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年齢を重ね、定年後、60代からの人生を歩む時、家で過ごす時間がこれまで以上に長くなります。シニア世代の毎日を快適で楽しく、何より安全に住まうため、リフォームを考える人も多いのではないでしょうか? では老後の人生を豊かに過ごすために行うリフォームで大切なこととは? 大工の技術と経験を活かしながら現在では多くの新築、リフォーム物件を手掛ける、樹工舎代表取締役社長の矢野智大さんにお話を伺いました。

60代からの第二の人生にとって快適な住まいのために

夫婦2人で過ごすなら思い切って平屋に建て替えることが理想的ですが、リフォームを考える場合はお風呂やキッチン、トイレなどと併せておすすめしているのが外張り断熱です。外壁を覆うように断熱材を張るため、断熱はもちろんですが傷んだ外壁の見た目まできれいになるのが特徴です。床暖房を備えるという策もありますが、費用がかさむうえ、廊下や浴室などは寒いままという可能性があります。部屋から移動する際に温度差があると身体に負担になる場合があります。暖房、冷房など家電の使用で家中の温度を快適に保つためにも外張り断熱材を検討してみてはいかがでしょう。

また通常のリフォームでも、できるだけクロスは使わず、木材や漆喰など自然素材を使用したリフォームを推奨しています。昔から日本家屋に使われていた自然素材は除湿や防臭にも効果を発揮するためです。フローリングの床は冷たいのでは?と思われがちですが、柔らかな杉などは蓄熱力も高いため、素足で歩いても快適です。柔らかな木材のデメリットとしては傷がつきやすいことが挙げられますが、大人だけの暮らしなら心配は無用でしょう。快適な高断熱に自然素材をプラスすることでゆとりのある癒しの空間を演出できます。

最新機能にこだわらず、使いやすさを優先して

最新機能のキッチンは毎日の家事の負担を軽減できるよう身長に合った高さも選ぶことが可能

例えばキッチンのリフォームといえば、まず安全面からもIHを想像しますが、最近ではガスコンロでも安全に配慮された性能を備えた製品も数多出てきており、使い慣れた直火を使って料理をしたい、という人は従来通りガスを選択することもできるようになりました。加えて収納やお手入れに便利な機能は積極的に採用することをおすすめします。汚れに強くお手入れが簡単な加工、高い場所でも簡単に手が届くよう工夫されたビルトインタイプの収納など、最新の機能を備えたキッチンは家事の負担を軽減してくれます。毎日使うキッチンだからこそ、使い勝手にはこだわって選びたいものです。

シニア世代の浴室は5年後、10年後を見据えた快適&安全性に着目

毎日使う浴室や洗面所選びで注意したいのは、5年後も10年後も快適に、安全に使えるかどうかがポイント。日本のシニア世代に多い心筋梗塞や脳卒中ですが、温かい部屋から寒い脱衣所に、さらに寒い浴室に入り、熱い湯船に浸かる。この温度変化が血圧の変動を呼び起こし、脳卒中や心筋梗塞の要因となっているともいわれています。今は何とも感じなくても5年、10年と歳を重ねた時のために、手すりやバリアフリーなどに加え、浴室暖房乾燥機の採用や、断熱効果のある床材のものを選ぶことをおすすめします。浴室暖房乾燥は洗濯物を干す手間も省け、家事の負担も軽くなります。また力を入れずお湯を出せる水栓金具、体力を使うお風呂掃除を楽にするため、自動洗浄付きのバスタブなども検討してみてはいかがでしょうか。

手すりなどに加え、高齢者が使いやすいよう浅く設計された浴槽や滑りにくい床など高性能なバスルームも数多く登場。ショールームで実際に見て選ぶと安心

趣味を楽しめるような安全な空間で生活に潤いを

お子さんの使っていたスペースをリフォームで夫婦それぞれの趣味のスペースとして活用する方法もおすすめ。家で過ごす時間が増えてきたからこそ、プライベートな時間を大切にすることも潤いのある暮らしには必要といえるでしょう。音楽やハンドメイドなど、好きなものに没頭できる時間と空間を確保できるのも第二の人生の醍醐味です。

また、安心して暮らすためにはセキュリティも重要。玄関はもちろんですが窓のサッシも忘れずチェックしておきたいものです。クレッセント錠と呼ばれる鍵部分が外部から見えない造りのサッシも防犯に効果的です。

納得できるまで見積もりを

リフォームを考える場合、どの業者に発注するかも大切です。数え切れないほどある業者の中で、安心・納得して依頼できる業者を見つけるためには少なくとも2~3社に相見積もりを依頼することをお勧めします。同じ条件で見積もりを出してもらい、じっくりと比較検討しましょう。疑問に思ったことは遠慮なく質問し、納得したうえで発注することが大切です。担当者との信頼関係が築けるかどうかも重要なポイントです。費用はもちろんですが、歳を重ねた将来を見据えて、健康で安全かつ、毎日が快適に過ごせる機能や設計に重点を置いた家づくりをすることが大切です。

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この記事の監修者
矢野 智大 樹工舎代表取締役社長

株式会社樹工舎代表取締役社長。1977年香川県出身。
外構、土木工事の経験を経て、22歳で大工の棟梁に弟子入り。大手ハウスメーカーの工事などさまざまな現場を通じて経験を積む。2016年12月に株式会社樹工舎を設立。現場での経験を活かし、新築住宅やリフォームをはじめ、古民家を結婚式場にリフォームするなど商業施設案件のほか、注目の物件を数多く手掛けている。http://kikousha.jp/

 

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