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住宅は人生で最大の買い物です。気に入った物件を購入したいと思うのは当然ですが、新築マンションの販売価格が上昇傾向にあり、都心では5,000万円を超える物件もめずらしくないようです。ここでは、どれくらいの年収があれば住宅ローンを組んで5,000万円の物件を購入しても無理なく返済できるかを検証します。また、金利や返済期間、頭金の額によって返済負担がどれくらい変わってくるかも見ていきましょう。

5,000万円借りると毎月の返済額はどれくらいになる?

近年、新築マンションの価格が上がっており、都心では5,000万円を超える物件も珍しくないようです。5,000万円を超える物件となると、資産価値も相応に高い物件であることが期待できそうですが、いったいどれくらいの年収があれば購入できるのでしょうか。

まず、住宅ローンで5,000万円融資を受けた場合の返済額をシミュレーションしてみましょう。金利は、1.2%から2.0%まで0.2%刻みで5パターンとします。また、返済年数は、20年から35年まで5年刻みで4パターンを考えます。なお、金利タイプは全期間固定金利として、税金や諸経費は考慮しないこととします。

シミュレーションの結果は、下の表の通りです。

<5,000万円を借り入れた場合の返済額は?>

適用金利 20年返済 25年返済 30年返済 35年返済
金利年1.2% 23万4,436円 19万2,997円 16万5,454円 14万5,851円
金利年1.4% 23万8,980円 19万7,627円 17万171円 15万654円
金利年1.6% 24万3,579円 20万2,325円 17万4,969円 15万5,553円
金利年1.8% 24万8,233円 20万7,092円 17万9,849円 16万545円
金利年2.0% 25万2,941円 21万1,927円 18万4,809円 16万5,631円

同じ5,000万円を借りても、返済期間と金利によって毎月の返済額が大きく変わってくることがおわかりいただけると思います。毎月返済額が最も少ないケースで約14万6,000円(金利1.2%、返済期間35年)、最も高いケースで約25万3,000円と10万円以上も違ってきます。

5,000万円の住宅ローンを無理なく返済できる年収は?

では、どれくらいの年収があれば、5,000万円の融資を受けても無理なく返済していけるのか、気になる人が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

返済比率を考える

各金融機関では、融資審査をする際に返済比率(総返済負担率ともいいます)をチェックしています。返済比率とは、年収に占める年間の返済額の割合のことです。その計算のもとになる借入額には、住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンなど、すべての借金が含まれます。

返済比率の基準は金融機関ごとに決められており、その基準を超える額の融資を受けることはできません。たとえば【フラット35】では、返済比率は次のように定められています。

<【フラット35】における返済比率の基準>

年収 400万円未満 400万円以上
返済比率 30%以下 35%以下

民間金融機関の中には、返済比率の基準を公表していないところが多くありますが、一般的には収入に応じてその上限を35~40%に定めているようです。

適正な借入金額を考える

【フラット35】で融資を受ける場合、年収400万円の人であれば返済比率は35%以下となっているため、年間返済額が140万円となる金額までは借り入れすることができます。

ただし、この数字はあくまでも貸す側の金融機関の指標であり、実際に無理なく返済できる金額とは異なります。融資を受ける際には、「毎月滞りなく支払っていける返済額」から借入額を考えないと家計が破たんしかねません。

5,000万円を借りた場合の返済額をまとめた表を見てください。たとえば、金利1.8%、返済期間35年で融資を受けた場合、毎月の返済額は16万545円となります。この場合の年間返済額は、約192万円(16万545円×12ヶ月=192万6,540円)です。これだけの返済額を、無理なく支払っていくために必要な年収はどれくらいになるのでしょうか。

総務省統計局の「家計調査(家計収支編)」によると、2017年の二人以上世帯の消費支出は,1世帯当たり1ヶ月平均28万3,027円とのことです。年間にすると約340万円(28万3,027円×12ヶ月=339万6,324円)が、家計より消費されています。

5,000万円の住宅ローンを返済していくためには、この消費支出(約340万円)に加えて、年間返済額の約192万円を合わせた約532万円を支払っていくことになります。

さらに、自分たちの老後資金の準備や、子どもがいる場合にはその教育資金の準備をしていかなければなりません。また、「家計調査(家計収支編)」には、不動産にかかる固定資産税、マンション住まいに必要な修繕積立金や管理費などが含まれていないため、その負担も考慮する必要があります。そう考えると、少なくても年収600万円以上は必要でしょう。

また、適正な返済比率から必要年収について考えることもできます。無理なく住宅ローンの返済を続けていくためには、一般的に返済比率を20〜25%に抑えるべきといわれています。この数字は、私のクライアントでシミュレーションした結果を見ても、妥当な数値だと考えています。

先ほど確認した年間返済額の約192万円が、返済比率20〜25%に収まる年収は、約770万円から約960万円になります。

つまり、5,000万円の住宅ローンを組むには、最低でも年収600万円以上、できれば年収800万円くらいが必要といえるでしょう。

(参考:住宅ローン借入可能額を、家探し前に知ることができるサービス:家探し前クイック事前審査 

5,000万円の家を買うなら頭金はどれくらい用意したらいい?

