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2018年11月2日、パナソニック ホームズは、都市型IoT住宅「カサート アーバン」の新発売を発表しました。同社は、この住宅について、パナソニックが2018年に創業100年を迎えたことを期に、「パナソニック100周年記念住宅」と位置付け、「パナソニック100年の知恵と工夫」や「進化し続ける住まい」の提案が詰まっているといいます。創業者・松下幸之助氏から100年続く家づくりに込めた思いは、どのように新しい住まいを生んだのでしょうか? 2018年11月にオープンしたモデルハウスを訪ね、パナソニックのプロジェクトリーダーである村本衞一さんに話をうかがい、その使い勝手を体験してきました。

パナソニックだから生まれた「くらしの統合プラットホーム」

パナソニックのビジネスイノベーション本部事業戦略センター・村本衞一さん(左)。リビングの壁に設置された「HomeXディスプレイ」

「従来の住宅では、電灯のスイッチのほかにも、ドアホン、エアコン、電動シャッター、給湯器などさまざまな住宅設備のコントロールパネルが混在していました。それらを一つにすることで、操作性もシンプルになり、必要な機能に最短でアクセスすることができます」(村本さん)

周囲のモノがインターネットにつながるIoTが身近な製品に実用化され、私たちの暮らしはどんどん便利になっています。日々、そうした情報に触れはするものの、具体的には何がどう変わり、どんなふうに便利になるのかは、なかなか実感しづらいものです。目の前の調理器具やTVに新しい使い方が秘められていたとしても、トリセツ(取扱説明書)を読むのは面倒に感じる人も多いではないでしょうか。

実は「データ」という言葉を聞くのも苦手な人、「都市型IoT住宅」と聞いてちょっとひるんだ人、家電やスマートフォン、ゲームなどをほとんど感覚的に使い始めるタイプの人は、むしろ「カサート アーバン」の住み心地の良さが実感しやすいかもしれません。

モデルハウスを案内してくれた村本さんの説明は、意外にも同社の自戒の念とも言える「反省」からスタートしました。

「パナソニックは30以上の事業部門があります。それぞれの専門家が長い年月と試行錯誤を重ね、膨大なアイデアの中から製品を生み出しています。その一つひとつは、技術を極め、使い勝手の良さを追求し、磨き上げた自信作です。しかし、家電が増えるとリモコンが増える。住宅設備が自動化すればコントロールパネルが増える。しかもデザインや操作性がそれぞれ違う。お客さまの側からしたら、正直、何とかしてほしい、と思われていたのではないでしょうか? 製品を使いこなす。それをお客さまに押しつけていたのではないか? 創業100周年を前に、パナソニックが全社的に製品開発を見直し、たどり着いた一つの結論がこの『HomeX』です」(村本さん)

「HomeX」とは、「カサート アーバン」に搭載されている「くらしの統合プラットフォーム」の名前です。「プラットフォーム」は「情報基盤」と言い換えることもできますが、日常生活と直結させるには、少し距離があるかもしれません。一番、実感しやすい「どこにいても、ぜんぶできる」便利さから見てみましょう。

「HomeX」のディスプレイは、各部屋の動線上の壁に設置されます。液晶画面にスマートフォンのアプリケーションと同じアイコンやプッシュ通知で機能や情報が表示されます。どの部屋にいても、ドアホンとの通話や居室間の会話ができたり、全室の照明の消灯や電動シャッターを操作ができたりします。寝室から別室の室温管理もできるので、人が移動する前から各部屋の準備を整えることも可能です。住み替えによって、部屋数が増える、設備が増えるというのは便利な反面、手間の増加もあとから実感するものですが、手間が減ることの実感は新鮮です。しかし、「HomeX」の便利さは、それだけにとどまりません。

「HomeX」のディスプレイは、スマートフォン同様に画面のスクロールで階層を移動でき、さまざまな設備の機能へアクセスしたり、生活提案のアプリケーションを感覚的に利用することができます

住んでから便利さが増す「くらしをアップデートする」住宅

「パナソニック」の社名を聞いて思い浮かべる製品のジャンルは、人それぞれ。照明機器、オーディオ等エンタテインメント、調理器具、美容やヘルスケア関連と言う人もいるでしょう。パナソニックの30以上の事業部門には、そうした製品をそれぞれに研究している専門家が数多くいるそうです。

「たとえば睡眠についてどのような照明が快適かを20年間研究している部門があります。また、市販されている洗濯機には、『ケチャップ汚れを落とすモード』や『泥汚れを落とすモード』は、ほとんど使われることはありません。お肌ケアのノウハウも、製品の専用サイトには、使い方や応用のノウハウを紹介する新規のコンテンツも随時増えているのですが、製品を購入したお客さまがアクセスする頻度は限られています。パナソニックが持つ多くの研究成果、膨大なコンテンツが、必要シーンとタイミングで届けることができたなら、お客さまの暮らしを日々よりよくできるのではないか。『カサート アーバン』で実現を目指した『くらしをアップデートする』住宅は、そうした発想から生まれました」(村本さん)

モデルルームの部屋を移動すると、行く先々で「HomeX」はこうした提案をしてくれます。リビングでは、今日の天気と同時に、明日以降の台風の接近情報も。通常、住宅用蓄電池は8割の充電が推奨ですが、停電に備えたフル充電の準備を提案。万が一の停電でも、2〜3日間の生活をまかなえます。

また、寝室では、目覚まし時計での起床ではなく、睡眠サイクルに応じた照明の段階的な明るさや音楽で快適な誘眠や起床を促すといったことが可能となります。さらに洗面ルームでは、外気の乾燥に応じたお肌のケアも動画でサポートしてくれます。ダイニングやキッチンでは、日々の栄養バランスや季節のイベントに合わせたメニュー提案も。選んだメニューのレシピは、調理家電に転送され、下ごしらえを済ませば設定の手間もなく調理をスムーズに進めることが可能となります。

寝室の睡眠サポートや、バスルームの設定、洗濯機等の家電のモニターも可能
パウダールームや洗面室のディスプレイでは、コスメのノウハウ、髪を乾かしたり、歯を磨きながらニュースをチェックしたりして時間を有効活用できます

これからの注文住宅は建てた後のニーズにも応えてくれる

「カサート アーバン」は、2階でも天井高2m70cmの実現が可能。設計モジュールは15cm単位で対応が可能です。住む人のオーダーメイドに、「HomeX」のソフト面でも応える新しい発想の注文住宅

従来、注文住宅は、住む人の希望を設計や住宅設備のコーディネートで実現し、ハードの完成が一つのゴールだったといえるでしょう。「カサート アーバン」では、「HomeX」が住み始めてからの暮らしをソフト面でサポートし、誰がどこでいつどんな生活をしたいのかを心得、それに応じた情報を提供してくれます。ソフトですから、住宅の完成後も新たに追加されたり、アップデートされたりすることで、さらに進化していきます。

住宅設備に新たに加わった「プラットフォーム(情報基盤)」は、快適な暮らしが「ずっと続く」ことを可能にしてくれるのかもしれません。

取材協力:パナソニック ホームズ「カサート アーバン

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