マンションの管理費の使い道って? 平均金額や修繕積立金との違いも確認

マンション購入後、毎月支払うことになる管理費と修繕積立金。年間数十万円もの出費になるにもかかわらず、何に使われているお金なのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、マンションの管理費に注目し、その使い道や平均金額などをチェックしてみましょう。

マンションの管理費って何に使われているの?

分譲マンションを購入するときにはさまざまな費用とともに、物件の代金を支払います(住宅ローンを組む場合は融資実行)。その結果、購入者はマンションの一室を所有する権利(区分所有権)を得るわけですが、これですべての支払いが終わるわけではありません。そのマンションを所有し続けている限り、管理費や修繕積立金を支払わなければならないのです。いずれもマンションの管理組合に支払われるものですが、金銭の管理は提携しているマンション管理会社が行っていることが多いようです。

国土交通省の調査(※)によると、平成25年度の月/戸当たりの管理費の平均額は1万661円となっています。マンションの規模やグレードにもよりますが、1万~1万5千円程度であることが一般的なようです。
※国土交通省 平成25年度マンション総合調査結果(平成26年4月23日公表)

管理費の使い道となるのは、共有部のメンテナンスなどを含むマンション全体の維持・管理にかかわる経費です。たとえば、共有部の電気代や清掃費・エレベーターのメンテナンス費用・敷地の植栽管理・管理人の人件費などといったものがあり、マンションの住民が快適に過ごすために不可欠な費用といえます。

マンションの管理費の内訳
国土交通省の指針では以下の項目が定められています。

・管理員人件費
・公租公課
・共用設備の保守維持費及び運転費
・備品費、通信費その他の事務費
・共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
・経常的な補修費
・清掃費、消毒費及びごみ処理費
・委託業務費
・専門的知識を有する者の活用に要する費用
・管理組合の運営に要する費用
国土交通省 マンション標準管理規約 第27条より

一方、修繕積立金はマンションの外壁・躯体部分などが経年劣化した箇所を、修繕するために用意しておく費用。修繕が必要になった段階で、そのとき所有している住人から一度にお金を出してもらうことになると、非常に大きな負担になってしまいます。そのため、あらかじめ修繕が必要な時期やその費用を予測して計画を立て、それに合わせて毎月少しずつ積み立てていくのです。ちなみに、平成25年度の月/戸当たりの修繕積立金の平均額は1万783円となっています(※)。
※国土交通省 平成25年度マンション総合調査結果(平成26年4月23日公表)

新築から数年しか所有しない人にとって恩恵がないように思われますが、修繕積立金の積み立て状況は区分所有権売却の際に資産価値として反映されるので、あながち無駄な出費とはいえません。

戸建てに管理費はないの?

マンションと違い、戸建ては個人で土地・建物をすべて所有しているため、管理組合は存在しないので、管理費や修繕積立金を払う必要はありません。しかし、住居のメンテナンスや修理は個人の責任で行わなければならず、かかる経費はその都度負担しなければなりません。また、それにかかわる労力と時間も所有者が割かなければならないのです。

この費用は家計簿で「住居費」として仕分けられ、それがマンションの管理費に相当することになります。マンションでは盆踊りなどの住民を対象としたイベント費用や町内会費は、管理費から出費するのであらためて支払う必要はありません。しかし、戸建ての場合は町内会費に加えて地域のイベントへの寄付などは別途支払うことになります。

戸建ての修繕はあまり計画的に行われないようですが、建築後5~10年以上を経過すれば外壁や屋根のメンテナンスをはじめ、給湯器などの装置・設備の交換が必要になってきます。

建物の規模や設備内容にもよりますが、20年ぐらいの間に250万円前後の費用がかかることが多いようなので、それを月割りにすると毎月1万円ほどになります。これが、マンションの修繕積立金に相当する費用と考えることができるでしょう。

将来の資産価値を決める大切な管理費・修繕積立金

このように、マンションは住民全体で快適な居住空間をつくるとともに資産価値を維持するために、管理組合を設けて管理費・修繕積立金を集めているのです。そのため、これらが必要な経費であるのはもちろんのこと、むしろ低い金額で設定されているほうが逆に心配な面もあります。

マンション管理費の相場は、500戸ぐらいまでのマンションであれば、前項で挙げた1万~1万5000円程度が多いようですが、設備などの状況によって金額は変化するため、注意が必要です。タワーマンションなどの高級マンションの場合、常駐管理やセキュリティーシステムなどの設備が充実しているため、管理費は高額になる傾向があります。また、高層マンションの大規模修繕は費用がかさむため、修繕積立金も同様に高くなります。

タワーマンションは資産価値が高いため、管理費や修繕積立金も高額になる傾向があります

このように、管理費や修繕積立金はマンションの資産価値を決める重要な要素ですから、新築分譲マンション購入時はもちろん、中古マンション購入時にもしっかりと確認する必要があります。中古マンションの管理費については、管理組合の収支報告書をチェックするとよいでしょう。修繕積立金は積立金の状況や滞納がないかに加え、修繕計画書と実行状況も確認することが大切です。

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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