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一度購入した家を「終の棲家」とする人がまだまだ多くいる一方、最近ではライフステージの変化に合わせて柔軟に住み替えるシニア層も増えてきました。夫婦二人で暮らすのにちょうどよいコンパクトな住まいや自然豊かな土地への転居など、セカンドライフをより謳歌するため、今後ますますその需要は高まりそうです。ここでは、売却タイミングや資金計画のポイントについてみていきましょう。

一生同じ家がよいとは限らない

かつての日本では、二世帯・三世帯がひとつ屋根の下で暮らし、先祖代々受け継いできた家や土地を守り続けるスタイルが一般的でした。核家族化が進み始めた1960年代以降も、家を手に入れて子育てをしたあと、そこをそのまま終の棲家にする人がたくさんいます。すなわち、多くの日本人にとって住居は、一生に一度の買い物だと考えられてきたのです。

しかし人生には、さまざまなシーンがあります。たとえば、家族から独立して一人暮らしになり、しばらくして結婚することで2人の生活が始まります。子どもができて3人以上の家族になりますが、子どもが成長すれば独立していき、やがて夫婦2人の暮らしに戻ります。
このように、家で暮らす人数が変われば、求める家の大きさや立地も変化して当然だといえるでしょう。近年ではこういった考え方が浸透し、ライフスタイルに合わせて住み替えることが、トレンドになりつつあります。

特に、子育てが終わって夫婦2人の生活になるとき、その先20年余りの老後を過ごすことを考えて、新たな住居を求める人が増えています。それは、都会の喧騒から離れたい・趣味に没頭できるところで過ごしたいなどといった、地域的な欲求が理由になることもあります。

あるいは「夫婦2人だからこじんまりした家がいい」「年を取ったのでバリアフリーにしたい」など、家に対する構造的な欲求による場合もあるでしょう。いずれにせよ、「第二の人生にふさわしい家に住みたい」という考え方が、浸透し始めているようです。

住み替え、売却を考えるタイミング

シニア世代が住み替えを考えるのは、大きく分けて3つのタイミングがあります。1つめは、子どもが独立して夫婦2人になったときや、独立していた子どもが結婚をして同居をするときなど、居住人数が変化するタイミング。背景には、家が広過ぎて寂しい・使いにくい・もったいない、あるいは二世帯住宅が必要などの理由があります。

2つめは、退職をしたタイミング。これが住み替えを決断する大きなきっかけになっていることが多いようです。なぜなら、退職金というまとまったお金が入ってきますし、早くから退職時期がわかっているため、準備をしておけるからです。
さらに、現在住んでいる家は通勤の利便性を考慮して選択していることが多いため、通勤の必要がなくなることで、その場所に執着する必要がなくなるのです。

3つめは、住宅ローンの返済が終わったタイミング。多くの人が住居を手に入れる際に住宅ローンを組んでおり、その返済が済むまでは土地・建物が担保に入っています。すなわち、一定の縛りがかかった状態にあるということで、それがなくなると売却しやすくなるのです。また、住宅ローンはだいたい20年~35年程度かけて返済することが多いため、住宅そのものが古くなってきていることも、住み替えの引き金になるようです。

リタイア後に夫婦で過ごす終の棲家を求めて住み替える人が増えています

住み替えのときに気を付けること

住み替えで最大のポイントは資金計画です。「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」によると、住み替え費用の平均額は一戸建ての土地購入を含む注文住宅が5,625万円、分譲住宅が4,259万円、建て替えが3,072万円、中古の一戸建てが2,862万円、中古マンションが2,266万円ほどです。潤沢に資金があれば問題はないのですが、現在住んでいる家のローンが残っているときは、二重ローンや(買い替えによる)つなぎ融資が必要になります。

これは、担保の評価よりも融資金額が大きくなるなど、審査が通りにくいという側面を持っています。また、新たなローンは返済金額が大きくなるだけでなく、万一現在の住居が思う金額で売却できなかったら、返済不能に陥る危険性もあります。手持ち資金・売却予定金額・ローン返済予定などを慎重に検討し、老後の生活資金を含めてプランを立てる必要があるでしょう。

このことからもわかるように、住み替えは資金繰りを第一に考えなければなりません。そのためには、少し売却を先行させた方がプランを立てやすく、スムーズに進むでしょう。また、住み替えをきっかけに長年かけて増えた荷物の整理をしておくことも大切です。せっかく新しい生活が始めるのですから、失敗のないように、きちんと計画を立てて進めるようにしましょう。

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