昨年2018年は台風による洪水、強風、豪雨の被害が大きい年でした。洪水や強風により甚大な被害を受けられた方たちには一日も早い復興をお祈り申し上げます。

こうした自然災害による家や家財の損害は火災保険で備えることができます。2018年に限らず、近年は台風だけでなくゲリラ豪雨や大雪、雹など自然災害が増えています。「洪水で床上浸水した」「風で屋根が飛ばされた」「物が飛んできて家が壊れた」「大雪でカーポートがつぶれた」「雹で窓ガラスが割れた」など、自然災害による損害の保険金の支払額も増えています。

出典:2017年度損害保険料算出機構 火災保険・地震保険の概況

自分が加入している火災保険で何が補償されるのかを知らず、保険金の請求漏れをしていてはせっかく保険料を支払っている意味がありません。「家」という高額な財産を守るためにも、火災保険でどこまで自然災害に備えることができるのか知っておきましょう。

災害時、火災保険でカバーできる範囲はどのくらい?

火災保険は火災・落雷・破裂・破裂・爆発に備える保険ですが、風災・雹災・雪災・水災といった自然災害による損額にも備えることができます。具体的にどのような損害が補償されるのか、まずは下表で確認しておきましょう。

【火災保険で補償可能な事例】

補償内容 建物補償の事例
火災・落雷・破裂・爆発 ・失火・もらい火・放火による火災、放水被害など
風災 ・台風による強風で屋根が飛んだ。アンテナが壊れた
・物が飛んできて壁に穴が開いたなど
雹災 ・雹が当たって太陽光パネルが壊れた
・雹が当たって屋根が壊れ雨漏りがする
雪災 ・雪の重みでカーポートの屋根が落ちた
・雪の重みで雨どいがゆがんだ
水災 ・台風で川が氾濫し床上浸水した
・ゲリラ豪雨で土砂崩れが起き、家が流されて全損した

火災保険は「火災・落雷・破裂・爆発」と「風災・雹災・雪災」を基本補償としている商品が多いのですが、補償を組み立てるタイプの商品では「風災・雹災・雪災」に加入しないという選択もできます。

また、立地条件や建物の形状から洪水はないと判断し、水災の補償を外している方も多いと思います。まずは自分が加入中の火災保険の保険証券を見て、自然災害に対する補償をどこまで付けているか確認しておきましょう。

たとえば、雪災の補償を付けていれば、雪の重みで門や塀、車庫が壊れてしまった場合保険金を受け取ることができます。ただし、住宅総合保険や住宅火災保険といった古いタイプの保険に入っている場合は、20万円までなど一定額の損害までは保険金が出ない契約となっている場合があります。また、新しい保険でも保険料をおさえるために、一定額までの損害は保険金が出ない場合がありますので、自分が加入する火災保険では、いくら以上の損害で保険金が出るのかあわせて確認しましょう。

普段使わない門塀などが損害を受けると気づきにくい場合があります。そのまま時間がたち劣化してしまうと、災害による損害ではなく経年劣化と判断され、せっかくの保険金が出なくなってしまう場合もあります。豪雨や大雪の後などは家周りを目視し、損害に気づいたら速やかに保険金の請求をしましょう。

最近は太陽光パネルを屋根に乗せている住宅も増えています。台風や雪、雹などで太陽光パネルが壊れた時も火災保険の対象になります。ただし、保険会社によって太陽光パネルは建物の保険で補償するのか家財の保険で補償するのか異なることもあります。家財で補償される場合、建物の火災保険に加入していても保険金は出ません。保険証券で確認し、わからなければ保険会社に聞いておきましょう。

また、雨漏りはその原因を特定することがむずかしい場合があります。風災、雪災、雹災など自然災害が原因の雨漏りであれば保険金が出ますが、太陽光パネルを設置したために雨漏りが発生した、経年劣化により雨漏りが発生した、という場合補償の対象となりません。さらに新築の建物では建物の構造上の重大な瑕疵については、住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務付けられています。引き渡しから10年以内の雨漏りは火災保険ではなく住宅瑕疵担保責任保険で補償されます。

水災については、床下浸水や軽微な損害では保険金は支払われません。保険会社にもよりますが、床上浸水や地盤面から45cm以上の浸水、建物価額の30%以上の損害が保険金受給の要件となっています。近年は洪水による広範囲の被害も増えています。ハザードマップで自宅の洪水の危険度を確認して、心配があれば水災の補償を検討しましょう。

火災保険に、家財保険や地震保険は付けた方がいいの?

