この記事は、約8分で読めます

住宅ローンの低金利が続く中、住宅ローンの借り換えを検討する方も多いでしょう。借り入れ時の金利と比較して、どのくらいの金利差があれば借り換えメリットがあるのか気になるところです。今回は金利差0.5%でも借り換えメリットがあるのか検証してみました。

住宅ローンの借り換えでどんなメリットがあるの?

住宅ローンの借り換えを行うことで得られるメリットは3つの視点で考えましょう。

メリット1

1つ目は現在より低い金利に借り換えることで、“毎月の返済額を減らせること”です。例えば、当初ローン借り入れ2,800万円・年利1.5%・35年で組んだ人が、ローン残高が2,500万円、残りの期間が25年のときに年利1.5%から1%に借り換えると、毎月の返済額は9万9,984円から9万4,218円に減ります。金利が0.5%下がるだけで毎月5,766円の返済額が減ります。教育費がたくさんかかる時期や、老後収入が減ってからも返済が残る場合などに有効です。毎月の返済額を減らすことで教育費や生活費にお金を回すことができます。

メリット2

2つ目は、“諸費用を含んだ総返済額でメリットが出ること”です。前述したローンの条件で借り換えると、元利金の総支払額は2,999万5,049円から2,826万5,282円になり、差額の約173万円分の利息が減ります。ローンを借り換えるためには手数料や保証料などの費用がかかりますが、その諸費用が173万円以下であれば総返済額を減らすメリットがあります。

メリット3

3つ目は、“金利タイプによる安心感”です。いくら金利が低くなるからといって、現在全期間固定金利で借りているのに、安易に変動金利に借り換えるのは禁物です。家計に余裕があり、残高が少ない、返済期間が短いなどの条件がそろっていれば、金利が上がるリスクを引き受けて借り換えて良いでしょう。

しかし、「今後教育費が増える方」や「収入が減る見込みのある方」は目先の金利だけでなく、安心して返せる固定期間が長い金利を選ぶ視点が必要です。たとえば金利メリットが出なかったとしても、年利1.175%の変動金利から1.35%の全期間固定金利に借り換えをするという考え方もあります。2,500万円を25年返済で借り換えた場合、借り換え後の毎月の返済額は2,000円程増えますが、金利が上昇しない安心を得られます。

このように、借り換えでは単に金利を低くするだけではないメリットもあります。しかし、ここからは毎月の返済額や総返済額を減らす借り換えメリットを得るためには、どのような条件があればいいのかを考えていきたいと思います。

金利差0.5%でも借り換えメリットはある?

従来、借り換えメリットが出る条件は「ローン残高1,000万円以上、残年数10年以上、金利差1%以上」と言われていました。本当にこの基準が正しいのか、今回は金利差が0.5%で借り換えメリットを試算していきたいと思います。ローンを借り換えるための諸費用は、条件をあわせるためにここでは入れず、別途解説します。総支払額の差の範囲内で借り換えの諸費用が納まればメリットが出ると考えてください。

金利差0.5%で借り換えメリットが出る条件

【1】ローン残高1,000万円を元利均等返済、年利1.5%から1%に借り換えた場合

 返済期間  <現状>毎月返済額  <借り換え後>毎月返済額  <現状>総支払額  <借り換え後>総支払額  総支払額の差
 15年  6万2,074円  5万9,849円  1,117万3,280円  1,077万2,812円  ▲40万468円
 10年  8万9,791円  8万7,604円  1,077万4,922円  1,051万2,432円  ▲26万2,490円

※総支払額内訳に団信保険料、諸費用は含めず
※住宅金融支援機構ホームページ:借り換えシミュレーションで試算

金利差0.5%で1,000万円を借り換えた場合、返済期間15年だと元利金の総支払額は約40万円少なくなります。借り換えの諸費用が40万円以下であればメリットが出ます。

また、残りの期間が10年であれば約26万円のメリットとなります。総支払額の差の範囲内で諸費用が納まれば借り換えメリットは出ます。

残高が多く、残期間が長いほどメリットは大きい

ローン残高が1,000万円より多く、残りの返済期間が長いほど、0.5%の金利差でも大きなメリットが出ます。

現在のローン残高が2,500万円で、返済期間が25年/20年/15年残っている場合と、ローン残高が2,000万円/1,500万円で返済期間が20年/15年/10年残っている場合で試算してみました。

【2】年利1.5%から1%の借り換えメリット(元利均等返済)

 現在のローン残高  返済期間  <現状>総支払額  <借り換え後>総支払額  総支払額の差
 2,500万円  25年  2,999万5,049円  2,826万5,282円  ▲172万9,767円
 20年  2,895万2,604円  2,759万3,543円  ▲135万9,061円
 15年  2,793万3,352円  2,693万2,165円  ▲100万1,187円
 2,000万円   20年  2,316万2,045円  2,207万4,815円  ▲108万7,230円
 15年  2,234万6,658円  2,154万5,718円  ▲80万940円
 10年  2,154万9,909円  2,102万4,926円  ▲52万4,983円
 1,500万円   20年  1,737万1,520円  1,655万6,065円  ▲81万5,455円
 15年  1,675万9,968円  1,615万9,256円  ▲60万712円
 10年  1,616万2,412円  1,576万8,683円  ▲39万3,729円

