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「そろそろ転職?」と次のステップを考え始めたとき、気がかりなのが転職先での年収。転職後に今より年収が上がるのか、それとも下がるのかは、生活に直結する問題だけに、慎重に考えたいところです。転職者の賃金の推移や転職で年収アップを狙うコツ、転職希望先に伝える「希望年収」の額について、FPが解説します。

30代男性からの相談「転職で年収アップを叶えるには?」

Q. 転職を考えています。転職を期に年収アップを狙いたいのですが、転職希望先に伝える「希望年収」については、どう考えるとよいでしょうか(30代/男性)

●ファイナンシャル・プランナー大林香世さんによる解説
A.「希望年収」は、「自分や家族が必要とする金額」を基本に、その金額が転職希望先の給与体系とかけ離れたものでないかを検討してみましょう。

転職者の約3割は、転職後に賃金アップに成功!

転職で賃金アップに成功する人は3人に1人ほど

厚生労働省の調査によると(表1)、転職後に賃金額が減少した人が3割超いる一方、転職後に賃金額が増加する人も3割超とのこと。転職による収入増加・収入減少は同じくらいの割合というわけです。「転職すると収入が下がる」といわれることがありますが、転職による収入アップを実現している人も多いのですね。

※厚生労働省「平成28年雇用動向調査の結果概要」より抜粋

「希望年収」は、自分や家族の必要とする金額を基本に考えてみる

さて、せっかく転職するなら、現在よりも収入アップを狙いたいところですが、「希望年収」を考える際には、いったん、「現在の収入」から離れて考えたほうがよいのではないでしょうか。そもそも、企業ごとに給与体系や制度は異なりますし、転職を機に違う職種につくような場合には、業種の違いでも報酬の相場が異なる場合も。「現在よりも高収入」と考えた数字は、希望する転職先の給与体系とはそぐわない数字になることがありそうです。

そこで、転職する際に把握していただきたいのが、「自分と家族が必要な金額」です。表2にみるとおり、家族の人数によってかかる生活費は違ってきます。家族の年齢によって、現在の資産額によっても、転職後の収入で確保したい金額は変わってきます。

自分や家族の生活費のほか、子育て世代であれば近く必要になる教育費を考慮することが大切になりますし、老後の公的年金が期待できない世代にとっては、給与で老後資金の準備も始めたいところです。自分や家族の現在と将来の生活とかかるお金を考え合わせて、まずは「必要な金額」を算出しましょう。その上で、同業他社やその業界の給与の相場や、自分の能力・実績に応じた上乗せ額なども考慮して、転職希望の会社の給与体系にも合致する「希望年収」を考えてみてください。

なお、「現在の年収」は、転職希望先の給与制度には関係ないわけですが、今までの生活を成り立たせてきた収入額なので、結果的に「希望年収」に近い数字になる可能性はあります。

<表2:世帯人員別標準生計費(平成29年4月)>

世帯人員 1人 2人  3人 4人  5人
計※ 116,560円 178,940円 199,260円 219,620円 239,940円

※「食料費」「住居関係費」「被服・履物費」「雑費Ⅰ」「雑費Ⅱ」の合計額
人事院「平成29年人事院勧告」より

希望年収は、自分自身への評価額

転職希望先に示す「希望年収」は、自分自身の評価額であり、「その希望年収の額に見合った働きができます」という意思表示になります。したがって、高い希望年収を示せば、企業からはその金額に見合った働きを期待されることを覚悟しておきましょう。

また、その企業の給与体系から大きく外れた「希望年収」を示すと、その企業の業務に適性があったとしてもその企業では経費的に抱えきれない人材とみなされてしまうかもしれません。
「その金額なら自分と家族の生活を将来に渡って成り立たせることができる」という金額でありつつ、「自分にはその年収に見合った価値がある」と自信をもって示せる金額で、かつ、その企業の給与体系の中で働く意欲があるとみなされる「希望年収」を考えてみましょう。

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