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「オリンピック後には景気が後退し、不動産価格が下がるので、マンションを購入するならその時まで待ったほうがいい」という話を聞くことがあります。それは本当なのでしょうか。ここではマンション価格に影響を与える4つの問題を踏まえて、これからマンション価格は下がるのか、マンションの買い時はいつなのか検証してみましょう。同時に、マンションを購入する際に注意すべき点についても解説します。

マンションの価格上昇は続いている! 年収倍率は首都圏で7倍以上

「そろそろマンションを買おうかな?」と思っていると、いろいろなメディアで「今が買い時」とか、「東京オリンピックまで待て」といった様々な情報があり、どの情報が正しいのか気になりますね。特に、「オリンピック後には景気が後退して地価も下がる。だからマンション価格も下がるはずだ」という論調は、よく耳にするのではないでしょうか。でも、本当に東京オリンピック後が買い時なのでしょうか? ここでマンションの買い時について検証してみたいと思います。

まずは、マンションの価格状況を見てみましょう。

(株)不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向2017年」によりますと、2017年に首都圏で売り出された新築マンションの平均販売価格は前年より7.6%上昇して5,908万円となりました。

バブル期の1990年以来の高値になったようです。これに対して日本の平均年収は422万円(「平成28年分民間給与実態統計調査」:国税庁)です。実に年収の14倍にもなってしまいます。

また、住宅金融支援機構がまとめた「2016年度 フラット35利用者調査」では、首都圏での新築マンションの年収倍率は7.2倍、全国平均でも6.8倍になっています。

【新築マンションの年収倍率】

出所:「2016年度 フラット35利用者調査」P10より(住宅金融支援機構)

これでは、なかなか手が届きませんね。では、この先マンション価格は下がるのでしょうか?

いつが買い時? マンション価格に影響がありそうな問題から考える

今後、マンション価格に影響がありそうな問題をあげてみると、次の4つが考えられるでしょう。

[1]2019年10月:消費税が10%にアップ
[2]2020年:東京オリンピック その後の反動景気
[3]2021年:住宅ローン減税、すまい給付金が終了
[4]2022年:生産緑地問題

それぞれの問題の概要とマンション価格に与える影響について簡単に解説しておきましょう。

[1]消費税増税

増税前の駆け込み需要でいったん市場が過熱すると考えられます。ですが、その後パッタリ売れなくなることは、前回の増税時に経験しました。今回の増税でも同じ動きが起こると考えられますので、増税後はマンションの価格も下がることが予想されます。

[2]東京オリンピック

オリンピック終了後は景気が下降することは前回の東京オリンピックでも経験しています。他の国の例を見ても同様です。そう考えると、オリンピック後の景気後退でマンションの価格も下がることが予想されます。

[3]住宅ローン減税、住まい給付金

住宅ローン減税と、住まい給付金については、少し複雑です。2019年の消費税増税の影響を緩和するため、そのタイミングでいったんは減税額を多めにしますし、給付金の額や対象者も増やします。そして、2021年にはどちらも終了を予定しています。両制度が廃止となれば、購入者のメリットがなくなるわけですから、需要が減り、マンション価格も下がることが予想されます。

ただし、住宅ローン減税は、この制度ができてから今まで、適用条件に変動はありましたが、延長を繰り返しています。景気対策のために、制度が延長される、または見直される可能性はゼロではないと考えられます。

[4]生産緑地

生産農家が都市部に所有する農地については、固定資産税を通常より減額される制度で、これが廃止される2022年には、大量に土地が市場に出てくるようになるだろうと言われています。これらの土地が住宅市場に供給されれば、マンションの価格も下がると予想されます。

以上のように、それぞれの問題について考えてみると、将来、マンション価格は下がると予想されます。ですが、これはあくまで予想であって、確実にそうなるかは誰にも断言できるものではありません。

