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非正規雇用者数は1990年代の半ば以降、緩やかに増加しています。非正規雇用は、自由な働き方ができる一方で、正規雇用よりも「賃金が低い」、「社会保険制度等の加入割合が低い」などの課題を抱えています。特に40代でシングルの方は、老後に備え、働き方や暮らし方を真剣に考える必要があります。

非正規雇用者は正規雇用者より経済的な立場が厳しい

非正規雇用者は、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託などの雇用形態で働いている人たちを指し、正規雇用者と区別されています。

非正規雇用者の数は増加傾向

厚生労働省の「『非正規雇用』の現状と課題」によると、非正規雇用者の数は1990年代の半ば以降増加傾向をたどっており、2017年の非正規雇用者数は2,036万人に達しています。雇用者全体に対する非正規雇用者数の割合は、1994年の20.3%から2017年には37.3%と約2倍に。

2,036万人の非正規雇用者のうち1,389万人が女性で、7割弱を占めています。また、35~44 歳の女性非正規雇用者数325万人のうち、配偶者との離死別を含むシングルの非正規雇用者数は 78 万人という調査結果もあり、“アラフォー”と言われる世代の独身・非正規雇用者の女性が多いことも分かります。

出所:「非正規雇用」の現状と課題:厚生労働省 P1より抜粋

非正規雇用は、自分の都合のよい時間に働けるというメリットがある反面、「正規雇用者に比べて賃金が低い」という課題があります。また、賞与支給制度や退職金制度、雇用保険、健康保険、厚生年金などの社会保険制度の適用割合も、正社員を大きく下回っています。つまり、非正規雇用者は、賞与や退職金の支給がない、失業したときに失業手当を受給できない、老後に老齢厚生年金が受給できないことがあるなど、正規雇用者よりも経済的に厳しい状況に置かれているのです。

40代シングルの非正規雇用者は老後のお金に対策を

非正規雇用者でも、配偶者が正規雇用者の場合や、既に経済的な基盤を築いている定年退職後の方、あるいは、学生や20代の方でこれから正規雇用者として経済的基盤を作っていく方など、心配のいらない方も多いでしょう。

しかし、老後を意識し始める40代に入っても蓄えがほとんどなく、老後にかかる費用をどのように工面するか決めていないというシングルの非正規雇用者は、将来のために、現在の働き方や暮らし方を見直してみてはいかがでしょうか。

たとえ、現在の毎月の収支が黒字で問題なく生活できていても、老後にお金に困る事態に陥る可能性があります。そうならないためにも、長期的なライフプランを立てて今から対策を講じる必要があります。

収入面でのポイントは、安定収入ができるだけ長く続く雇用形態の選択

40代でシングルの非正規雇用者が、一生涯お金に困らない生活を送るための収入面でのポイントは、「安定的な収入ができるだけ長く続く正規雇用者に転換すること」です。

正規雇用者になれば、賃金の水準が上がり、賞与も受け取ることができます。また、60歳の定年を超えても65歳までは仕事を続け収入を得ることができます。厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査結果」によると、75.5の企業に退職給付制度があり、定年時には退職金を受け取れます。

厚生年金の加入が老後の家計に大きく影響する

また、正規雇用者は厚生年金に加入するため、65歳からの公的年金は老齢基礎年金(国民年金)に加えて、老齢厚生年金も受け取れます。老齢厚生年金は現役時代の加入期間が長いほど、また報酬が多いほどたくさん受け取れるため、非正規雇用者より給与や賞与の水準が高い正規雇用者が有利です。

なお、厚生年金は老後の年金だけでなく、現役時代に、一定の障害状態になったときにも年金を受け取れるため、万が一のときのセーフティネットの役割も果たします。公的年金は一生涯受け取ることができるだけに、厚生年金の有無とその金額は老後の家計に大きな影響を及ぼします。

まずは、現在の状態が今後も続いた場合に老後にいくら公的年金が受け取れるか、日本年金機構の「ねんきんネット」を使って試算してみてはいかがでしょう。試算した年金額で日々の暮らしができるか想像してみてください。

