住宅ローンの利用で必要な事務手数料とは? 金融機関を比較するポイントは?

住宅ローンを借りる際には「事務手数料(融資手数料)」「保証料」などさまざまな諸費用がかかり、金額も金融機関や商品によって異なります。事務手数料と保証料の違い、費用の面で金融機関を比較するポイントについて見ていきます。

住宅ローンの事務手数料とは? 保証料とは違うの?

保証料とは?

保証料というのは、信用保証会社の保証を受ける際に支払う保険料のようなものです。つまり、住宅ローンを借りるときに保証料を支払うことで、信用保証会社は実質的に住宅ローンの連帯保証人になってくれる、というわけです。

もし、何らかの理由で住宅ローンの返済が滞ると、金融機関は信用保証会社に住宅ローンの返済の肩代わりを求め、その後は信用保証会社が借入債務者の代わりに金融機関に返済を行うのです。ただし、住宅ローンの債務者は返済を免れるわけではありません。今度は金融機関に対してではなく、信用保証会社に対して返済をすることになるのです。   

金額は借入期間や融資額、審査結果、物件の担保評価などによって決まります。なお、保証料は金融機関によって対応が異なります。メガバンクや地方銀行、信用金庫などは保証会社をつけて保証料を取るところが多いですが、住信SBIネット銀行やソニー銀行などのネットバンクや【フラット35】、新生銀行、イオン銀行などは保証料がかかりません。

ちなみに保証料の一括払いをしていた場合、繰り上げ返済や借り換えをすると、未経過期間分の保証料は「戻し保証料」として返ってきます。いくら返ってくるかは、金融機関、信用保証会社によって異なりますが、一定の計算式で計算された金額から事務手数料(一般的には1万800円程度)を控除した残額を受け取ることができます。

事務手数料とは?

一方で事務手数料(融資手数料)とは、金融機関に対して支払う融資手続きの手数料といえます。事務手数料は金額の差はかなりありますが、どの金融機関でもかかります(キャンペーンで割引や無料にする金融機関もあり)。

なお、事務手数料は、金融機関への手数料として支払うものですから、保証料のように借り換えや繰り上げ返済をしても戻ってこない点には注意が必要です。

事務手数料には2種類のタイプがある

事務手数料の支払い方には、大きく分けて2タイプ「定額型」と「定率型」があります。

定額型は利用者一律に同じ金額がかかるタイプで金額の相場は3万2,400円、5万4,000円、10万8,000円などです。一方で、定率型は融資額×1.62%や2.16%など融資額に対して一定の割合でかかるタイプです。これは金融機関によって取り扱いが変わるのでしっかりチェックしておきたいところです。

当然、事務手数料そのものの絶対的な金額で考えると、定率型の方が大きくなりますが、定額型よりも定率型の方が住宅ローンの適用金利は低く設定されています。

したがって、金利負担を減らして少しずつ繰り上げ返済も活用するのであれば定率型、借入当初かかる費用を抑えたいのであれば定額型を選択する、あるいは事務手数料は繰り上げ返済をしても返って来ないので、当初は30年で借入れしても15年程度で繰り上げ完済する、というのであれば定額型を利用するなど、返済スタイルや金利も含めてトータルでどちらが自分にとって有利かを考える必要がありますね。

 また、一般的に、「事務手数料や融資手数料が高いと保証料がかからない」「保証料がかかると事務手数料や融資手数料が安い」という傾向があります。保証料、事務手数料、金利などトータルで商品選択をすることが重要です。以下に主な金融機関の手数料一覧表を載せてありますので、参考にしてください。

 【主な金融機関の手数料一覧表】諸費用の差はトータルで考える!

