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住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です。給与所得者の場合、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けることができますが、1年目については確定申告をしなければなりません。ここでは住宅ローン控除の確定申告に必要な書類をお伝えするとともに、確定申告のスケジュールや確定申告書の作成方法について解説します。期限ギリギリになって慌てないよう、早めに準備をしておきましょう。

「住宅ローン控除」を受けるには確定申告が必要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りてマイホームを購入(新築)した場合に、一定の条件を満たしていれば、10年間にわたって年末の住宅ローン残高の1%を最大控除額として、納めた税金から還付される制度です。

住宅ローン控除を受けるには、マイホームを購入した翌年に確定申告を行う必要があります。この確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得を集計して所得税の額を計算し、税務署に申告するものです。

確定申告をする義務のない人でも、給与などから源泉徴収された所得税額が、実際に納めるべき税額よりも多いときは、確定申告をすることで納めすぎた税金の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいますが、住宅ローン控除で税金の還付を受けるための確定申告も還付申告に当たります。

なお、給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合、確定申告が必要なのは1年目のみで、2年目以降は確定申告をする必要はありません。勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます(自営業者は2年目以降も確定申告が必要です)。

(関連記事:住宅ローンを借りたら確定申告をして住宅ローン控除を受けよう!

はじめての住宅ローン控除、確定申告スケジュール

では、確定申告のスケジュールを確認してみましょう。だいたいの目安を図にしたので参考にしてください。

確定申告のスケジュール

(1)確定申告の準備(10〜1月)

多くの場合、金融機関が発行する「住宅ローン残高証明書」は10月上旬から中旬に郵送されてきます(金融機関によって時期は多少異なります)。紛失してしまわないように保管しておきましょう。なお、金融機関によって初年度は翌年1月になってから発行するところもありますし、住宅ローン契約が9〜10月以降であった場合にも翌年1月に発行になることが多いので、この点は留意しておいてください。

勤務先から住宅取得資金を借り入れている場合には、勤務先に融資額残高証明書を発行してもらいましょう。

また、12月には勤務先から源泉徴収票が発行されます(勤務先によっては1月に発行されるところもあります)。その他、住民票の写し(平成28年1月以降居住の場合は、不要)、住宅や土地の登記事項証明書、売買契約書や請負契約書の写しなど、確定申告に必要な書類は早めに準備をしておきましょう。確定申告に必要な書類については改めてご説明します。

(2)確定申告期間(2〜3月)

確定申告の受付期間は、例年2月16日から3月15日までです。確定申告書を作成し、必要な書類を添付して、居住地を管轄する税務署に提出します。たとえば、平成30年にマイホームを購入したのであれば、平成31年の3月15日までに確定申告をすることになります。

さきほどお話ししたように、住宅ローン控除は還付申告に当たります。還付申告の場合、1月1日から申告ができるため、住宅ローン控除については、マイホームを購入して入居した年の翌年1月1日から確定申告することができます。期間内に忘れずに確定申告を行ってください。

(3)還付金の受け取り

住宅ローン控除で戻ってくるお金(還付金)は、確定申告を行ってから、だいたい1ヶ月から1ヶ月半後に支払われます。

還付金を受け取るには、預貯金口座に振り込んでもらう方法と、指定したゆうちょ銀行の店舗や郵便局窓口で受け取る方法の2つがあります。どちらの方法で受け取るかは、確定申告の際に指定することになっています。

なお、住宅ローン控除の確定申告が終わると、その年の10月頃に税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金特別控除証明書」(以下、「申告書兼証明書」)という書類が送られてきます。これは、2年目以降に勤務先での年末調整に必要な書類なのです。ただし、毎年送られてくるのではなく、初回に残りの年数分(9枚)がまとめて送られてきます。たとえば平成30年に住宅を購入して入居した人は、平成31年から平成38年までの申告書兼証明書が送られてきますので、大切に保管しておいてください。

2年目の住宅ローン控除、確定申告スケジュール

念のため、2年目の年末調整で住宅ローン控除を受ける際のスケジュールについても確認しておきましょう。

<年末調整のスケジュール>

年末調整のスケジュール

(1)年末調整の準備(2年目の10〜11月)

10月上旬から下旬にかけて、金融機関から住宅ローン残高証明書が送られてきます。なお、さきほどお伝えしたように、申告書兼証明書は税務署から送られてきます。

その後、11月に入ると年末調整用の書類が勤務先から配られるので、これに必要事項を記入した申告書兼証明書と金融機関が発行した住宅ローン残高証明書を添付して勤務先に提出します。その他、保険会社から送られてくる生命保険料控除の証明書など、年末調整に必要な他の書類の添付も忘れないようにしてください。

(2)年末調整(2年目の12月)

一般的には、12月の給料日に年末調整の還付金を受け取ります。勤務先によっては、1月になるところもあります。

なお、年末調整を忘れてしまった場合には、勤務先で年末調整をやり直してもらうか、確定申告をすることで、住宅ローン控除を受けることができます。とはいえ、余計な手間がかかることになってしまうので、年末調整を受けるのを忘れないようにしてください。

(関連記事:住宅ローン控除、2年目以降の年末調整をし忘れたらどうすればいいの?

