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次に家を建てるなら3階建て――。そう考える世代が増えています。なぜ、今3階建てなのか。この背景を探ると、いまどきの住宅事情が見えてきました。

2017年度は前年比120%の3階建て住宅を受注

積水化学工業の調査研究機関である、住環境研究所が2017年11月29日に発表した【「実現したい暮らしニーズ」調査】によると、「もう一度建てるとしたら、2階建てより3階建て」を希望する世帯が増加していることが判明しました。

そこで、3階建て住宅のニーズの高まりと、メリット・デメリットなどについて、セキスイハイムなどを展開する積水化学工業の方にお話を伺ってきました。

住環境研究所の行った調査は、敷地面積80㎡以上180㎡未満に、2階建て・3階建て住宅を建築した20~69歳の単世帯家族を対象に行われました。その結果、2階建て住宅を建築した人で、建てる前に3階建てを検討した人は15.2%だったのに対して、建築後にもう一度家を建てるなら何階建てにしたいか質問したところ、「3階建てにしたい」と回答した人が29.2%と倍増したことが判明したのです。実際に住んでみて、2階建てより3階建てにすれば良かったと思った人が多かったということでしょう。
また、3階建て住宅で実現したい願望は、「水害に備えた暮らし」と回答した人が50.1%でトップとなっています。

実際、3階建て住宅のニーズは高まっているのか、積水化学工業の住宅ブランド、セキスイハイム 住宅カンパニー住宅営業統括部の商品企画グループ長の石渡正倫さんに、伺ってきました。

「当社における2017年度の3階建て住宅の受注数は、480棟で前年比120%となっています。また、今年1月に3階建て住宅「DESIO(デシオ)」の販売を強化させたのですが、販売価格は1坪85万円~と、2階建住宅に比べ高価格帯ゾーンの商品ながら受注数は2018年度も前年同等の水準で推移しています。特に、南海トラフ地震が来ると言われている静岡県や、台風被害に見舞われた中国・四国エリアにおいて受注が増加しています」(石渡さん)

2017年8月に住宅環境研究所が、全国1200件の建築者を対象に実施した調査結果:「実現したい暮らし別、3階建て検討願望について ※2階建て建築者で集計」
2017年8月に住宅環境研究所が、全国1200件の建築者を対象に実施した調査結果:「属性別、3階建て検討の“実績”と“願望”について」 ※2階建て建築者で集計

土地の有効活用と水害に備える一石二鳥の家づくりとは?

3階建て住宅は、敷地が狭くても床面積を確保できる、階によって独立した使い方ができるなど土地の有効活用ができるといったメリットもありますが、なによりも水害に備えられる点に注目が集まっているようです。例えば、1階はガレージとバスルームなどにあて、生活空間は日当たりの良い2階・3階にすることで、床上浸水したとしても被害を最小限に抑えることができるからです。

「水害に備えるには、土地を購入する前に地域のハザードマップを手に入れて、どのような災害被害が起こりうる土地なのかを知っておくことが大切です。そのうえで、2階建てにするのか3階建てにするのかを検討する。例えば、5mの高さまで浸水被害が出るとしたら、2階建てでは屋根上に逃げるしかありませんから3階建てにした方が安心です。また、地盤が緩い土地の場合は、地盤改良をする、杭をしっかりと打っておくなどの基礎工事が必要です。家を建てる場合、どうしても間取りや内装に意識が向きがちですが、災害に備えるのであれば、目に見えない構造や基礎の部分の手を抜かないことが重要なポイントです」(石渡さん)

さらに、川や海に近い土地だけなく、下水道の処理能力を上回る集中豪雨による都市型水害のことを考えると、街の中心部や駅に近い土地においても、水害への備えとして3階建て住宅を検討する価値はあると言えるでしょう。

ビルドインガレージを1階に設け、居住空間を2階、3階にすることで、浸水被害にあっても2階、3階の生活空間は守ることができる。

セキスイハイムの場合、水害だけでなく地震や火事など災害全般に強い構造の家づくりを行っているそうですね。

「当社の商品は、鉄骨の場合、超高層ビルの建設を可能にしたラーメン構造を2階建て住宅でも3階建て住宅でも採用しています。『ラーメン』とはドイツ語で『枠組み』のことで、柱と梁の接合を強固にしているため、枠だけで巨大地震にも耐えられます。これは柔構造と言われ、地震などの揺れを枠組み全体が竹のようにしなやかに受け流す構造で、この技術が開発されたことで、地震が多い日本でも高層ビルが多く建設されるようになったといわれています」(石渡さん)

ラーメン構造を支える鉄骨ユニット。平均耐用年数約140年の「高耐食性合金メッキ(ZAM)鋼板」を採用。接合部を高強度・高精度な溶接することにより単体でもシェルターのような強度を発揮する

3階建て住宅のメリットは、眺望・陽当たり・風通りの良さにあり!

