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分譲マンションの購入者にとって、管理組合の運営は避けて通ることができません。理事を務める順番がきて、「何をしたらいいの?」と不安に思っている方も多いことでしょう。そんな方々のために、不動産コンサルティング会社のさくら事務所が、2018年6月6日(水)に「初めてのマンション管理組合理事セミナー」を開催。マンション管理コンサルタント・マンション管理士である土屋輝之さんが、管理組合で理事を務めることになったらどんなことに気を付けたらいいのか、管理費節約のコツから居住者間トラブルの解決法まで伝授。当日の様子をレポートします。

参加者の半数以上がマンション管理組合・理事に就任!

まずは、代表取締役社長の大西さんからご挨拶がありました。現在、マンションの理事に着任中の方がどの程度いるのか、会場内で問いかけたところ、半数以上の参加者が挙手。その一方で、理事未経験者の方も参加していることが分かり「主体性を持ってマンションを運営しなければならない」という気迫が感じられました。「管理を頑張れば頑張るほど資産価値に反映される環境を一緒に作りたい」という大西さんの言葉を胸に、土屋輝之さんのセミナーが始まりました。

セミナーの講師を務めた、マンション管理コンサルタント・マンション管理士の土屋輝之さん(写真はさくら事務所提供)

もしかしたら、損をしているかも!? 管理費の見直しと節約術

セミナーは、10のテーマを挙げながら進行。最初のテーマは、多くの住民が関心を持つ「管理費のコストダウン」について。アンケートなどで住民意識をしっかりとリサーチし、住民が満足できる管理体制をととのえる重要性や、管理会社の変更は下請けの清掃会社や管理員の人柄など実際に変えてみないと分からない部分が多く、リスクが大きいという指摘もありました。

定期的に見直しが必要な長期修繕計画と、修繕積立金の増額

「長期修繕計画の見直し方法」については、管理会社と外部専門家が一緒に見直す方法が、“超”おすすめだと土屋さん。管理会社に任せてしまうと十分な見直しをしてもらえない可能性がある一方、外部専門家に依頼をするとマンションの規模によっては数百万円のコストがかかります。外部専門家に長期修繕計画をチェックしてもらうだけでも、内容をブラッシュアップできるそうです。

長期修繕計画に向けた「修繕積立金の増額」については、前半30年に対し、後半30年は概ね1.5倍以上のコストが必要とのこと。いずれは増額を提案することになるため、先延ばしにするほど後々の負担が大きくなります。長期修繕計画の妥当性を確認の上、早めに増額へ踏み切ることが重要なのだそうです。

大規模修繕工事の際に大きく差が出る? アフターサービスの活用

続いては、「アフターサービス」の話題。管理会社に任せきりのケースが多いそうですが、十分に時間をかけることができないため見落としも多く、補修工事の方法や範囲が不明瞭なことも多いそう。また、管理会社が分譲会社などの子会社である場合には第三者性が確保されていないため、客観性に欠けるという問題もあります。

土屋さんのおすすめは、お住まいのマンションと同タイプの物件に実績がある、外部の専門家に依頼する方法。ただしコストがかかるため、会社選びは慎重に行う必要があります。また、アフターサービスの期限日と内容の把握も大切。理事が1期目~2期目に変わる段階で外部専門家に依頼する予算を確保しておかないと期限に間に合わないケースが多いそうです。

割高な工事費を支払っているかも!? 大規模修繕工事と日常修繕

「大規模修繕工事」は、「大手に依頼すれば安心」と考える方も多いようですが、「工事が終わってから金額を確認したところ、相場より3割も高かった」といった声が多数寄せられているそう。抑えたコストで透明性のある大規模修繕工事を実現するため、外部の専門家にセカンドオピニオンを依頼するケースが増えているそうです。

大規模修繕工事以外にも、「日常的な修繕工事」も発生します。管理会社に見積もりを依頼して発注するケースが圧倒的に多いのですが、こちらもセカンドオピニオンを入れることで、金額や補修工事の内容・方法を検証できます。

騒音、喫煙、ペット、リフォーム・・・住民間トラブルの対処法は?

最後は、住民間のトラブルについて。「大事なのはトラブルの原因が管理規約や細則に定めがあるか否かを見極めること」と土屋さん。規約や細則の不備などが原因でマンション内の人間関係が悪くなってしまうようであれば、変更や設定を検討する必要があります。

マンション内では、騒音、喫煙、ペット、リフォーム、駐車場などさまざまなトラブルが起こり得ますが、当事者から直接事情を聴いたり、個人情報に注意しつつマンション内のトラブル発生について周知共有し、注意喚起することも、問題解決に有効なケースもあるそうです。

制限時間ギリギリまで質問が殺到! 組合理事の悩みに、その場で回答

会場はほぼ満席。参加者は熱心に聞き入る様子で、管理組合の運営に関する質問が数多く挙がりました。(写真はさくら事務所提供)

 この他にも、管理組合を円滑に運営するための「専門委員会を運営する際の注意点」や、「管理会社を変更(リプレイス)」することのリスク、そして6月に施行されたばかりの「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によるトラブル防止策など、盛りだくさんの内容でした。

長時間にわたるセミナーのラストは、質疑応答が行われました。予定時間はだいぶオーバーしていましたが、次々と手が挙がり、熱心に質問をする参加者の姿が印象的でした。

取材協力:さくら事務所

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この記事の筆者
斎藤若菜 住宅ライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

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