※総支払額内訳に団信保険料、諸費用は含めず
※住宅金融支援機構ホームページ:借り換えシミュレーションで試算

0.5%の金利差でも2,500万円の残高があれば残期間15年でも100万円以上のメリットが出ます。1,500万円の残高で残期間が10年でも40万円弱の金利メリットが出ることがわかります。

住宅ローンの借り換えで注意したい“諸費用”

元利金の総返済額でのメリットが出ても、借り換えにはさまざまな諸費用がかかります。

住宅ローンの借り換えにかかる諸費用の内訳は、印紙税、保証料、事務手数料、抵当権の設定や抹消の費用、司法書士への手数料などです。金融機関ごとに大きく異なるのは保証料と事務手数料です。

保証料は、住宅ローンの返済が万一できなくなったとき、契約者に代わって全額を金融機関に返済してくれる保証会社に支払います。金融機関の中には保証会社を付けず、金融機関が直接返済を保証する会社もあります。この場合、保証料はかかりません。

もう一つ金融機関ごとに大きく異なるのが事務手数料です。ローンの借換額にかかわらず一律の定額型と、借換額の○%といった定率型の2種類あります。ローン借り換えのメリットを試算するときは必ず諸費用を含んだ総返済額で比較が必要です。

たとえば、2,500万円を25年返済年利1.5%から1%に借り換える場合の諸費用がいくらかかるかを試算してみました。この場合の諸費用を入れない借り換えのメリットは約173万円ですので、諸費用と173万円との差額がメリットとなります。

【借り換え時諸費用概算例:残高2,500万円・25年返済・金利1.5%→1%へ借り換える場合】

 <保証会社あり>定額型の例  <保証会社なし>定率型(2.16%)の例
 抵当権設定関連費用  15万7,530円  抵当権関連費用  15万5,000円
 保証会社事務手数料  3万2,400円  金融機関事務手数料  54万円
 保証会社保証料  43万1,350円  保証会社保証料  0円
 印紙税  2万円  印紙税  2万円
 固定金利手数料(固定金利を選択する場合)  1万800円  -  0円
 合計  65万2,080円  合計  71万5,000円

※筆者調べ

諸費用は約65万円から72万円と考えると100万円以上の借り換えメリットは出そうです。

では残高1,000万円で残りの期間10年の場合0.5%の金利メリットで借り換えた場合の諸費用はいくらになるでしょう。

【借り換え時諸費用概算例:残高1,000万円・10年返済・金利1.5%→1%へ借り換える場合】

 <保証会社あり>定額型の例  <保証会社なし>定率型(2.16%)の例
 合計  約23万円  合計  約32万円

※筆者調べ

保証料あり・定額型の例で約23万円、保証料なし・定率型で約32万円でした。この条件で諸費用を入れない借り換えメリットは約26万円でしたので、金融機関によってはメリットが出なくなります。

また、金融機関によっては借り換えにかかる諸費用を上乗せした金額での借り換えが可能です。たとえば2,500万円を25年返済、1%で借り換える事例で諸費用が65万円だとすると、2,500万円に65万円を上乗せして2,565万円で借り換える方法です。諸費用分の手元資金がなくても借り換えはできますが、65万円に対する利息分が増えます。

ローンの借り換えメリットは諸費用を含めて各金融機関のホームページで試算することができます。毎月返済額、元利金の総支払額、諸費用の概算がわかりますので、住宅ローンの返済予定表を手元に用意して気になる金融機関のホームページで試算してみてください。

まとめ

金利差0.5%での住宅ローンの借り換えメリットについてさまざまな試算をしてきました。諸費用を入れた総返済額での借り換えメリットは金利差0.5%、残高1,000万円、残りの返済期間が10年というところがポイントになりそうです。「金利差1%」の条件を満たさなくてもメリットは出そうですね。まずは返済予定表を手元に用意して、自分の場合はいくらのメリットが出るのかを諸費用を含めた総返済額で試算する価値がありそうです。

ただし、借り換えには金融機関を比較するためにシミュレーションする手間や、ローン審査のための書類をそろえるための手間、申込みや契約をするための時間がかかります。借り換えメリットが小さい場合は、この労力に見合うメリットかどうかも考える必要があります。

また、冒頭の借り換えメリットの3つの視点にもどって、金利や総返済額のメリットだけでなく、現在変動金利から固定期間が長い金利に借り換えて金利上昇がない安心を得る借り換えメリットもあります。

いずれにしても、長期間家計費の中で大きな割合を占める住宅ローンの返済です。金利差1%以上などの先入観にとらわれず「総返済額」「毎月返済額」「ライフプランに合った金利タイプ」の3つの視点で、各金融機関のローンシミュレーターを使って自分の借り換えメリットを確認し、少しでもローン返済の負担を減らしましょう。

【資金計画】最新金利での住宅ローンシミュレーション>>

▼【ARUHI】全国140以上の店舗で無料相談受付中

関連記事

住宅ローン情報

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。

50代からの住まい専門FP

おすすめ記事