頭金ゼロは4人に1人!? 年齢によって変わる住宅購入時の「頭金」の重要性

住宅購入時の自己資金=頭金は、物件価格の2割程度必要という認識を持っている人が多いかと思います。しかし、実際は頭金なしでローンを組む人が一定数いるのも事実。低金利時代と言われる現在は、必ずしも用意すべき資金ではないといえるでしょう。今回は住宅取得者の年齢によって変わる、頭金の重要性について解説していきます。

約28%が「頭金ゼロ」での物件購入を選択

住宅金融支援機構が発表した2017年度の「フラット35利用者調査」によれば、所要資金額の平均は3,537万円。そのうち利用者の約28%が頭金なしで住宅を購入しており、頭金を支払った人の平均額は約621万円です。頭金を用意した利用者は、所要資金額の約17.5%を頭金として用意していることがデータからも読み取ることができます。「頭金は2割程度を目安に」という考え方は、ある意味実態に即しているといえるでしょう。

ここで考えたいのが、頭金をゼロで物件購入に至るケースです。かつては多くの金融機関が所要資金額の8割程度を目安に融資を行っていたため、一定の頭金を用意するのが通例となっていました。現在は融資を受ける人の返済能力や物件の資産価値を重視する傾向から、頭金ゼロでの物件購入が可能となっています。

住宅購入資金のすべてをローンでまかなうと考えると、少々不安に思う方がいるかもしれませんが、現在の家賃と照らし合わせて考えるとむしろ支払総額が低くなるケースもあります。低金利時代を上手く利用した住宅購入の選択肢の一つとして、検討する価値は大いにあるといえます。35年間など長期でローンを組める20~30代であれば、ぜひ返済計画をシミュレーションしてみましょう。

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頭金を貯めるより、早めに住宅ローンを組んだほうが安く物件を購入できるケースも ※写真はイメージ

40歳未満の住宅購入における頭金

総務省の平成29年度家計調査報告では、40歳未満の世帯における平均貯蓄額が602万円となっています。仮に3,500万円の物件を購入しようとしたとき、この金額をすべて頭金に回しても購入資金の2割には満たず、頭金ゼロ、もしくは1割程度金額を頭金とするのが現実的といえそうです。

住宅購入にあたっては手数料や税金などの諸経費や、引っ越し後の家財道具購入費などがかかるもの。本人のケガや病気など不測の事態に備える意味でも、貯蓄の大部分を頭金として支払ってしまうのは非常にリスキーな選択です。子どものいない共働き世帯であれば、育児が始まる前に一定額を繰り上げ返済することなども視野に入れ、定年退職前にローンを完済することが可能なプランを練りましょう。

40歳以上の住宅購入における頭金

住宅購入における40代以上の強みといえば、一般的に手持ちの貯蓄が多いことが挙げられます。家計調査報告でも0代は1,074万円、50代は1,699万円、60代は2,382万円の平均貯蓄額があり、これを頭金として返済期間の短いローンを組むことができるでしょう。

ちなみに【フラット35】には、必ずしも35年間ローンを組まなくてはいけないという制限はなく、ほかのローンでもフレキシブルに返済期間等を設定することが可能です。

子どもの学費や結婚・出産など、ライフステージの変化に応じた出費が控え、さらには自身の定年退職を考えると長期かつ負担の多いローンは避けたいこの世代。ぜひ活用したいのが、住宅取得資金等に係る非課税制度です。

住宅取得等資金の贈与税の非課税

契約日 取得した住宅の区分
良質な住宅用家屋 一般住宅用家屋
2020年3月31日まで 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日まで 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日まで 800万円 300万円

※住宅取得資金の贈与は1,200万円まで非課税。消費税10%が適用になった場合、非課税枠は3,000万円まで拡大する予定


2021年12月31日までの間に、両親・祖父母の直系尊属から「住宅取得等資金」として援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となるこの制度。将来的に相続を予定している資産があるのであれば、これを頭金に回すことで節税効果も得ることができます。

年金や貯蓄をベースに生活していく定年退職後には、返済期間がかからないようなプラン設計が望ましいもの。すでにマイホームを持っている場合は手放すタイミングもよく考慮しながら、購入資金の3割以上を頭金にする、または現実的な繰り上げ返済の計画を立てるようにしましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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