エアコンの室外機、設置場所がないときの対処法5つ

寒い時期や夏場など、欠かせない家電といえば「エアコン」。冷暖房器具としてはもはや当たり前かもしれませんが、取り付け工事が必要で、新居への引っ越しや部屋に新しくエアコンを導入しようと検討する際、「エアコンの室外機の設置場所がないけどどうしよう」などと頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。

室外機は、エアコン本体が集めた部屋の中の熱を放出して捨てる役割を担っています。そのため、室外機は屋外に設置される必要があるのです。庭やベランダに室外機を設置しているケースは多いですよね。

となると、庭やベランダに設置場所がない場合はエアコンを置くことができないのでしょうか? 結論からいって、庭やベランダがなくてもエアコンの室外機を設置することはできます。室外機の設置場所が見つからなくてもこれからご紹介する方法のうちいずれかを用いれば、新しく設けることができます。

今回はその方法や費用、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

外壁に設置する「壁掛け」を利用する

庭やベランダに室外機を置くときは、標準的な設置工事として扱われています。一方、庭やベランダがない家では、この“標準的な工事”に当てはまらない、特殊な作業を施すことで室外機を設置することが可能となります。

「壁面取り付け」などとも呼ばれる「壁掛け」という設置方法があります。家の外壁に室外機を載せるための専用の棚を取り付け、その上に室外機を設置します。専用の棚を取り付けるための作業が必要となりますので、2階ほどの高さなら脚立を利用して行われます。3階以上の高さに取り付ける場合は、脚立以外の方法で足場を確保しなければなりません。また、ベランダがある場合は「ベランダの外壁に取り付ける」という方法もあります。

家の外壁を設置スペースとして使用するため、「どこにも設置する場所がない」というケースでも利用できる点がメリットです。その反面、取り付ける際には、作業の足場が確保できる外壁に限られることと、取り付ける棚の形状によっては室外機が周りを覆われる形になるので、「室外機の排熱効率が落ちて電力効率が下がる」というデメリットもあります。

アパートやマンションなどでベランダがない家も少なくないもの。その場合は壁掛けすることによって設置することで解消できるかも。

戸建て住宅なら「屋根置き」できる

戸建て住宅の場合、屋根に室外機を設置する「屋根置き」という方法があります。屋根に設置するので、屋上がなくても問題ありません。

屋根置きは、屋根の傾斜角度に応じて専用の台を取り付けて室外機を置く場所を確保します。主に屋根のある戸建て住宅で用いられる方法ですが、屋根付き集合住宅に住んでいる人が利用することもあります。

ベランダがなくても室外機を設置できるのがメリットでしょう。しかし、設置場所によっては室外機が直射日光に晒されやすくなるため、電力効率が落ちたり、室外機が傷みやすくなったりするのがデメリットです。

2階の部屋にエアコンをつける場合は「立ち下ろし」

アパートや戸建ての物件で、2階の部屋に室内機を取り付けたいものの、2階にベランダがなかったり、その部分には室外機を置きたくなかったりする場合に有効なのが「立ち下ろし」。配管パイプを1階までおろして、室外機を1階に設置することができます。

3階以上の上層階にも立ち下ろしは可能ですが、配管が長くなればなるほど電力効率が落ちたり、そもそもの工事料金が高くなったりする傾向があります。また、エアコンの性能によっては3階以上の高さからはおろせないものや、通常の能力を発揮できないものもあるので注意が必要です。

もう1台追加したいときには「2段置き」

すでに室外機を1台設置しており、もう1台追加したい場合は「2段置き」がおすすめです。元から置いてある室外機に専用の棚を取り付け、その上にもう1台の室外機を設置します。2台分が積み重なるので、それに応じた十分なスペースが確保できることが条件になります。

1台分の面積で2台設置できるのがメリットですが、下に置いてある室外機が棚に囲まれる形になるので、電力効率が悪くなるのはデメリットといえます。

ベランダのスペースを有効活用できる「天吊り」

ベランダに室外機を置くためのスペースが十分確保できない場合、「天吊り」という設置方法が使えます。「天井吊り下げ」などと呼ばれることもある天吊りは、ベランダの天井部分に専用の棚を設け、そこに室外機を設置します。「ベランダに室外機を置くことはできるけど、狭くなってしまう」という悩みを解消することもできます。

天吊りは室外機周りの通気性を確保できますが、ベランダが南向きの場合は室外機が日差しに晒されるため電力効率が落ちたり、室外機が傷みやすかったりするデメリットがあります。

工事費用はいくらかかる?

どの設置法が適しているかは、住まいによってさまざまです。また、必要な設備や作業内容も場所によって変わってくるため、まずは自分の家の場合はどれくらいの工事費用がかかるのか見積もってもらうようにしましょう。

今回ピックアップした5つの方法は、標準的な工事の範囲内に収まりません。そのため、追加料金が発生する可能性が高いです。通常よりも2万円程度は追加で料金がかかるものと想定しておくといいでしょう。

エアコンの設置工事は、工事専門の業者や引っ越し業者に依頼することができます。新居に移り住む場合は引っ越し業者にまとめて依頼した方が手間も少なく安心ですが、特殊工事に対応しているかどうかについては確認するようにしましょう。

できるだけ費用はおさえたいところですが、業者選びは「安ければ安いほどいい」というわけでもありません。業者によって、基本料金でできる工事の内容が異なるので、金額に含まれる作業をしっかりチェックしておく必要があります。「やけに安いと思ったら基本工事でやってくれる範囲が狭くて、結局追加料金がたくさんかかってしまった」といったケースもあります。金額と作業内容を確認して、失敗のないようにエアコン設置を依頼しましょう。

どうしても室外機が置けない場合は「窓用エアコン」

さて、これまでご紹介した方法でも室外機の設置が難しい場合、「窓用エアコン」を利用するという選択肢もあります。窓用エアコンはエアコン本体と室外機が一体型になったもので、窓枠に設置して使用します。

設置工事の必要がなく、自分で取り付けられる点が非常に楽ですが、使用できるか否かは窓の大きさによります。窓の大きさは窓用エアコンの種類によって異なりますので、窓用エアコンの導入を検討している方は確認するようにしましょう。

室外機を置く場所が見つからなかった部屋でも使える窓用エアコンにはメリットがたくさんありますが、普通のエアコンに比べてやや音が大きいところがデメリットといえます。とはいえ扇風機よりやや大きい程度の騒音なので、そこまで神経質でなければ問題ないかもしれません。

エアコンの有無は、快適な居住空間であるために大きく関わってくるポイント。室外機を設置する場所がないからといって、あきらめる必要は全くありません。自分の住まいに合った方法を選択して、快適な暮らしを手に入れましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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