暖房の28度は高すぎる? 1度下げるだけで1500円弱の電気代の節約に!?

猛暑が問題となった今年の夏、さまざまなメディアで冷房の使い方が取り上げられました。一方、冬に使用する暖房については詳細な情報が少ないことも事実です。冷房の際にはよく、「省エネの観点から28度に設定しましょう」という話を聞きますが、暖房の場合はどうなのでしょうか。この記事では、暖房を使用する際の適切な温度設定について紹介します。

そもそもエアコンの設定温度の仕組みって?

エアコンの多くは、付属されているリモコンで温度を設定します。リモコンの画面には現在の設定温度が表示されることがほとんどですが、この数字は何を表しているのでしょうか。

まず、エアコンの設定温度は部屋の温度を何度にするか指示するものです。冷房を28度に設定すれば、エアコン本体に28度になるまで室温を下げる指示を出したことになります。同様に、暖房を28度に設定すれば、28度になるまで室温を上げる指示となるのです。

ところが、暖房を同じ28度に設定しても暑いと感じるときと寒いと感じるときがあります。これは、エアコンが誤作動しているわけではなく、湿度や窓から差し込む日差しの影響が考えられます。また、温かい空気は上へ、冷たい空気は下へたまる性質があるため、いる場所によって温度の感じ方が微妙に異なることもあります。エアコンの設定温度はあくまで指示であり、その部屋の適温を保証するものではないので気をつけましょう。

暖房の28度設定は高すぎる?

冬場は、夏場ほどの室温の高さを保たなければいけないわけではありません。ところが「一刻も早く部屋を暖めたい」という思いからか、暖房の設定温度を27~28度に設定している家庭も多くみられます。室温が27~28度となれば、その部屋は夏日さながらの暑い空間となってしまうでしょう。実際にはそれほど長時間エアコンを稼働させるケースは少ないため、そこまで室温が上がることはまずありません。しかし、一度エアコンを切り、再度稼働させればエアコンは下がった室温を27~28度まで懸命に上げようとします。電源を入れるたびに多くの電力が必要になるため、電気代は高額になってしまうでしょう。

真冬に室温を27~28度まで上げるとなれば、かなり長時間エアコンを稼働させる必要があります。その温度に達する前に電源を切ってしまうのであれば、そこまで高い温度を設定する必要はありません。エアコン使用における電気代は、1度下げると5~10%程安くなるといわれています。環境省が推奨している20度を目安に設定し、暖かい衣類やほかの暖房器具を併用するなどで工夫しましょう。

暖房で快適に過ごせるのは何度?

冷房を使用する際、快適に過ごせる室温は28度だといわれています。しかし、四季がある日本では年中28度であれば快適というわけではありません。外気温が変化すると、人間の体にも環境に順応するための変化が起こります。また、外気温と室温が極端に異なることは、健康上あまり良いとはいえません。

むやみに設定温度を上げることは、電気代が高額になったり、暑さで健康を損なったりするおそれもあります。そうは言っても、室内で震える思いをしていたのでは本末転倒です。適切な温度設定で賢く利用することが大切です。

暖房効果を高めたいなら家の構造にも注目

暖房の設定温度は無条件に20度の設定にすればいいというわけではありません。さまざまな要素を踏まえて変える必要が出てくることもあります。

たとえば、極端に寒い地域に住んでいる場合です。外気温が低いと、暖房を20度に設定しても思うように室温は上がりません。ほかの暖房器具を併用することと、若干高めに温度を設定することが必要となります。寒さに弱い人やペットといっしょに住んでいる場合も、設定温度を高めにしたほうが良いようです。

より高い暖房効果を望むのなら、家の構造にも目を向けてみましょう。木造住宅はどうしても外気の影響を受けやすいので、設定温度も高めのほうが快適に過ごせます。一方、鉄骨やコンクリート構造の住宅は気密性が高く、低い設定温度でも十分な暖房効果を得られる傾向にあります。また、極端に湿度が低いとより寒さを感じやすくなってしまいます。空気の乾燥が気になるときは、加湿器などの利用も検討してみましょう。

※写真はイメージ

暖房代を節約するには?

暖房にかかる電気代は、工夫次第で節約することができます。まずは、設定温度を下げることです。資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド春夏秋冬」によると、暖房の設定温度を21℃から20℃に1度下げた場合、年間約1,430円の節約になるそうです(※1)。また、使用する時間を1日1時間短縮するだけでも年間1,100円の節約になるのだとか(※2)。

※1 外気温度 6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を 21℃から 20℃にした場合(使用時間:9 時間/日)
※2 設定温度 20℃の場合

しかし、設定温度を下げるだけでは十分な暖房の効果が得られない可能性もあります。そのときは、電気毛布や電気ひざ掛けなどを併せて使いましょう。足元の暖かさを重視するならこたつも有効です。これらの製品は肌により近い場所を暖められるため、局所的な暖かさを実感できます。しかし、部屋の空気そのものを暖めるわけではないので、長時間の使用は避けたほうがいい場合もあります。

部屋全体を効率よく暖めたいときには、サーキュレーターで暖めた空気を循環させましょう。また、窓際はカーテンを使用すると冷気を遮断する効果があります。防寒シートなどを貼れば、さらに高い効果を得られるでしょう。そして、むやみに暖房のスイッチを付けたり切ったりしないことも重要です。部屋の温度を下げれば下げるほど、エアコンはより多くの電力を使って部屋を暖めなければなりません。エアコンの特徴をよく知ることが大切です。

効率的に部屋を暖めるのにサーキュレーターが活躍

暖房器具の併用で節電する際の注意点!

エアコンは家電の中でも消費電力が大きいという特徴があります。その負荷を軽減するためにほかの暖房器具を併用するわけですが、製品によってはさらに電気代がかかってしまうので注意が必要です。サーキュレーターやこたつは消費電力が比較的少なく、電気代もそれほどかかりません。上手に活用すれば、電気代を節約することも可能です。一方、床暖房や電気ストーブは多くの電力を消費することになるため、併用しようとすると逆に電気代が高くついてしまう可能性もあります。

主に厳寒地で使用される石油ストーブは電気代が節約できても、それ以上に灯油代がかかってしまったというケースも少なくありません。ほかの暖房器具を併用する際は、その製品の消費電力や使用する燃料代についても確認し、使い方を工夫することが大切です。

(最終更新日:2019.10.05)
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