“共働き世帯”の平均年収は730万円。都道府県別の割合と4つの増加理由

夫婦でどれくらい稼ぐもの?

共働き世帯が、夫婦ともに働く大きな理由として「安定した収入の維持」「世帯収入の増加」が挙げられるでしょう。とすれば、夫または妻が一馬力で働く家庭よりも「実際のところ、世帯収入は多いのか?」という疑問が浮かびます。

全国平均になりますが、2017年の総務省の家計調査(家計収支編)によると、共働き世帯の平均実収入は「60万8,491円(年間約730万円)」とされています。

世帯全体の実収入から夫婦それぞれで見てみると、世帯主は44万1,141円(年間約529万円)、配偶者は13万7,767円(年間約165万円)となります。夫婦の年齢が若いほど実収入は低く、反対に年齢が上がるほど収入も増加傾向にあります。年齢や勤続年数、管理職への出世などで、世帯収入が増えやすいことが考えられるでしょう。

共働きが増えているのはなぜ?

共働き世帯が増加している理由として考えられるのは、主に4つあります。

理由【1】:収入の安定化

1つ目は、やはり男性(または女性)のみの収入で配偶者や扶養家族(子ども・両親など)を養っていくのが困難になっているという点です。派遣切りやボーナスのカットなど、バブル崩壊後の長引く不景気によって収入の減少が多く見られました。これらが、共働き世帯の増加を助長してきたのではないでしょうか。

理由【2】:貯蓄志向の増加

2つ目は、世帯主の収入のみで生活は可能であっても貯金や積立をしたいという人が増えていることです。老後の生活、子どもへの教育費、もしものときの蓄えなど、将来を見据えて家計の収入を増やす・サポートする家庭が増えてきました。

理由【3】:働きやすい環境

3つ目として、1985年に男女雇用機会均等法が制定され、2007年にさらなる改正が加えられたことで、「女性が働きやすい環境になった」ということも挙げられます。男女差別や女性冷遇などをなくし、女性労働者に対する昇進や福利厚生などの待遇が徐々によくなっています。これによって、妊娠・出産後も職場復帰がしやすくなり、パートや正社員雇用が増えてきました。その結果、女性の働く場が多くなったことも共働きにつながっていると考えられます。

理由【4】:考え方の変化

4つ目は、男女ともに「女性が働くのは当たり前」という考えを持つ人が増えてきたことです。女性が外に出ることで視野が広くなり、家のなかだけでは経験できない人や仕事とかかわる機会が増えることも、共働きという選択をする理由のひとつになっています。

夫婦が共働きをするメリット

夫婦で働く共働きのメリットといえば、やはり「収入の増加」です。世帯収入が増えることで生活にゆとりができますし、貯蓄に回すこともできるようになります。「金持ち喧嘩せず」ということわざもあるほどに、金銭的な余裕があれば、些細なことが気にならなくなり、精神的な安心感をもたらしてくれます。

そして、将来生まれるであろう子どもや、今現在養育している子どものための「教育・養育費」を十分に確保することも可能になるでしょう。「両親にもしものことがあったら?」「子どもが私立に通いたいと望んだら?」など、さまざまな可能性が考えられますから、お金はあって困るものではありません。自分たちの老後の資金はもちろんですが、子どもに金銭的な負担を強いないことも大切なメリットのひとつです。

また、住宅を購入する際は、頭金によるローン額の減少や繰り上げ返済などで後々の負担を軽減することもできます。これも、金銭的なゆとりにつながるメリットに挙げられるでしょう。

共働きの家事分担のコツ

共働きをする家庭で大切なことは、それぞれの家事負担の割合です。専業主婦(主夫)であれば、家事・育児を担当する代わりに夫(または妻)の収入で養ってもらうことができますが、共働きの場合、そうはいきません。働きながらすべての家事を負担するとなると、時間的にも体力的にも精神的にも相当つらいものです。

勤務時間や職種などはそれぞれの家庭・夫婦によって異なりますから、自分たちに合う役割分担を二人で考えましょう。

たとえば、夫婦ともに正社員で勤務時間も同じくらいであれば家事も半々、正社員とパートなどの非正規雇用であれば勤務時間の短いほうが多めに負担する、または夫婦それぞれが得意とする家事を担当する、曜日・日数ごとに当番制にするなど、分担方法も多様です。

大切なのは、二人でしっかりと話し合い、双方が納得のいく「無理のない分担をする」ことです。どちらかが「不公平」と感じたり不満に思ったりすることがないように、その都度話し合って調整しましょう。

今後も共働きは増えていく?

今後も、共働きの世帯は増加していく可能性が高いでしょう。夫婦がともに働けば、病気やケガで働けなくなる、世帯主が失業してしまうなど、突如として収入が減少した際のリスク回避になります。もしものときの備えや蓄え、将来のための貯金やゆとりある生活を考える人は、共働きも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2020.03.06)
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