コンビニの進化がすごい! 各社広報に聞いた総菜&日用品の最新トレンド

2011年の東日本大震災以来、ターゲット層を単身世帯の男性中心から働く主婦&高齢者に舵を切ったコンビニエンスストアの、商品開発&品揃えが今すごいことになっています。レトルト未満パックお惣菜以上の2週間ほど保存がきくパウチ総菜や冷凍食品を次々と開発。さらにシャンプーや洗剤など日用品も充実してきました。どこまで便利になるのか、コンビニが提供するサービスの現状を紹介します。

ファミリーマートの「お母さん食堂」シリーズで展開しているパウチ総菜

洗剤やシャンプーから肌着やペット用品まで、生活用品が充実

セブンイレブンのオリジナルブランド「セブンプレミアム」の商品ラインアップ

これまで、コンビニエンスストアで販売されている商品といえば、お弁当やドリンク、スナック菓子に雑誌など、買ってすぐに消費することを前提にしたアイテムが中心でした。日用品の扱いもありましたが、急場しのぎのコンパクトサイズや小分けパックのものがほとんどで、日常使いするアイテムはスーパーや量販店で購入するのが一般的だったと思います。

そこに切り込んだのがセブンイレブンです。2018年になって、生活用品の販売スペースを拡充し、オリジナルブランドの開発に力を入れ始めたのです。そのラインアップは、洗濯用洗剤&柔軟剤、住宅用洗剤から衣料用ミスト、シャンプー&コンディショナー、ストッキングや靴下、トランクスなどの肌着、ペットフードや電球、蛍光管など多岐にわたります。

セブン&アイ・ホールディングスの広報センター・清水克彦さんによると、「オリジナルブランドだけでなく人気売れ筋商品を合わせて展開することで、目的買いをしてもらえるよう“選べる売り場づくり”を心掛けています」とのこと。セブンイレブンの取扱商品数は約2900品目。売り場スペースが限られているため、商品数が増えているというより、各カテゴリーのなかでお客さまのニーズに合わせ新たな商品を次々と提案しているのだそうです。

お弁当食材ではなく、本格的なおかずやつまみが100品目以上に!

さらに、セブンイレブンでは冷凍食品のニーズの高まりを受けて、お弁当食材からおかずへと品ぞろえをシフト。牛カルビ焼きや豚の生姜焼き、チーズタッカルビといった冷凍食品から、アップルマンゴー、そのまま食べられるブドウやトロピカルミックスなどの冷凍フルーツ、グリル野菜、きざみオクラ、肉入りカット野菜などの冷凍食材など、切らずにそのまま食べたり、料理に使えたりする食材を充実させています。

セブンイレブンの冷凍食材。包丁いらずで、すぐに調理できる優れものです

一方、ファミリーマートも総菜の開発に注力。ユニー・ファミリーマートホールディングス広報室 広報グループの樋口雄士さんは次のように話します。
「弊社では、昨年9月より『お母さん食堂』と銘打ち、総菜を強化してまいりました。1年間で取扱商品数も100品目を超え、売り上げも好調です。また、総菜の強化によりシニア層および女性層の構成比も伸長しております」

実際にファミリーマートに足を運んでみると、毎週のように新しい総菜が登場しているのではないかと思うほど、次々と新商品が投入されています。
「これまでは、ひじきやきんぴらごぼうなど小容量の1品系おかずを中心にラインナップしておりましたが、家飲み需要の高まりを受け、中容量タイプのおつまみチャーシュー、ワンハンドタイプのグリルチキンなどの商品を展開しております」(広報グループ・樋口さん)と話すように、ファミリーマートはお酒のつまみが豊富に揃っているのも酒好きにはうれしい限りです。

ほかのコンビニ各社も、「健康志向の影響からサラダの需要も高まっていることから、今年はこれらの開発を進めております」(ミニストップ広報・山盛雅美さん)、「店内調理に注力しており、店内の厨房で製造した焼き立てのパンやできたてのお弁当、おにぎりなど、“できたて”のおいしさを提供しています」(山崎製パン広報室・IR室 松本直久さん)と話すように、顧客ニーズに合わせた新商品の開発に力を入れています。

