この記事は、約5分で読めます

中古物件を購入する際、見た目がきれいだからと安易に契約してしまうと、後になって不具合が見つかることもあります。建物のチェックポイントをあらかじめ知っておけばトラブルを未然に防ぎ、納得して購入することができるはず。そこで、不動産コンサルティング会社のさくら事務所が、2018年6月16日(土)に「中古物件チェックポイントセミナー」を開催。ホームインスペクターの柴尾竜也さんが、後悔しない上手な中古物件購入の秘訣を解説。当日の様子をレポートします。

住宅購入時に検討する条件と、見逃しがちなポイントは?

まずは、物件を検討するポイントについて説明がありました。駅や買い物スポット、学校や公園に近いといった「利便性」、道路と敷地の高低差や海や川からの距離、周辺環境、以前は何が建っていたのかといった「立地条件」の他、「施工会社」や「工法」も多くの方がチェックするところ。「営業担当」の対応が決め手となる方もいますし、「物件価格」は検討時に最大のポイントとなるでしょう。しかし、「売却理由」は聞かない人が意外と多いのだとか。大抵は転勤や家族構成の変化が理由ですが、実は雨漏りなど建物に問題があって引っ越すケースもあるとのこと。問い合わせ時に確認しておくと良いそうです。

また、見学時には、隣地道路境界の有無や私道の有無、電柱・電線などの権利関係、ゴミ収集所の状況、テレビの映りといった近隣状況の確認が必要。設備関係も、後々水廻りのリフォームを検討する際に重要です。隣地と窓の位置関係は全ての窓を開けて周囲を確認。その他、交通量やスクールゾーンの規制といった前面道路の確認も、盲点となりやすいポイントで、一方通行などの標識も合わせて確認すると良いそうです。

契約前の打ち合わせ内容は、メールや書面に残すことでトラブルを回避

築年数が古い物件は設計図面が手に入らないケースもありますが、インスペクションをするにも、現行基準に合わせてリフォームをするにもあると便利です。一般的な平面図だけでなく、例えば木造3階建ての場合は構造計算書も必須。電話やインターネットの配管などは、設備図があればすぐに把握できます。

また、漏水やシロアリ被害といった瑕疵について売主が責任をもつ「瑕疵担保責任」の免責期間も事前に確認。中古物件の場合、築年数により免責の度合いが変わり、長くても3ヶ月程度が一般的とのこと。免責がない代わりに物件価格が安いこともあるため、現状を把握し、納得して購入することが大切とのお話でした。

その他、値引き交渉やオプションの有無、既存設備の引き渡し状況なども確認。そうした打ち合わせの内容はメールでやりとりし、証拠を残すように心がけます。電話など口頭でやりとりをした場合も「内容を忘れてしまうことがないように、メールで送ってください」とお願いをすると良いそう。不動産会社や現地、自宅での打ち合わせ内容は議事録に記録してもらうことで「言った・言わない」のトラブルを避けられるとのお話でした。

インスペクションとは、家の状態を客観的に診断する「住宅の町医者」

条件に合う中古物件を見つけたらいよいよ契約ですが、最近は「インスペクション」の結果を見てから最終判断をする人が増えているとのこと。住宅に精通したインスペクター(住宅診断士)が第三者的な立場から、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見極め、アドバイスしてくれます。さくら事務所では、厳しい研修をクリアした建築士のみが対応。また、2018年4月の宅建業法改正で説明が義務化された「建物状況調査」のみならず、かし保険の検査も合わせて行っているそうです。

インスペクションや建物状況調査は、できれば契約前に行いたいところ。しかし、売主が居住中の場合など難しいケースもあります。そのため、契約前に最低限のポイントを確認し、引渡し後に再度インスペクションを依頼される方もいらっしゃいます。

実例に学ぶ! インスペクションで見つかる不具合事例集

部屋の傾きは、水平や垂直のラインをレーザーで投影してチェックする「オートレーザーレベル」で確認できる。会場では柴尾さんが、実際の機械を使いながら解説した

ここからは、インスペクションでどのような不具合を発見し、対処できるかについて、実例写真を見ながら説明がありました。30ほど紹介された実例は、屋根のひび割れや、外壁などが劣化して手に白い粉がつく現象「チョーキング」、シロアリ被害、漏水、給排水管の劣化、床下の結露などさまざま。そうした瑕疵を見つけても、8~9割の人が物件の購入を決めているそうです。

中古住宅は、何かしらの不具合があって当たり前。事前に瑕疵が分かれば適切な対処ができますし、「売主に修理を依頼できた」「価格交渉ができた」「築浅物件のため住宅瑕疵担保責任保険の10年保証を利用し、売主が無償で補修してくれた」というケースもあるそうです。また、築15~20年以上経つと水廻りは何かしらのダメージが出ていることが多いため「リフォームの可能性を視野に入れて購入した方がいい」というアドバイスもありました。

建具や窓の開閉など、自分たちでもできるチェック方法がたくさん!

合わせて、自分たちでもできるチェック方法も伝授。「扉や窓、網戸、引き出しなど開け閉めして不具合を確認する」「ドアを45度くらいに開けたまま放置して開閉しないか確かめる」「空室の物件であれば親御さんやお子さんにも来てもらい、複数人数で歩き回ることで床鳴りをチェックする」といったアドバイスは、気軽に試すことが出来そうです。

中古物件のチェックは、傷や汚れの指摘に終始しがちですが、生活に支障を及ぼしそうな不具合を確認することが大切です。現状を正しく把握し、打ち合わせ内容は必ず書面化して記録に残すことでトラブルを回避。セミナーで得たアドバイスを参考にすれば、安心して中古物件を購入できるではないでしょうか?

取材協力:さくら事務所

関連記事

カンタンな質問でおススメ物件診断

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
斎藤若菜 住宅ライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

おすすめ記事