次に、実際に住んでみて初めてわかる3階建て住宅の良さを、ご自身も3階建て住宅にお住まいの石渡さんに教えていただきました。

「3階建て住宅のメリットは、まず、眺望と陽当たり・風通りの良さにあります。住宅街だと周辺は2階建て住宅が多いため、周辺の家の屋根を見ながら生活することになり視線を気にせずに暮らすことができるのです。3階は周囲の家からも道路からも室内は見えませんので、カーテンを閉める必要もありませんし、窓を思い切り開けて風を通すことも可能です。実は、2階と3階の窓では風が全然違うのです。2階の場合、窓の向きを入念に計算して建てないと、周辺の建物に遮られ窓を開けても風が入ってこないこともあるのですが、3階の窓は、屋根の上を抜けてきた風をそのまま取り入れることができる風量が断然多い。また、2階と3階の窓を2か所開けただけで家全体の空気を入れ替えることも可能です。2階と3階の気圧と温度の違いから風をつくり出すことができるからです。また、2階建てでは見えないものが3階建てにしたことで見えることもあります。例えば、富士山や都心の高層ビル、遠くでやっている花火が見えるといった、思わぬ眺望の良さを手に入れられるケースもあります」(石渡さん)

3階建て住宅は、間取りの工夫とメンテナンス対策を!

では、3階建てのデメリットとは?

「3階建て住宅の欠点は動線です。例えば、1階に子ども部屋、2階や3階にリビングやバスルームなどの家族共有の場を配置すると、子どもの行動を把握できなくなってしまいます。ですから、そうならないよう間取りを工夫する必要があります。また、エレベーターを設置していない場合、重たい荷物を3階まで持ち運ぶのは大変です。ただ、個人的にはまだ若くて階段の上り下りが辛くない世代のご家族の場合でも、大きな荷物やスーツケース、重さのあるウォーターサーバーの水やお米などが乗せられるコンパクトエレベーターあれば十分だと思います」(石渡さん)

最後に、3階建て住宅を建てる場合、気を付けるべき点があったら教えてください。

「3階建て住宅に限ったことではありませんが、子どもがバルコニーの手すりを乗り越えてしまわないように、手すりの側にエアコンの室外機や子どもが登れる椅子やテーブルなどを置かない。階段の手すりの端に服をひっかけて転倒してしまわないように、手すりの端を壁に当てる。これは、キッチンの引き出しの取っ手部分でも同じことが言えます。子どもの目の高さにある取っ手の端は、子どもが頭をぶつけたり、キッチンに立つ人の服がひっかかったりして危険ですからね。あとは、メンテナンスのコストも考えた方がいいでしょう。3階建ての場合、2階建てに比べて外壁や屋根の手入れにコストがかかります。これは、例えば外壁の塗り替えをする場合、足場の組み立てが3階まで必要になるためです。弊社の3階建て住宅「DESIO」では、外壁は塗装の塗り替えが必要のない『高耐久磁気タイル外壁』を、屋根には耐久性・耐候性に優れた『軽量ステンレス鋼板』を採用することで、長期にわたってメンテナンスフリーで美観を保つことができるようになっています」(石渡さん)

紫外線や酸性雨にも強い『高耐久磁気タイル外壁』。水分に反応して汚れが流れ落ちるため、雨が降るたびに洗ったようにきれいになる

3階建て住宅を建てることで、水害に備えることができるだけでなく、眺望や陽当たり・風通りの良さを手に入れることもできる。いつ、どこで発生するかわからない水害に備える家づくり、あなたも考えてみませんか?

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この記事の筆者
なかむらかつら ライター

雪国出身、立教大学卒。フリーライターとして雑貨やコスメ、家電、飲食店やショップ、インタビュー記事など子ども向けから大人向けまで雑誌や、書籍などで幅広く執筆している。

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