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住居について、「ずっと賃貸住宅での暮らしを続けるか」あるいは、「マイホームを購入するか」の判断は、その後のライフプランに多大な影響を与えます。経済的な損得だけでなく、自分たちの仕事の関係、子どもの教育環境、さらには、親やその他の親族の状況など、さまざまなことを勘案し、課題を整理して包括的に判断する必要があります。

どちらが得か? の金額比較シミュレーションは無意味!?

ずっと賃貸暮らしを続けるか、あるいはマイホームを購入するかの判断をするときに、それぞれのケースで一生涯にかかる金額をシミュレーションし、損得で意思決定をするのはあまり意味がないでしょう。なぜならシミュレーションをするときの個々の条件をどう設定するかによって、結果はまったく違ったものになるからです。

賃貸暮らし・マイホーム購入での“住居費”となる条件は?

賃貸暮らしのシミュレーションをする場合、将来のライフテージに応じて住み替えるか否か、住み替える場合は今後何回住み替えるか、また、どれくらいの家賃水準を見込むか、敷金や礼金の額や原状回復費用をどの程度に想定するか、など、さまざまな条件を設定しなければなりません。

マイホームの場合も、物件価格、購入時の諸費用、頭金の額、住宅ローンの借り入れ額、金利タイプ、適用金利、将来の適用金利の推移、返済期間、固定資産税や都市計画税の額、リフォーム費用など、またマンションの場合は、管理費、修繕積立金などの条件を決めなければ、比較検討に値する金額のシミュレーションをすることができません。

金額に影響を与える条件の数が多く、それらを少し変えただけで、賃貸暮らしが得になったり、マイホームが得になったりしてしまいます。

実際には、「賃貸か?マイホームか?」の判断は、かかる金額以上に、住宅に関する自分たちの基本的な考え方や、自分や家族の仕事の関係、子どもの教育の関係、実家の親との関係、老後にリタイアしたあとの過ごし方など、さまざまな視点から包括的に検討した上で行う必要があります。

“賃貸暮らし”を選択する理由は?

賃貸暮らしを選択する方の中には、当面は賃貸での生活を選ぶとしても、「リタイアしたあとはマイホームを取得したい」と考える方もいるでしょう。なぜなら、勤労収入のない老後の公的年金や貯蓄から家賃を一生涯支払い続けるのは、経済的にも精神的にも重い負担になるからです。

【賃貸暮らしを選択する主な理由】

マイホームを取得するための頭金や住宅ローンを返済する経済的なゆとりがないから
一生涯家賃を払い続けることができるだけの財産を持つことができそうだから
家族構成の変化など、ライフステージに応じて住み替えを行って、効率的な家計運営をしたいから
自然災害等の懸念から、いざとなったら柔軟に住み替えができるから
いつ転勤があるかわからない転勤族だから
リタイアしたあとは、実家を相続することが決まっているから
リタイアしたあと、現在とは異なる地域に住もうと思っているから
住宅ローンを組む必要がないので利息を支払う必要がなく、また、固定資産税などを支払う必要もないから
将来は人口減等の理由によって、マイホームを取得したとしても、やがて資産価値が下がると思うから

なお、賃貸暮らしを選択する場合は、一生涯賃貸暮らしを続けるにしても、リタイア後などにマイホームを取得するにしても、老後に備えて、しっかりと貯蓄をしておいたほうがいいでしょう。

“マイホームの購入”を選択する理由は?

マイホームの購入には多額の費用がかかります。住宅ローンを借りると、その後長期間に渡って返済をしなければなりません。それでもマイホームを購入する主な理由は次の通りでしょう。

【マイホームを選択する主な理由】

住宅ローンの返済が終われば、住居に関する毎月の負担が大幅に軽くなり、老後の経済面での不安が軽減されるから
子どもができて家族が増えても、賃貸住宅だと2LDKや3DKまでの物件が多く、家族の数に合った部屋数が確保できそうにないから
マイホームを持つと安心感が得られるから。また、購入後のリフォームなどの自由度が高いから
転勤の可能性が低いから
老後もずっと住もうと考えている地域だから
親から実家などの相続が期待できず、すべてを自助努力で行っていく必要があるから

マイホームの購入を選択する方が注意すべき事項は、「住宅ローンの返済終了が老後にかからないようにすること」です。

勤労収入のない老後に、公的年金や貯蓄をローンの返済に充てなければならない事態になると、家計のヤリクリがたいへんになり、生活が困窮してしまいかねません。

また、住宅ローン返済を軽減するために、定年時の退職金を使って繰上返済した結果、退職金が大幅に少なくなると、やはり、老後の生活が困窮する事態に陥るかもしれません。できるだけ、現役時代から早めに繰上返済を行い、住宅ローンの返済を長引かせない工夫をすることが大切です。

まとめ

近年は、晩婚化の進展に伴って、出産、子どもの教育、住宅の取得など、その後のライフイベントの時期が従来よりも後ろにずれる傾向が見受けられます。しかし、定年年齢は従来通り60歳としている会社が多いのが現実で、再雇用制度などで65歳まで働ける環境が整備されているものの、60歳を超えると収入が減ってしまいます。

したがって、賃貸暮らしを選ぶ場合も、マイホームの購入を選ぶ場合も、60歳までの現役時代のうちに、十分な貯蓄をしたり、繰上返済をして、老後にゆとりを残すように心がける必要があります。また、今後のライフプランをできるだけ詳細に立てて、ムダなく効率的に実行するように心掛けましょう。

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この記事の執筆者
中村 宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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