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AI技術や考えが家作りにも入り込んできました。そしてなんと、玄関にも。 窓やドアなどの建築用プロダクツメーカーのYKK APが、AI技術を採り入れたこれまでにない新しい玄関ドアを開発。商品化を目指しています。そのドアは一体どのようなモノか。同社のショールームで実体験。それは未来へと向かう、ドアでした。

通るたび、毎日をアップデートする「未来ドア」

YKK APが開発したドア、「未来ドア」とは一体どのようなドアなのか。そこで東京・新宿にある同社のショールームに向かいました。このドアの試作品が展示されているという。

玄関ドアの「試作品」――。それだけでもこのドアがただものではないことがひしひしと伝わってきます。ショールームでは同社広報室・清水宏則さんが案内してくれました。

「こちらが『未来ドア』の『UPDATE GATE』です」(清水さん)

清水さんが教えてくれたのは大きな扉の前。ふと気が付くとドアノブがない。しかしそれ以外は大変失礼ながら、普通のドアと比べてもあまり変哲がなかった。と、思ったその時、突然模様が変わった? 実は、このドア、高精細の4K対応のモニターなのでした。桜や紅葉など季節に合わせた自然の画像などのほか、ハロウィンやクリスマスツリーなどイベントに合わせた画像を表示すれば、それだけで家に帰ってくるのが楽しくなります。

「これは通るたび、『毎日をアップデートする』というコンセプトのもと、毎日をより便利にし、家族のコミュニケーションがより楽しくなるようにサポートしてくれるドアです。

扉の室内側・室外側両面に4Kのモニターとカメラが搭載され、扉の上部には人感センサーが設置されています。これらの最新設備が、これまで扉にはなかった様々な機能を持たせてくれているのです」(清水さん)

動画により動きのあるデザインを表示することも可能だそうです。お父さんの帰宅時間に合わせて、家族全員からの「おかえりなさい」動画を流せば、一日の疲れも吹き飛びます。

春は桜、12月はクリスマスツリーなど、季節やイベントに合わせて扉の画像を変えることができる

AIで学習する未来ドア『UPDATE GATE』

このドアには外側と内側にモニターを搭載。しかも機能が異なるのです。

外側の様子。人感センサーによる自動開閉のため、両手が荷物でふさがっていてもスムーズに家に入れる

まずは家族全員の顔の情報をドアに登録しておきます。家族のだれかが帰宅すると、人感センサーが働き、人が来たことを認識。次に、顔認証で訪問者が誰なのかを認識した上で、扉を自動開閉します。

ドアノブがなくても、家族や訪問者として登録しておけばドアは開くのです。例えば定期的に訪問するヘルパーさんなども、登録しておけば顔認証が可能で、家族以外に鍵を渡さなくて済み、セキュリティ面に配慮した構造です。

内側の様子。誰が出かけるかをドアが認識し、その人に合った情報を即座に提供してくれる

室内側に搭載されたモニターには、家族一人ひとりに合った情報が音声とともに表示されます。朝早く出かけるお父さんには、リアルタイムの交通情報を。子どもたちが登校する際は、天気や花粉情報、その日のスケジュールを教えてくれ、「今日は体育があります。体操着は持ちましたか?」などと聞いてくれます。最後にお母さんが出かける際は、ドアが家の中の様々な家電とつながり、玄関で電気やエアコンの消し忘れなどをパネル表示で確認できます。これらの個人情報は、AIの学習機能で毎日アップデートされていき、使えば使うほど便利になるというわけです。

「未来ドア」が持つ、内側と外側の多様な機能

はじまりは「未来窓」だった

このドア一体どのような経緯があって開発がスタートしたのでしょうか。

「普段意識はしないけれど、日々の生活に密着している建材である窓やドアを、発想を変えてワクワク感や期待感を創出できるアイテムにすることができるのではないか、という視点から、まずは2016年4月に『未来窓プロジェクト』がスタートしました」(清水さん)

そして2017年6月に発表されたのが「世界とつながる窓『Window with Intelligence』」。クリエイティブラボ PARTY、Will Smartとともに開発。透明有機ELを樹脂製窓フレームに組み込む(特許出願中)ことで、窓の基本性能を保ちながら、 次の7つの基本機能を搭載しました。

天気や室内環境を元に窓を自動開閉させてクリーンな状態にする換気機能、AIスピーカーやインターネットとつながることで窓が住空間の様々な家電をコントロールする家電連携機能、遠く離れた人との対話ができるチャット機能、お絵かき・メモを残すメモ機能、気象情報を窓がライブやネット経由で取得し表示する天気機能、毎日の部屋の中を定期的に撮影するライフログ機能、窓とスマホをペアリングして画像を表示するミラーリング機能。

「未来窓」は、昨今のスマートホーム化への新提案として、2020年の実用化を目指した挑戦です。「窓が情報を持ったなら」という想定のもと、家族や遠く離れた人とつながれるコミュニケーションツールとしても活躍するなど、毎日の暮らしが便利になる窓として、プロトタイプがショールーム新宿に展示してあります。

建材の持つ可能性を追求しつづける

「これまでありそうでなかったドアのデザイン変動機能が、ショールームでも人気を得ています」(清水さん)

発売は2020年。発売までには価格面の改善と、機能面での精査を進めていくといいます。

「この先もさらなる建材の可能性を追求していきたいと考えています」(清水さん)

こうした建材の開発によって、これからの住宅はスマートホーム化に向かってどんどん加速していくでしょう。二年後の未来には、鍵を持つ必要もなく、ドアや窓が話しかけ、室内電気は自動で点灯。IoT家電も導入すれば想像を超えた未来生活がもうすぐそこに待っているかもしれません。

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この記事の執筆者
木内 貴子 ライター、翻訳家

ライター、翻訳家。

株式会社サマーシード代表。主に雑誌、書籍、webサイトなどのライターとして活動。得意分野は、アジア圏における政治からサブカルまで全般的に扱う。中国語書籍の翻訳も行う。

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