住宅ローンで1億円超の借り入れはできるの? 高額物件の購入方法は?

近年、株高による資産額の増加、共働き世帯の増加で1世帯あたりの資産額が増えたことから首都圏、特に東京の人気エリアを中心として1億円以上の高額物件の販売件数が増加しています。最寄り駅から徒歩ですぐのタワーマンションなどに憧れる方は多いと思いますが、はたして、1億円超の住宅ローンの借り入れはできるのでしょうか?

融資額1億円超の場合は、金融機関と個別に相談

一般的には、民間金融機関の住宅ローンでは融資額の上限が1憶円、【フラット35】では8,000万円というように、融資額の上限は8,000万円から1億円としているところがほとんどです。

ただし、金融機関が1億円を上限としているのは、1億円超の融資は一律に条件を示すことができないためなので、実際には、金融機関のプロパーローン(独自の住宅ローン商品)などは、個別に相談することで借り入れができるケースもあります。もちろん、その場合の金利、保証料などは収入状況・担保評価等、別枠の審査基準によって決められます。したがって、ホームページなどに上限が1憶円と記載されていても、まずは窓口に相談してみましょう。

融資金額の上限が1億円超の金融機関で借り入れする

最近では、融資上限額が1億円超の大型住宅ローンも多々登場しているので、そういった大型物件向けの住宅ローンを活用するのもひとつの方法です。

みなと銀行では大型住宅ローンと称して融資額が1億円超2億円以内の大型物件向けの住宅ローンを取り扱っていますし、1986年に欧州系のプライベートバンクとして誕生し、2015年にはシティバンク銀行のリテールバンク事業と統合しているSMBC信託銀行プレスティアでは1,000万円以上5億円以内の融資ができる富裕層向けの住宅ローンも登場しています。

また、楽天銀行住宅ローン(金利選択型)(通称:【Type-R】)(アルヒ株式会社との提携専用商品)、楽天銀行LGBT住宅ローン(リクルート住まいカンパニー運営の全国の「スーモカウンター新築マンション」を通して新築マンションの購入をする人向け限定商品)も融資額の上限が2億円までとなっています。

なお、実際の借入金額やその他の条件で適用金利が異なる商品もあります。金利や経費なども含めて総合的に有利な商品を選びましょう。

(参考記事:引っ越し費用まで低金利で借り入れ可能。つなぎ融資も使える楽天銀行の住宅ローンとは

 夫婦共働きの場合は、ペアローンを組んで2本立てにする方法も

夫婦共働きで世帯収入が高い場合、あるいは二世帯住宅を購入する場合には、夫婦あるいは親子でペアローン(夫婦または親子などが同居し、持分を共有する住宅を2人それぞれでローンを組むという申込形態)を組むことで合計1億円超の借り入れをする方法もあります。

(参考記事:共働き夫婦の住宅ローンはペアローンがいい? メリット・デメリット、注意点を解説

例えば、融資額が「500万円以上1億円以下」が条件であるケースでは、ペアローンを利用することで、ペアの合計で「1,000万円以上2億円以下」と融資上限額を大幅に増やすことができるのです。

ペアローンを利用することで、借入金額が増える、夫婦・親子それぞれが住宅ローン控除を使えるメリットはありますが、一方でデメリットもあります。

2本のローン契約を結ぶことになるので、それぞれの契約に対して印紙代や抵当権設定費用などの費用がかかってしまう点、個々の借入可能金額は共有持分による点には注意が必要といえますね。また、ペアローンの場合には、万が一配偶者が会社を辞めた場合には家計がどうなるかなど「もしも」の場合の対策も考えておくことが大切ですね。

1億超の金額を借りていいのはどんな人?

1億円超もの金額を借り入れするということは、当然、月々の返済額も大きな金額となります。収入の安定性はもちろんですが、諸費用とは別に頭金を2割以上しっかり入れること、手元資金に余裕を持たせておくことも大切といえます。

銀行の収入基準という観点で考えれば、通常「年間返済額の年収に占める割合が30%~35%以下」であることが求められ、中には「年収500万円以上で安定した収入があること」という条件の商品もあります。

したがって、収入基準そのもので考えれば1億円超のローンを組むハードルは低いといえます。ただし、仮に1億2,000万円を期間35年間、0.527%で借り入れた場合、当初月返済額は約31万円、年間返済額が370万円以上にもなるわけです(下表参照)。

その他、物件購入後に毎年払う固定資産税・都市計画税、子どもがいる場合には教育費の負担なども増加します。年収ベースではなく、しっかり手取りベースで今後のライフプランも踏まえて家計をチェックして、ローン返済後の残りの金額で、希望する生活が送れるかどうか、シミュレーションしておくことが大切です。特に高額物件があるような地域は子どもが私立に通う、物価も高く生活水準が上がってしまうケースも多々あるので要注意です。

もちろん、教育費の援助を受けられる、夫婦ともに正社員で定年まで働き退職金制度も充実している、いざというときは親の援助を受けられる、手元に余裕資金が十分にある、というケースでは高額ローンを組んでもリスクは低いといえるでしょう。

<条件>1億2,000万円借り入れ、元利均等返済、ボーナス返済なし、期間35年、2018年9月時点金利

【参考 融資額が1億円超の住宅ローン】

金融機関・商品 金利タイプ 当初月返済額
楽天銀行住宅ローン(金利選択型)【Type-R】 0.527%(変動金利型) 31万2,936円
0.914% (2年固定) 33万3,954円
1.198%(10年固定) 34万9,928円
SMBC信託銀行プレスティア 0.47%(1年見直し型) 30万9,914円
1.15%(3年固定) 34万7,196円
1.3%(5年固定) 35万5,778円
0.85%(10年固定) 33万418円

※楽天銀行住宅ローン(金利選択型)【Type-R】は最優遇金利
※SMBC信託銀行プレスティアでは1億円以上の融資またはプレスティアゴールドプレミアムの場合で、借入時事務手数料:借入金額の2.0%(税抜き)タイプの場合
※上記返済額の試算は、住宅ローンシミュレーション:SMBC信託銀行より

また、借入金額が多いと借入金利の差がたとえ0.1%であっても返済額の差は大きくなりますし、金利が変化した際の家計への影響も大きくなるため、よりゆとりを持った資金計画を立てておく必要があることは言うまでもありません。

商品性は、変動金利と固定金利を自由に選択できる商品、事務手数料を抑えて金利が若干高めの金利タイプ、全期間固定金利型は取り扱っていないなど、さまざまです。 

例えば、共働きもしくは親子の二世帯が条件とはなりますが、「全期間固定金利型で組むのであればペアローンを活用する」「こまめに繰り上げ返済をして早めに返済するのであれば初期費用である事務手数料が安く抑えられる商品を活用する」など、金利だけでなく返済スタイルなども考慮して総合的に商品を選ぶことをおすすめします。

ちなみに、融資額の上限が1億円超でも、団体信用生命保険の保障は最高1億円までとなっているケースもあります。1億円超の住宅ローン残高がある期間に万が一のことが起こった場合、残された家族にローンが残ってしまうため、別途、不足する分の死亡保障を保険で備えておくなどの配慮も忘れずに。

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(最終更新日:2019.10.05)
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