確定申告の必要書類をそろえておこう

改めて住宅ローン控除の確定申告に必要な書類を確認しておきましょう。

【住宅ローン控除の確定申告に必要な書類】

必要な添付書類 取得先など
確定申告書A(給与所得者の場合) 税務署
住宅借入金特別控除額の計算明細書 税務署
住宅ローン残高証明書(融資額残高証明書) 融資を受けている金融機関、勤務先(勤務先から融資を受けている場合)
住民票の写し(6ヶ月以内のもの)※ 市区町村の窓口
給与等の源泉徴収票 勤務先
マイナンバーの確認書類
(右のAもしくはBのどちらか)
A.マイナンバー通知カード、またはマイナンバーが記載された住民票の写し等と身元確認書類(運転免許書・パスポート等)
B.マイナンバーカード
建物や土地の登記事項証明書 法務局
建物や土地の売買契約書や請負契約書の写し 不動産会社、建築会社
長期優良住宅・低炭素住宅の証明書(認定通知書の写し等) ※物件が該当する場合のみ 証明書の発行:検査機関(認定住宅の特例を受ける場合に必要)、取得先:不動産会社、建築会社
耐震基準の適合証明書または、住宅性能評価などの写し ※物件が該当する場合のみ 証明書の発行:検査機関(中古住宅の耐震性を証明するために必要)、取得先:不動産会社、建築会社

※平成28年1月以降居住の場合は、不要

・確定申告書Aと住宅借入金特別控除額の計算明細書

給与所得者が住宅ローン控除の確定申告をする場合には、確定申告書Aと住宅借入金特別控除額の計算明細書を使用します。税務署でもらうこともできますし、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

・住宅ローン残高証明書(融資額残高証明書)

すでにご説明しましたが、住宅ローン残高証明書が金融機関から郵送されます。勤務先から住宅購入資金を借りている場合には、勤務先に残高証明書を発行してもらってください。

・給与等の源泉徴収票

勤務先から発行されたもので、所得額や源泉徴収された所得税額の証明のために必要になります。

・建物や土地の登記事項証明書

法務局で取得します。仕事の都合などで平日に法務局に行けない場合は、郵送で申請ができます。郵送の場合は時間がかかるので、早めに手続きをするようにしましょう。

・売買契約や請負契約の写し

住宅を購入した不動産会社、住宅の建築を依頼した建築会社と取り交わした契約書のコピーが必要になります。

確定申告のためには多くの書類が必要になります。後から慌てることのないように、早めにそろえておくことをおすすめします。

(関連記事:秋は年末調整の季節!なぜ行う必要があるの?注意点やポイントは?

確定申告書の作成方法は?

確定申告書は、手書きで作成、もしくは国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーを利用して作成することができます。国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーでは、画面を見ながら必要事項を入力していくだけで確定申告書が作成できます。

確定申告書というと難しそうと思う人も多いことでしょう。ですが、確定申告期間中には税務署だけでなく、税務署以外の特設会場が設けられ、税務署員が確定申告の作成方法を指導したり、相談に応じたりしています。その場で確定申告書を作成することができますし、作成した申告書はその場で受け付けてもらうことも可能です。

初めてで不安な場合には、管轄の税務署もしくは特設会場に足を運び、その場で税務署の職員に確認しながら確定申告書を作成することをおすすめします。住宅ローン残高証明書など必要な書類を持っていくのを忘れないようにしてください。

確定申告書の提出方法は?

作成した確定申告書は、居住地を管轄する税務署に提出します。税務署に直接持っていくか郵送で提出することができます。また先ほどお話ししたように、税務署や特設会場で作成した申告書をその場で受け付けてもらうこともできます。

その際、提出した確定申告書は必ず控えをとっておくことをおすすめします。税務署に直接提出する場合は、その場で確定申告書の控えに受付印を押してくれます。郵送の場合でも、返信用封筒に切手を貼って同封しておけば、控えに受付印を押して返送してもらえます。

なお、e-Taxといって、インターネットを使って申告ができる仕組みもありますが、あらかじめ電子証明書を取得するなど準備が必要なので、毎年確定申告をしているという人でなければ、特に利用する必要はないでしょう。

住宅ローン控除の確定申告を忘れてしまったらどうする?

もし住宅ローン控除の確定申告を忘れてしまった場合や、忙しくて期限までに提出ができなかった場合には、どうしたらいいのでしょうか。その場合でもあきらめる必要はありません。給与所得者の場合、所得税の還付は過去5年間まで遡って受けることができます。つまり、5年以内であれば、確定申告をして住宅ローン控除を受けることができるのです。

たとえば、平成30年に住宅を購入して入居した場合、平成31年2〜3月に確定申告するのを忘れてしまっても、平成36年の12月末までに確定申告を行えば住宅ローン控除を受けることができます。詳しくは税務署に問い合わせてみてください。

まとめ

住宅ローン控除は、要件を満たせば税金の額が減らせる税務上の特典です。こうした特典は、自分で申告しなければ受けることができません。そのため、住宅ローン控除を受けるには、確定申告をする必要があるのです。

期限ギリギリになって慌てることのないよう、早めに準備を進めて余裕をもって確定申告を済ませたいですね。

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この記事の筆者
土屋裕昭 税理士 CFP 登録政治資金監査人

アラスカ生まれ。大学卒業後、一般企業勤務を経て、簿記知識ゼロから3年間で税理士試験合格。個人事業主や設立間もないベンチャー企業から上場企業まで幅広くサポート。商人気質を持った税理士(実家は新宿でお好み焼き店を営む)としてクライアントからの信頼も厚い。監修書に「いちばんわかりやすい確定申告書の書き方 平成30年3月15日締切分」、著書に「小さな会社は決算だけ税理士に頼みなさい!」「税理士ツチヤの相続事件簿」「小さな会社 社長が知っておきたいお金の実務」などがある。土屋会計事務所

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