また、ファミリーマートでは、イートインコーナーの拡充も進めています。これは、「災害時に関わらず“地域密着”をテーマに、各地域の社会インフラとして地域のお客さまへ寄り添った店舗運営」(ファミリーマート広報グループ・樋口さん)に取り組んでいる証し。ほかのコンビニも「地域のお客さまの要望を受けとめ、お客さまのほしい商品をほしい時に提供できる品揃えが必要になってきております」(ミニストップ広報・山盛雅美さん)、「高齢化や働く女性の増加、世帯人員減少などにより、客層も変化しており、下ごしらえ済みで簡単に調理できる食材やすぐに食べることのできる、簡便・即食できる商品の需要が高まっています」(山崎製パン広報室・IR室 松本直久さん)と話すように、生活者ニーズを的確に捉えたサービスが提供できるかどうかが、進化の鍵を握っているといえます。

郊外型の店舗は駐車場を広くとっているだけでなく、イートインコーナーの拡充も進行中

「ローソンフレッシュピック」に「ローソンスマホペイ」買い物の手間を省く新サービスとは?

最後に紹介するのは、「からあげくん」や「げんこつメンチ」など、店内調理で提供している揚げ物総菜が人気のローソンが、今年、注力している利便性をアップさせる2つの新サービスです。

その一つは、3月にスタートさせた「ローソンフレッシュピック」。これは、スマホの専用アプリから朝8時までに注文すると、当日の18時以降であれば好きな時間に、指定のローソンで商品が受け取れるというもの。ローソン広報室・遊田久美子さんによると、「取り扱っている商品は約600種類。都内を中心に約700店舗で実施しており、今年度(2019年2月末)中には首都圏の約2000店舗に拡大予定です」とのことです。具体的には、東京都は多摩地区、杉並区、中野区、世田谷区、渋谷区、目黒区、品川区、大田区、港区のほか、神奈川県川崎市や横浜市の一部店舗でも実施しています。このサービスの特長は、通常、ローソンでは扱っていない生鮮食品やミールキット、成城石井の商品などを、朝に注文した商品を当日のうちに受け取る事ができる点にあります。そのため、会社帰りの買い物の手間を削減できると、「特に30~40代の女性を中心にご好評いただいています」(ローソン広報室・遊田さん)。

左:「ローソンスマホペイ」では、商品のバーコードを読み取って決済するだけで購入が完了する 右:ローソンの店舗外観(イメージ)

もう一つは、「ローソンスマホペイ」。事前にスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、店舗で商品バーコードをスマホのカメラで読み取るだけで決済できるサービスです。レジに並ぶことなく、店舗内のどこでも自由に決済し、商品を持ち帰ることができるというから驚きです。2018年10月現在、同サービスを導入しているのは、ローソン晴海トリトンスクエア店、TOC大崎店、ゲートティティ大崎店、フジテレビ店、LEBL秋葉原スクエア店などですが、2018年度内に大都市圏を中心に100店舗に導入する予定だといいます。

ただ、このサービス、万引きを疑われそうで心配ですよね? そう思って伺ったところ、「決済後、取得したQRコードを、店舗を出る際に専用の機械にかざすと『お買い上げありがとうございます!』というアナウンスが流れますので、ご安心ください」(ローソン広報室・遊田さん)とのことでした。また、QRコードの読み取り機の近くには、レジ袋が用意されており、購入した商品を入れて持ち帰ることも可能。ただ、小さな商品だと、そのままバッグやカバンに入れて持ち帰る人も多いそうです。

このサービスを導入した理由を、ローソン広報室の遊田さんは次のように説明します。
「これらの新サービスは、お客様にストレスなく買い物をしていただくためのものです。また、今後ますます加速する人手不足に対応するために、ローソンではデジタルを活用したさまざまな取り組みを進めています」。さらに、スマホペイ以外にも、新型POSレジの導入することで、店舗オペレーションの生産性向上を目指すとのこと。まだまだ止まらないコンビニの進化から、目が離せません。

(最終更新日:2019.10.05)
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