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寒さが厳しい時季こそ、部屋を明るく彩り、気持ちを上向きにしたいもの。そんなときは、インテリアに英国流の“花飾り”を取り入れ、空間に華やぎをプラスしませんか。公開中の映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」には、日々の暮らしの中で花を楽しむヒントが多数隠されています。ポップでありながら艶やか、ナチュラルかつ大胆。劇中に登場する魅力的なフラワーアレンジメントやブーケについて、恵比寿の人気フラワーショップ ルーモアズのオーナー、石黒茂由希さんに解説してもらいました。

アトリエの窓にはグリーンがたっぷり

庭や自宅を花で飾る。この文化は万国共通かもしれません。中でもガーデン大国英国に学ぶべきことはたくさん。英国の庭師は格式も高く、人気の職業とされています。そんな英国の「花飾り」の世界を、映画からのぞいてみました。

英国のファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド。彼女は1971年に“ロック”をコンセプトとした服をつくって以来、パンクのアイコンとなり、英国カルチャーのトップに君臨し続けています。そんな彼女のドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」が2018年12月28日から公開中。クリエイティブな活動を続ける彼女の身近にある花に注目しました。

現在、77歳にして現役のヴィヴィアン・ウエストウッドは、パンク・カルチャーの生みの親ともいえる存在です。1970年代後半にはパンクバンド、セックス・ピストルズをプロデュース。今もなお、自分の主張を服に反映し、社会問題に関心を持ち続けています。自分で考え、人々の注目を集め、即行動することを信念に持ったデザイナーであり、アクティビストでもあるのです。

いつも過激で圧倒的なパワーを感じさせるヴィヴィアン・ウエストウッド。1985年には無一文になったというエピソードも明かされます。苦難と偏見を乗り越え、1990年とその翌年には2年連続でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました ©Dogwoof
情熱的な彼女のアトリエのインテリアは意外とクラシック。知的な仕事をする部屋から見える庭には、草木が豊かに茂っています ©Dogwoof

ワイルド・フラワーは日本でも人気上昇中

劇中、ヴィヴィアン・ウエストウッドはファッションショーの直前までダメ出しをし、パリにオープンした新店のインテリアにも厳しく意見する様子が描写されています。そんな彼女のアトリエには、どの部屋にも生花や花の絵が飾られています。映画に登場する花について、フラワーショップ ルーモアズのオーナー、石黒茂由希さんに解説してもらいました。

グリーン・エネルギーを使おうというメッセージを打ち出した2017年3月のショー ©Dogwoof

「こちらは、ワイルド・フラワーと呼ばれる野性的な雰囲気の花束です。オーストラリアなど南半球の草花をつかい、エキゾチックな印象に。最近、日本でも人気が出て、結婚式などでもこのスタイルが増えています。こういった花束をつくるコツは、たくさんの草花をつかんだようにまとめること。まず葉物を何種類もたっぷりと持ち、そこへ花を挿し入れます。服が主役のファッションショーのためか、落ち着いた色の花をつかわれていますが、家庭では濃いピンク色などの花をつかってもいいでしょう」(ルーモアズ 石黒茂由希さん)

“シルバー”と黄緑の葉もので立体感をプラス

「過去の話は退屈」と厳しい表情でインタビューに答えるその横には、ゴージャスな花びんに花が飾られています ©Dogwoof

「左側に飾られている花のポイントは、実は花器にあります。カラフルなマーブル柄の吹きガラスで、光が当たるとさらに美しい花器です。メーカーは、プロのフローリストが始めたオランダのFIDRIO。日本にも輸入されており、フラワーショップで購入できます。存在感があり、一見、花の個性とぶつかりそうですが、挿すとおさまりよく、華やかです。
これと同じように花を飾るには、まず葉ものを数種類用意します。ユーカリなど“シルバー”と呼ばれるタイプのほか、黄緑色のものなど色味が異なるものをつかうと立体感が出ます。花はオリエンタル・リリー2本、エルムレス3本を用意します。エルムレスは夏の限られた時期にしかないので、冬なら代わりとしてキンギョソウがあります。
 日本の住宅であれば、花は壁際に置き、三方見(壁を背にして、正面と左右の三方から見るアレンジ)で飾ることが多いでしょう。生け花のように整えるのではなく、買った花をテーブルに広げ、両手でつかんで束にし、そのまま花びんに挿すと、ほどよい勢いが出ます」(ルーモアズ 石黒茂由希さん)

バラは十分咲きも美しい

その人生は波乱万丈。3回の結婚、2人の子供を育て、デザイナーであり、経営者であり続けています ©Dogwoof

「彼女のアトリエの花は、全体的にクラシックなアレンジメントです。ヨーロッパらしいクラシックな生け方を身に着けた人が周りにいるのでしょう。
上の写真も、さりげなく飾ってあるバラですが、こちらも非常にクラシックな印象があります。日本では6分咲きくらいのバラが好まれますが、英国ではしっかりと咲いた十分咲きのバラが好まれます」(ルーモアズ 石黒茂由希さん)

 映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」に登場するのは、決して器用ではなく、だけど本気で自分を生きる人間です。好奇心にあふれ、自分の意志を貫こうとするヴィヴィアン・ウエストウッドの情熱には心が揺さぶられるものがあります。自分の中の情熱を引き出したいとき、部屋に飾った一輪の花がそっと背中を押してくれるかもしれません。

取材協力/ルーモアズ
東京都渋谷区恵比寿 4-23-10 1階
http://rumours.jp/

ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス
監督:ローナ・タッカー
出演:ヴィヴィアン・ウエストウッド、アンドレアス・クロンターラー、ケイト・モス、ナオミ・キャンベル、カリーヌ・ロワトフェルド、アンドレ・レオン・タリー
2018年12月28日(金)より角川シネマ有楽町、新宿バルト9他全国ロードショー
公式サイト:http://westwood-movie.jp
©Dogwoof

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この記事の執筆者
三村 路子 ライター

一般雑誌で映画や舞台など、カルチャー情報の連載をはじめ、ティーン向けのマンガ原作、シナリオ執筆活動のほか、幅広いジャンルの取材・執筆活動も精力的に展開。第7回WOWOWシナリオ大賞優秀賞受賞(共作)、あいち国際女性映画祭2018 短編フィルム部門 観客賞受賞(共同脚本)

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