学先の予定が変わったり、留学が決まったりして、入学・在学資金が不足する事態が起こるかもしれません。そんなとき、貯蓄でカバーできない資金は、ローンの活用が現実的な選択肢になります。今回は、教育ローンの使い方や留意点を考えてみましょう。

ローンを借りる前に確認しておきたいこと

教育資金を準備する目的でローンを借りる前には、少なくとも次のことを確認しておきたいものです。

【1】ローンの返済によって、夫婦の老後資金が準備できなくなる心配はないか?
【2】返済のメドが具体的にあるか?
【3】奨学金制度の活用を検討できないか?

教育資金を借りると、その後返済の負担が親に重くのしかかります。教育ローンと併せて、「住宅ローンや自動車ローンなどの返済がある場合」や、ほかにもまだ「これからまとまった教育資金が必要な子どもがいるような場合」は、夫婦の老後資金が十分に準備できなくなる可能性があります。

教育ローンの活用によって、目の前の問題は解決できたように見えても、実際には問題の先送りにしかなっていないこともあります。そうならないようにするためにも、長期的な夫婦のライフプランとのバランスを熟慮した上で、教育ローンの活用や借りる金額を決めたいものです。

また、借りる前に、現実的な返済プランを具体的にイメージすることも大切です。「家計のやりくりを工夫して毎月の返済額を捻出する」、あるいは「妻がパートで働くなどをして、世帯収入のアップを図って対応する」、「子どもが自立したあとに生まれる家計のゆとりで返済を本格化する」など、具体的な返済計画を立て、事前に返済のメドをつけておくことが重要です。

場合によっては、奨学金制度を活用し、子ども自身に教育費を負担させる方法もあります。なお、奨学金制度には、卒業後に返還する必要がある貸与型のほかに、返還の必要のない給付型もあります。教育ローンと奨学金制度を併用することにより、親子で負担を分散させる方法もあります。

教育ローンの代表格は、国の教育ローン「教育一般貸付」

教育ローンは、さまざまな金融機関が取り扱っていますが、なかでも代表的な教育ローンは、日本政策金融公庫が取り扱っている「教育一般貸付」という国の教育ローンでしょう。公的な制度であるだけに、教育ローンの活用を検討する方は、知っておきたい仕組みです。


教育一般貸付(国の教育ローン)の概要

国の制度であるだけに、利用には、以下の通り、所得制限が設けられています。

利用できる方の世帯年収(所得)の上限額

扶養している子どもの人数 世帯年収(所得)の上限額
1人 790万円(590万円)
※一定の条件で、990万円(770万円)までに緩和されます
2人 890万円(680万円)
※一定の条件で、990万円(770万円)までに緩和されます
3人 990万円(770万円)
4人 1,090万円(870万円)
5人 1,190万円(970万円)

※(  )内の金額は、事業所得者の所得上限額
※世帯年収(所得)には、世帯主のほか、配偶者等の収入(所得)も含む

対象となる学校

国内だけでなく、海外も含め、さまざまな学校が対象となっています。

大学、大学院(法科大学院など専門職大学院を含む)、短期大学
専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校
高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校
その他職業能力開発校などの教育施設

資金の用途

借りたお金の用途は、学校に納める資金にとどまらず、幅広い使いみちに対応しています。なお、借り入れ後1年間に必要となる費用が対象です。

学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)
受験にかかった費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)
在学のための住居費用(アパートなどの敷金・家賃など)
教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険料など

借入限度額

子ども一人について、350万円以内。
なお、一定条件の海外留学資金の場合は、最高450万円となります。

金利(2019年1月現在)

年1.78%(固定金利・保証料別)。
なお、子ども3人以上の一部世帯や、世帯年収200万円以下の人などには、優遇金利(1.38%)が適用されます。

なお、金利は、借入時の金利情勢によって変動します。
保証料については、親族から連帯保証人を立てる場合は不要。教育資金融資保証基金による保証を利用する場合は必要です(融資額から一括して差し引かれます)。

  • 返済期間

15年以内。
子ども3人以上の一部世帯や、世帯年収200万円以下の人などは、18年以内。

  • 返済方法

元利均等返済方式(元金と利息を合わせて返済し、毎月の返済額が一定)。
なお、在学中は元金と据え置いて、利息のみを支払うことも可能。


以上が、「教育一般貸付」の概要です。なお、借り入れ時には審査があり、場合によっては借り入れができない場合や希望額が借りられない場合があることに留意する必要があります。制度の詳細は、日本政策金融公庫に問い合わせてください。

多くの民間金融機関も、教育ローンの取り扱いをしている!

銀行や信用金庫、JAバンクなど、多くの民間金融機関も教育ローンを取り扱っています。対象となる学校や資金の用途などは国の教育ローンと似ていますが、利用条件に所得制限は設けられていません。ただし、審査の結果、借り入れができない場合や希望額が借りられない場合があります。

金利は、金融機関によってまちまちですが、変動金利タイプのところが多いようです。変動金利タイプは、借入時の金利は固定金利タイプより低くても、返済中に市場金利が上がると、連動して適用金利も上がり、返済額が増えるリスクがあることに注意が必要です。

住宅ローンや給与振込、クレジットカードなど、他のサービスを利用している場合に、金利を割り引くサービスを行っている金融機関もあります。

どの金融機関から教育ローンを借り入れるかを決める際には、金利タイプや金利水準だけでなく、保証料など、借り入れにかかる費用も含めて、複数の商品の比較・検討を行う必要があります。

教育資金は、用途が決まっている教育ローンのほかに、用途制限のないカードローンなどでも借りることができます。カードローンは気軽に利用できる使い勝手の良さがメリットですが、高金利のため返済負担が重くなります。そのため、教育資金を借りる場合は、金利の低い教育ローンが適しています。

借りたあとは、できるだけ繰上返済を行って、負担を小さくする

返済が始まったら、その後はできるだけ繰上返済を行って、負担の軽減を図りたいものです。

繰上返済の効果を、事例で見てみましょう。

【借入条件】

借入額:300万円
金利:1.78%(固定金利)
返済期間:15年
返済方式:元利均等返済方式
※ボーナス返済なし、諸経費は考慮しない

※上記試算は、住宅保証機構株式会社のローンシミュレーションより

このケースの毎月返済額は19,002円となり、15年間で支払う利息の総額は、420,429円になります。

仮に、返済をスタートして2年経過後に50万円の繰上返済(期間短縮型)をした場合、支払う利息の総額は306,902円となり、約11万円も削減することができます。さらに、返済期間は2年8ヶ月短縮され、12年4ヶ月で完済することできます。

このように大きな負担軽減効果があることからも、返済が始まったら、家計を見直して貯蓄をし、積極的な繰上返済を心がけたほうがよいでしょう。

まとめ

子どもの教育資金は、親にとっては、住宅資金、老後の資金と並ぶ「人生の3大資金」のひとつです。いずれも重要な資金で、優先順位を付けにくいものです。それだけに、バランスをとりながら準備を進めることが大切です。そのためには、老後まで見据えた長期的な視点でライフプラン・資金計画を立て、その後は定期的に見直し・修正を行うことが大切です。このことを通して、資金準備のバランスを検討する習慣をつけることができます。

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