また、マンションに限らず、不動産には地域性がありますから、すべてのマンションの価格が下がるとは限りませんし、価格が下がるとしても、そのタイミングがいつなのか、どれくらい下がるのかを正確に予測することはできません。もっと言えば、人気が二極化することで、大きく値下がりするマンションと逆に値上がりするマンションが出てくる可能性も考えらます。

つまり、マンション価格がどうなるかは誰にもわかりませんし、ましてや自分でコントロールできるものでもありません。確実に下がるとわかっていれば、価格が下がるまで待つこともできます。ですが、今後どうなるかわからないマンション価格が下がるのを待つというのは、ギャンブルのようなものと言えるかもしれません。

金利上昇リスクをどう考える? 上がる前に買うべき?

また、マンションの価格は、住宅ローンの金利動向にも影響を受けます。

現在の住宅ローン金利は、依然として非常に低い水準を保っています。そして、多くの識者が「今が買い時」という時の論拠になっています。

実際に住宅ローンを借りやすい状況は続いており、この超低金利が続く状況がマンションの価格上昇を支えていると言っても過言ではないでしょう。

現在の金利水準を考えると、この先、大きく金利が下がることは考えにくく、むしろ金利上昇のリスクを考えるべきと言えるでしょう。 ですが、金利が上がるとしたらいつ上がるのでしょうか? これも誰にも確実なことは断言できません。確かに15年以上低金利が続いていますし、政策的にも金融緩和が続きそうですが、先のことはコントロールできません。

金利が上がる前にと考えてマンションを購入しても、金利が上がらないままマンション価格が下がるかもしれません。また、仮にマンション価格が下がっても、住宅ローン金利が上昇していたらどうなるでしょうか。価格の下げ幅、金利の上がり幅にもよりますが、マンション価格が高いけれど、金利が低い今のほうが、実は買いやすかったということになる可能性もあると言えるでしょう。先のことは誰にもわからないのです。

結局、買いたいと思った時が買い時です

そう考えると、マンションの買い時はいつと言えるのでしょうか。その結論は、「あなたが買いたいと思った時」という、よく言われているところに行き着きます。しかし、これは決して無責任な回答ではありません。

マンションだけでなく、住宅を購入するタイミングは、相場や税制、政策、景気などの外的な要因で決めるのではなく、あくまで「自分軸で決めましょう」ということです。住居を購入するということは、株式や金融商品への「投資」ではありません。目先の損得勘定だけで判断してはいけないと、私は考えています。

住宅は、あなたや、あなたの家族が気持ちよく生活していく大切な空間です。ご自身とご家族のライフステージに合わせて、いつ購入して、どれだけの年月をその家で暮らしたいのかをしっかり考えることが大切でしょう。また、購入を先に延ばすのであれば、単に先送りにするのではなく、その延ばした時間をどのように活用し、住宅購入に向けてどんな準備をするのか、ご家族で冷静に検討し、判断していただきたいと思います。

ご自身とご家族で話し合い、マンションを購入したいと考えた時に、金利や物件価格、ご自身の収入や貯蓄額を総合的に判断して、その時点で取得できるベストな物件を購入することが最も賢い選択と言えるのではないでしょうか。

マンション購入で後悔しないために押さえておくべきポイント

そう言っても、マンション購入は一生に一度とも言える高額な買い物です。購入後に後悔しないポイントについても、お伝えしておきましょう。

<ポイント1>住宅購入予算を決めておく

実際に物件を見学して回ると、つい背伸びしたくなるものです。そして、住宅ローンは長期ですので、予定より数百万円高い物件を購入しても、毎月の返済額は、数千円から1万円程度増えるだけです。つい、買ってもいいのではないかと考えてしまいがちですが、ここに落とし穴があります。

一般的に住宅ローンは、返済比率(年間返済額が年収に占める割合)が30〜35%になる金額まで借りることができます。しかし、その基準ギリギリまで借りてしまうと、実際の手取り年収から返済を続けていくことは非常に厳しくなってしまうのが現実です。