建物だけに火災保険を付けても建物内に収容されている家財についての補償はありません。高価な家具は持っていないから、と家財の保険には加入しない方も増えているように思います。しかし、いざ被害にあった時、一から家財道具をそろえるのにはお金がかかります。預貯金が少ない方、これから子どもにお金がかかる方、住宅ローンがたくさん残っている方は家財の保険も検討してみましょう。

家財の保険で補償される事例をまとめてみました。

【家財の保険で補償可能な事例】

補償内容 家財の補償例
火災・落雷・爆発 ・落雷で電化製品が壊れた
・家事で家財も燃えてしまった
・放水で家財が水浸しになり使えなくなった
水災・雹災・雪災 ・台風で洪水となり床上浸水して半分以上の家具が使えなくなった

水災による家財の損害に対する保険金は、家財の30%以上に損害が出ることが要件となっているのが一般的です。

また、地震による建物や家財の損害については一部の費用保険を除いて火災保険では補償されず、地震保険に加入しなくては保険金を受け取ることはできません。保険料が高いことや保険料に対する補償額が少ないなどの理由から、加入を躊躇する人も多いようです。地震保険は火災保険にセットして、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で付けることができます。たとえば、建物に2,000万円の火災保険を付けた場合、地震保険は600万円から1,000万円範囲で補償額を選びます。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が保険金額の上限です。

地震保険の保険料は自宅がある都道府県と建物の構造により決まります。近年の東南海地震など大規模地震の予測から、大地震による被害の確率が高い都道府県の保険料は年々上がっています。2019年1月にも保険料の改定が行われる予定で、東京都の木造一戸建てで割引が全くないと、1,000万円の地震保険に対する保険料は38,900円となり、現在に比べて2,600円上がります。

しかも火災保険が実際の損害額が支払われる実損払いなのに対し、地震保険は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階でしか保険金が支払われません。

【地震保険の保険金の額】

損害の程度 保険金の額
全損 地震保険の保険金額×100%(時価額が限度)
大半損 地震保険の保険金額×60%(時価額の60%が限度)
小半損 地震保険の保険金額×30%(時価額の30%が限度)
一部損 地震保険の保険金額×5%(時価額の5%が限度)

出典:日本損害保険協会HPより

地震保険は広範囲に大規模な損害が発生した時でも迅速に保険金を支払う、生活再建を目的とした政府保証です。地震で家に住めなくなっても住宅ローンは残ります。家財保険と同じように、住宅ローンの残高がたくさんある人、小さいお子さんがいる人、預貯金が少ない人はいざという時にできるだけ早く生活再建ができるように、地震保険への加入を検討しましょう。

災害に見舞われた時、保険の請求手続きはどうするの?

保険に加入していても請求手続きをしないと保険金を受け取ることはできません。あわてて請求を忘れないように平時に補償の内容や手続きについて確認しておきましょう。保険金請求の流れは以下の通りです。

【保険金請求の流れ】

火災保険
【1】保険会社のサービスセンターに電話をし、保険の内容を確認してもらい、事故の概要や連絡先を伝える。損害の現場の写真を撮るなどして証拠を残し、修理を行う場合は見積書を取る
【2】サービスセンターが保険金支払いの対象となる事故かどうかを判定し、対象となれば必要書類を送ってくれる
【3】保険金請求書類を作成し保険会社に提出する
【4】サービスセンターの担当により損害を精査し、損害額を確定する
【5】損害が大きかったり、判定が難しい場合、損害調査員(損害保険登録鑑定人)の立会いのもと、第三者機関による鑑定調査が行われる
【6】調査の結果が損保会社に報告され、損害額が確定する
【7】保険金の支払い

 

地震保険
【1】加入する保険会社に事故の報告をする
【2】損害調査員(損害保険登録鑑定人)が建物の損害調査を実施。請求者は図面と保険証券の準備をしておく
【3】損害調査員(損害保険登録鑑定人)から保険会社へ損害状況の報告
【4】保険金の支払い

保険金を請求するにあたっては、加入している保険の補償内容の確認と被害状況の報告がポイントです。保険証券を手元に準備してサービスセンターに電話したいところですが、緊急時にはむずかしいかもしれません。いざという時のコールセンターの電話番号だけでも平時に控えておきましょう。保険金が出るかでないかわからない場合でも、とりあえず電話をして聞いてみます。その損害がいつの災害でいつできたものか説明できるように、日付入りの写真を撮って証拠を残しておくことも大切です。請求を忘れていても3年まではさかのぼって請求できることも覚えておきましょう。

また、上の表を見ると火災保険に比べて地震保険は手続きが簡単なのがわかります。広範囲、大規模な災害に備えるために損害を4段階に簡略化して、速やかに保険金が支払われる制度になっているからです。地震保険を検討するときはその趣旨をしっかりと理解して加入しましょう。

また、台風、洪水、高潮などで車が水没したという場合は火災保険では補償されません。自動車保険の車両保険で補償されます。しかし地震や噴火、津波で車に損害が生じた場合の備えには、別途特約を付けることが必要です。自動車保険に加入している保険会社に確認してみましょう。

まとめ

以上、自然災害に備える火災保険について見てきました。2018年は大風の被害が多く、しかも町の広範囲が水没したり、建物が密集する大阪や文化財が多くある京都などでも大きな被害を受けました。

日本全国どこに住んでいても自然災害は避けられない状況です。災害が起きてしまってからでは何もできません。平時の時こそ災害に備えることが大切です。このコラムをお読みいただいたことをきっかけにぜひ保険証券を取り出し、大切な家や車を守るために十分な内容となっているかどうか確認しておきましょう。そして、いざという時保険金の請求漏れがないように補償の内容と同時に手続きの方法についても確認しておきましょう。

この記事が気に入ったらシェア

オススメコンテンツ

おすすめ記事