金融機関 保証料 事務手数料 一部繰上げ返済手数料
三菱UFJ銀行 標準相場:61万8,300円 (※1) 保証会社手数料:3万2,400円(消費税込) ネット:無料
テレビ窓口・電話:5,400円
窓口:16,200円
新生銀行 不要 プランにより異なる
5万4,000円(消費税込)
10万8,000円(消費税込)
16万2,000円(消費税込)
無料
イオン銀行 不要 定額型:108,000円(消費税込)
定率型:融資金額×2.16%(消費税込)
※定額型の場合には、金利を0.2%上乗せ
無料
フラット35(アルヒ株式会社) 不要 融資金額×2.16%(消費税込)(スタンダード) 無料
住信SBIネット銀行 不要 融資金額×2.16%(消費税込) 無料

※1 3,000万円、35年間借り入れ、金利変動金利0.625%、元利均等返済で借り入れしたと仮定し算出
※2018年9月時点、筆者調べ

事務手数料や保証料以外にどんな手数料がかかる?

住宅ローンを借り入れる際には、事務手数料や保証料以外にも様々な諸費用がかかります。

まず、ローンを借りる金銭消費貸借契約書に貼付する「印紙代」(融資額1,000万円超 5,000万円以下の場合2万円)、そして抵当権を設定する際には「登録免許税」として法務局(登記所)に納める費用も必要です。

通常は「債権額(融資額)×0.4%」ですが、現在は特例措置として税率が0.1%に軽減されています(例:3,000万円の借り入れであれば3万円)。

また、同時に司法書士に支払う「抵当権設定登記手数料」が必要です。この登記手数料は通常、金融機関が指定をしている司法書士を利用しますが、金額の相場は6~10万円程度です。(※なお上記以外に建物にかかる「所有権保存登記」や「所有権移転登記」にかかる費用も司法書士への支払いとして必要になります)

 これら印紙代、抵当権設定費用、登記手数料は金融機関によって差が出る費用ではありませんので、やはり「事務手数料」「保証料」「繰り上げ返済手数料」の3つが商品を選択する際にポイントとなる費用といえるでしょう。

合わせて、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンが全額弁済される「団体信用生命保険」(以下団信)の保険料も確認が必要です。住宅ローンの金利に含まれていることが多く、別途保険料を支払う必要はありませんが、保険料を上乗せして保障範囲を広げたい場合や、団信の加入が任意の金融機関を利用する際は、各種条件を確認しておきましょう。

 住宅ローンを比較する際にはコスト、金利、サービスなどを総合的に判断する!

 金融機関によって保証料の有無、事務手数料のかかり方、繰り上げ返済手数料などコストのかかり方はさまざまで、どのタイプが良いかは融資額や返済スタイルなどによって変わります。

たとえば、当初30~35年と長期間で借り入れしたとしても、早い段階での借り換えや完済を視野に入れているのであれば、「保証料が高くても事務手数料が安い、完済手数料が安い」住宅ローンを選択することをオススメします。

あるいは、今は子どもの教育費がかかるので毎月の返済は抑えておきたいけれど、余裕ができればこまめに繰り上げ返済をしていきたい、というのであれば「事務手数料がかかっても保証料がかからず金利が低い、かつ一部繰り上げ返済手数料が無料」である商品がオススメです。

【住宅ローン選びの参考例】

返済スタイル 選ぶ住宅ローン
早い段階での借り換えや完済をしたい 事務手数料や完済手数料が安いタイプ
子どもの教育費がかかるので毎月の返済は抑えておきたい 保証料がかからず金利が低い、かつ一部繰り上げ返済手数料が無料のタイプ

また、最近は商品価値を高めるために、団信に介護保障を付帯したり、家事代行サービスが受けられたりと、金利以外の付帯サービスを充実させることで、商品の魅力をアピールする金融機関も増えています。

住宅ローンを選ぶ際には、金利や金利タイプ、借り入れ時に負担する費用だけでなく、借り入れ後の返済スタイルや付帯サービスも含めて自分にとってのメリットを踏まえたうえで比較検討しましょう。

なお、諸費用はなるべく手元の資金でまかなうことが理想ですが、もし、事務手数料などの諸費用分を手元資金でまかなうのは厳しい、というのであれば【フラット35】など一部の機関で諸費用も上乗せして住宅ローンを組むことができます。その場合には、借入額が増えるので、しっかり計画を立てることを忘れずに!

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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