整理収納士が直伝 「お片付けの出来る子」になる “習慣化”と“工夫”とは

子どもの成長とともに、おもちゃや学用品など“モノ”も増えます。いつも整頓された部屋で気持ち良く暮らせるよう、小さい頃から自分でお片付けできるようにするにはどうしたら良いでしょうか? 整理収納アドバイザー1級認定講師、整理収納コンサルタントで、整理収納教育士認定講師としても活躍中の道久礼子先生にお話を伺いました。

2、3歳ごろから「片付け」についての意識付けを

モノの分類ができるのは、一般的には3歳頃。整理収納教育士として接してきたお子さんたちの中には、2歳で食事や着替えなどができるようになってくる子もいました。子どもの成長に合わせて、2~3歳頃から「片付け」という言葉を使って、意識付けをしていくとよいでしょう。

「片付けができるよう習慣づけたい」と考えるのなら、0歳児からスタート。まず親自身がそのお手本となるよう片付ける姿を見せてあげても早すぎることはありません。

好奇心のかたまりであるこの時期は、「なぜ」「どうして」を連発し、冒険に挑む時期でもあります。おもちゃに限らず使ったモノを出したり入れたりすることに興味を持ちはじめたら「片付け」を促すのにいい時期です。「片付け」を楽しい遊びの一つとして、ゲーム感覚で体験させ、片付けると「すっきりして気持ちがいいね」と言葉かけをすることで、片付けが楽しい・気持ちがよくなるものだと繰り返し習慣化していくことが大切です。

あと〇分で片づけようね、お片付けしたらおもちゃも喜んでいるね、など具体的な指示や明るい表現を意識した声かけで片付け=楽しいものという意識付けを

片付けやすく、取り出しやすい工夫が大切

無理なく片付けができるように、自分のおもちゃだけをしまう場所を決めることも大切です。兄弟のものや、おもちゃ以外のモノが混ざっていたりすると迷ってしまいます。できればおもちゃとそれ以外の物は、別々にしまえる場所を作るのが理想的。さらにおもちゃを種類ごとに分けて、ラベルをつけても良いでしょう。車、ぬいぐるみ、ブロックなど、箱で分けてもOK。箱には絵でラベルをつけておくと分かりやすいでしょう。

しまっておく箱のサイズは中に入っている物がパッと見てわかる程度のものにすることが大切です。大きすぎると大量におもちゃを入れすぎてしまいがち。取り出しやすさも考慮し、高さや奥行が浅い箱に入れるようにしましょう。

自分で判断させることを意識した声かけを

自主的に行動できるようにするために、お子さん自身にどうしたら良いのかを判断させましょう。「おもちゃがぎゅうぎゅう詰めで壊れてしまいそうだけど、どうする?」「これはここでいいのかな?」「おもちゃが仲間はずれになっているよ」などの声掛けで促しましょう。

また「よーいドンでお片付けしよう」などゲーム感覚で楽しみながら片付けられるような工夫も大事です。

子どもの成長に合わせて「使いやすい」収納にする工夫も大切

「片付けしやすい」収納ではなく、「使いやすい」収納にするには、どうすればよいのでしょうか。収納を習慣づけると同時に「モノは使うためにある」ということをしっかり認識させましょう。

増え続けるおもちゃに対して、今気に入って遊んでいるおもちゃは、「1軍」ちょっと前に遊んでいたおもちゃは、「2軍」とし、“ちょうど良い量”を与えてあげましょう。2軍のおもちゃはいったん収納し、1軍のおもちゃに飽きたころに交換すると目新しさが戻り、喜ぶこともあります。

絵本は読むために、お絵かきは絵を描くためにクレヨンや画用紙を買ったのですから、子どもが「読みたい!お絵かきしたい!」と思える収納を心がけます。使う人のことを思って考えられた収納は、きっと片付けしやすい収納になっていることでしょう。

ここでお絵描き道具、絵本の収納についてまとめましたので参考にしていただければと思います。

お絵かき道具の収納

絵を描くために必要な道具は一つではありません。紙、クレヨン、色鉛筆、マジックなど、絵を描くための道具をまとめて一つのグループとします。グループにしたアイテムは、お絵かきしたい時にいつでも使えるように、カゴや袋などに入れてグループが崩れないように収納するとよいでしょう。

絵本の収納

表紙が見えるように絵本を並べて置く、お気に入りの絵本だけをすぐ手にとれるように置くなど、工夫してみては。また、いつも同じ絵本ばかりを並べておくのではなく、たまには並べ方を変えると子どもの興味をひけると思います。まずは興味を持てるような演出のある収納を心がけましょう。その上で、読みたいときにすぐに読める工夫(動線や取り出しやすさ、取り出したときに崩れない)を行うとよいでしょう。

自発的に片付けがしやすい、片付けは面白いと感じる環境作り

片付けの出来る子に育てるには、「片づけるのに多すぎない量」「戻す場所が決まっていること」「戻す場所までの距離や高さ(動線)が子どもにとって使いやすいこと」が大切です。常に整頓されている環境であるかどうかも重要です。

また、子どもへの言葉や対応も、重要な「片付け環境」です。励ましたり、褒めたり、終わるまで見届けましょう。前もって片付けの時間を知らせる(「〇分になったらおしまい」)など子どもにもわかりやすい声掛けを心掛けましょう。幼児の片付けは、「遊び」として面白いかどうかがポイント。叱って「怒られるから嫌い」と記憶させるのではなく、片付けることは「面白いから好き」と刷り込むことが大切です。

 

【まとめ】片付けの出来る子に育てるためのポイント
片づけるのに多すぎない量であること
戻す場所が決まっていること
戻す場所までの距離や高さ(動線)が子どもにとって使いやすいこと
(最終更新日:2019.10.05)
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