頭金を入れれば借入額が減り、返済の負担もその分減ります。一方、あえて頭金を入れずに全額融資を受け、頭金の分を将来必要になる教育費などの準備に回したほうがいいのか、悩むところでもあります。

そこで、頭金の額で、どのくらい毎月の返済額、総返済額それに利息総支払額が変わるかみていきます。ご自宅の家計収支と照らし合わせてみてください。

<前提条件>
・住宅購入価格:5,000万円
・金利:年1.8%の全期間固定金利
・返済期間:35年

<頭金の額による毎月返済額、総返済額などの違い>

頭金の額 借入額 毎月返済額 総返済額 利息総支払額
なし 5,000万円 16万545円 約6,742万円 約1,742万円
250万円 4,750万円 15万2,518円 約6,405万円 約1,655万円
500万円 4,500万円 14万4,491円 約6,068万円 約1,568万円
1,000万円 4,000万円 12万8,436円 約5,394万円 約1,394万円
1,500万円 3,500万円 11万2,381円 約4,720万円 約1,220万円

頭金なしの場合と頭金を1,500万円入れた場合とを比較すると、毎月返済額は約4万8,000円の差になり、総利息額の差は約500万円となります。

頭金を入れれば、その額に応じて毎月返済額と利息負担額は小さくなります。また、要件を満たしていれば住宅ローン控除を受けることができますが、頭金を入れて借入額を抑えれば、その分、住宅ローン控除額は小さくなります。

頭金の額と、返済負担、それに住宅ローン控除の額を考慮して、頭金の額をいくらにするのか慎重に判断してください。

ダブルインカムで世帯年収アップ! 5,000万円の家も夢じゃない?

先ほど「5,000万円の住宅ローンを組むには、最低でも年収600万円以上、できれば年収800万円くらいが必要」とお伝えしました。一人の債務者が住宅ローンを返済する場合、ある程度の年収がなければハードルが高く感じますが、夫婦2人で返済する場合はどうでしょうか? 総務省の家計調査(2017年)によると、夫のみ有業の世帯の平均実収入は50万2,839円(年換算で603万4,068円)なのに対し、夫婦共働き世帯の平均実収入は60万8,491円(年換算で730万1,892円)。夫婦で返済をする想定なら、何とか5,000万円程度の家も手が届く印象です。

とは言え、これからお子様を…と考えている場合など、出産や育児を経て職場復帰ができるのか、今まで通りの収入を得られるのか不透明な面は否めません。共働きの体制が崩れても、無理なく住宅ローンの返済を続けることができる金額を借り入れることをお勧めします。

(関連記事:共働き夫婦がマイホームを購入する前に、考えておくべきポイントとは?
(関連記事:共働き夫婦の住宅ローンはペアローンがいい? メリット・デメリット、注意点を解説

まとめ

5,000万円の住宅を購入するために必要な年収や、頭金の考え方について、ご理解いただけたでしょうか。最も大切なことは、5,000万円の住宅購入に必要な資金を、金融機関が住宅ローンで融資してくれたとしても、毎月無理なく返済していけるかどうかはまた別問題です。

また、私のところに住宅購入の相談にいらっしゃる人の中には、「同じ年収の家庭ではどれくらいの家を購入しているのか」という質問をされる人がいます。ですが、たとえ同じ年収の人でも、家計収支はそれぞれ違うので、無理なく返済できる額は違っています。住宅ローンは、毎月無理なく返済できる額から融資を受ける額を決めることが重要なのです。身の丈に合わないお金を借りれば、返済を続けるのは難しくなりますし、最悪の場合は家計が破綻して取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。

気に入った物件が見つかると、少々予算オーバーしても「なんとかなる」と考えてしまいがちです。ですが、住宅という一生の買い物に、衝動買いは禁物です。

金利情勢や現在の家計状況はもちろん、将来の家計収支の見通しや、親からの援助の有無なども勘案して、無理のない資金計画を考えることが何よりも大切です。

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