一般に返済比率は20〜25%ぐらいに抑えるべきと言われています。その範囲内で予算を決めておき、背伸びをした物件は購入しないことが大切です。

なお、マンションを購入した後にも、固定資産税が毎年かかってきますし、毎月の管理費・修繕積立金がかかってきます。ローンの返済以外にもこれらの支払いが必要になることを忘れないでください。

<ポイント2>十分に貯蓄をしておこう

マンションも車と同じで、実際に購入するにはマンション自体の価格に付随して、諸費用と言われる費用が必要になります。諸費用も含めて住宅ローンで賄うことも可能ですが、その分、借入額が多くなってしまいます。そのため、審査も厳しくなりますし、返済負担も増えるので、諸費用については自己資金を用意しておくことをおすすめします。諸費用の目安は購入するマンションの価格に対して5〜7%程度(新築の場合)です。

【住宅購入にかかる費用例】

 かかるタイミングなど  費用名  金額  備考
 売買契約にかかる諸費用  印紙税  1万円  契約金額が1,000万円超、5,000万円以下の場合
 決済・引き渡しにかかる諸費用  印紙税  2万円  契約金額が1,000万円超、5,000万円以下の場合
 登録免許税  10万円程度  土地所有権移転登記建物所有権保存登記住宅ローン抵当権設定登記
 司法書士報酬  10万円程度  登記手続きを依頼した場合の報酬
 不動産取得税  数万円  固定資産税評価額×3%(軽減措置による)
 住宅ローン・保険料などの諸費用  融資手数料  数十万円  融資金額の2%(ARUHIフラット35の場合)
 保証料  無料  【フラット35】の場合
 火災保険料  10〜20万円  保証内容、保険会社による
 地震保険  数万円  保証内容、保険会社による
 引越し  引越し代  20〜30万円  

また、売買契約を締結する時に、手付金が必要な場合もあります。手付金の額は、マンション価格の5〜10%が相場です。自己資金で用意する必要があるため、その分の現金は準備をしておく必要があります。なお、手付金は引き渡し時にマンション代金に充当されます。

<ポイント3>住宅購入優遇税制を知り、活用すること

前述の「住宅ローン減税」や「すまい給付金」は適用条件が複雑ですし、毎年適用条件が変わりますので、自分はどの制度でどのくらいの金額が適用されるのか把握しておきましょう。

また、親御さんから住宅購入時に援助を受ける場合には、贈与税の特例があります。こちらも活用できれば自己資金に余裕が出ます。私も、かつてマンションを購入した時に、父親から300万円の贈与を受けて、契約の手付金にしました。

<ポイント4>資産価値を考慮する

長い人生ですから、納得して購入したマンションも、転勤などで将来売却したり、賃貸に出したりする必要に迫られることもあるでしょう。

その場合のことも考えて、できるだけ資産価値の高いマンションを購入することが望ましいと言えます。資産価値が高い物件というのは、簡単に言えば、多くの人が購入を希望する物件ということです。特に大切なのは立地です。不動産は名前の通り、動かせない資産ですから、立地を重視して選ぶことをおすすめします。

まとめ

ここで見てきたように、今後、マンション価格は下ることが予想されますが、いつどれくらい下がるのか、確実に下がるのかは誰にもわかりません。

そのため、目先の損得だけで住宅購入のタイミングを考えることはおすすめできません。マンションの買い時がいつなのかは、ご自身の「買いたい時」を重視して、外部環境に惑わされないようにすることが大事です。

そして、住宅購入を考える上で最も大切なのは予算決めです。無理のない資金計画を立てて、その範囲内でベストな物件を選ぶことをおすすめします。

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この記事の筆者
菅 正秀 不動産コンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。

大手不動産会社で中古住宅の仲介営業、地域中小建設会で注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。現在は建築にも明るい不動産コンサルタントとして活躍中。

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