需要が多く人手不足の業界や職種なら正規雇用者への道も

40代まで非正規雇用だった方が、これから正規雇用に転換するのは簡単ではありません。しかし例えば、介護関係の仕事など、需要が多く人手不足の業界や職種であれば、正規雇用者になりやすいこともあります。専門の資格を取得することで、採用のハードルが低くなる場合や高い収入が得られる場合もありますので、一考の余地はあるでしょう。

もし、結婚をすれば、2人の収入で家計を支えることができます。一人暮らしと比べて生活コストを抑えることができますし、どちらかが働くことができなくなっても、パートナーが支えてくれることでしょう。相手が正規雇用の方であれば、より安定した世帯収入を得ることができますし、将来一方が亡くなったあとも、遺族には一定の条件で遺族厚生年金が支給される生活保障の仕組みもあります。「結婚願望が全くないということでなければ、将来を一緒に過ごすパートナーを見つけることを考えてみてもよいでしょう。

支出面でのポイントは、メリハリのある支出をして将来にお金を残す

家族のいないシングルの方は、自分のことだけを考えて家計管理をすればよく、誰からも何の干渉も受けないため、支出がルーズになりがちです。一方で、万が一病気やケガをした場合や老後に働けなくなっても頼る人がいないため、しっかりと備えておく必要があります。

病気やケガに備えた終身の医療保障を優先しよう

万が一の事態に備える場合、大きな死亡保障をつける必要はありません。シングルの方は自分が死亡しても一般的には経済的に困る遺族がいないため、死後の整理資金として200~300万円程度の終身死亡保険に加入するくらいでよいでしょう。それよりも優先すべき保障は終身の医療保障です。病気やケガによる入院・手術などの出費に備え、入院1日5,000円~1万円程度の医療保険やがん保険などに加入しておくのがよいでしょう。高齢になるほど病気やケガの確率が高まるため、一生涯保障される終身保障タイプが適切でしょう。

老後に備えるには、早くから貯蓄の習慣を付けなければなりません。貯蓄の最適なやり方は、手取り収入の中から毎月一定額を決めて、コツコツと積み立てる方法です。支出後の余ったお金を貯蓄するよりは、毎月一定額を先に貯蓄をし、残りを支出に振り向けるほうが計画的で着実な財産形成ができます。こうすることで毎月の支出額に枠をはめ、その中でやりくりをすると、自然と支出に優先順位を付けるようになり、メリハリのある家計になります。

効率的な資産運用による財産形成も検討を

なお、長期的な財産形成の有効な方法のひとつに、2018年からスタートした「つみたてNISA」(少額投資非課税制度)があります。毎月一定額(年間で40万円以内)を積み立てて値動きのある元本保証のない金融商品に低コストで投資をし、収益には20年間税金がかからない仕組みです。超低金利のため預貯金ではお金を増やすことができないなか、このような効率的な資産運用で増やすことも考えてはいかがでしょうか。

65歳から30年間の生活費不足額の累計は1,800万円にも!

現在は、男性は4人に1人、女性は2人に1人が90歳以上まで生きる時代です。したがって、60歳以降30年~35年は生きると想定した上でマネープランを立てないと安心できません。公的年金の受給がスタートする65歳までは勤労収入の範囲で暮らすことを前提とした上で、その後の公的年金で足りない金額の累計が65歳までに蓄える目標額の目安になります。例えば、公的年金だけで足りない額が月5万円だとすると、65歳から30年間の不足額の累計1,800万円が目標額の目安です。

40代でシングルの非正規雇用者は、収入と支出の両面から、大きな見直しをする必要があります。人手不足と言われる今は、正規雇用者に転換して安定収入を長期的に得るチャンスでもあります。老後の暮らしを想像して収支の見積もりを立て、貯蓄目標額を設定して着実に財産形成をするプランを作ってみてはいかがでしょうか。

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この記事の
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
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FPオフィス ワーク・ワークス代表

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