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住宅ローンの残った家を買い換える、つまり住み替えが必要になった際、ダブルローンを組むという方法があります。これは、現在返済中の住宅ローンに加えて新たに購入する家のローンを二重に組み、2本のローンを並行して返済していく方法です。ここではダブルローンを組むための条件とそのメリット・デメリットをご説明します。また、ダブルローンと比較するために買い換えローンについても、メリット・デメリットを解説します。

住み替え時の「ダブルローン」ってどんなもの?

住宅ローンが残っているマイホームの住み替えをしたい時、ダブルローンを組むという選択肢があります。ダブルローンとは、その名前の通り、ローンをダブル、つまり二重に組むことをいいます。具体的には、現在の家の住宅ローンと併せて、新しく購入する家の住宅ローンを組むものです。

ダブルローンを組むと、当然、ローンの返済負担は大きくなります。たとえば、現在の家の住宅ローン返済が毎月8万円で、新居の住宅ローン返済額も毎月8万円だとすると、ダブルローンを組んでいる間は毎月の返済額が16万円になります。

現在住んでいる家の売却代金で住宅ローンを完済し、改めて新居用の住宅ローンを組むことができればいいのですが、必ずしもそうはいかない場合もあります。たとえば、住み替えのため新しい家を購入することを決めたけれど、現在の家の売却目処がなかなか立たないケースです。

その場合、新居用の住宅ローン融資が実行されて新居の引き渡しを受けてから、現在の住まいの売却契約を結んで、買い主への引き渡しが終わるまでの間、ダブルローンの状態になってしまいます。

【ダブルローンになる期間は?】

また、現在の家の売却目処は立っていても売却手続きが間に合わず、新居を購入して引き渡しを受ける時点では、売却手続きが終わっていないケースでも、一時的にダブルローンの状態になってしまいます。

ダブルローンを組むための条件は?

ダブルローンを組むには、当然、金融機関の審査に通らなければなりません。2本分の住宅ローン返済を無理なく続けていけるだけの返済能力が求められます。借入金額が大きくなる分、金融機関の審査は厳しくなります。

一般的に金融機関は、住宅ローン融資の要件として、返済比率(年収に対してローンの返済額が占める割合)の基準を決めています。【フラット35】を例に取れば、「年収400万円未満は30%以下」「年収400万円以上は35%以下」という基準が設けられており、この基準を満たさなければ融資を受けることはできません。

たとえば、毎月の返済額が8万円の住宅ローンを2本同時に組むと、毎月の返済額は16万円、年間返済額は192万円となります。この場合、返済比率35%以下という基準をクリアするために必要な年収は約550万円(192万円÷35%)です。

しかし、年収550万円の人が毎月16万円の返済を続けていくとなると、一時的なこととはいえ、その間の負担は相当大きなものになることでしょう。

なお、一般的に、返済比率は20〜25%に抑えるべきと言われており、毎月16万円の返済額を、返済比率20%以下に収めるために必要な年収は960万円(192万円÷20%)、返済比率25%の場合では768万円(192万円÷25%)となります。

ダブルローンを組むなら売却の目処が立っていることが望ましい

ダブルローンは返済負担が非常に大きくなります。そのため、ダブルローンを組むのであれば、現在住んでいる家の売却目処が立っていることが望ましいでしょう。

前にも触れましたが、現在の家の売却目処は立っているけれど、新居を購入して引き渡しを受ける時点では、売却手続きが終わっていない場合です。このケースであれば、ダブルローンの状態になる期間が決まっているので、家計のやりくりも問題ないかと思われます。

逆に、現在の家の売却目処が立たないままダブルローンの状態になってしまうと、いつまでその状態が続くかわかりません。家の売却にかかる期間は3ヶ月程度が一つの目安と言われていますが、市況が悪かったり、近隣で同じような物件が売り出されていたりといった場合には、半年以上かかってしまうこともあります。

また、「売却に時間がかかりそうだから、しばらく賃貸に出して家賃収入を得よう」と考える方もいらっしゃるでしょう。住宅ローンの返済に充てることができれば返済負担を軽減できそうですが、原則として、住宅ローンを返済中の家は自己居住以外の目的で利用することができません。

そのため、家が売却できない間、2本分の返済を続けなければなりませんし、返済負担が大きいからと家を売り急いでしまえば、妥協した価格で売ってしまう、つまり売却価格が相当下がってしまう可能性さえあると言えるでしょう。

ダブルローンのメリットは?

ここで改めて、ダブルローンのメリットとデメリットについて考えてみましょう。まずはメリットから見ていきます。

<メリット1>現在の家の売却と新居の購入のタイミングを合わせなくてもいい

住み替えの時、現在の家の売却タイミングと、新居の購入タイミングを合わせるのが最も難しい点の一つです。

家の売却が先に決まったとしても、すぐに新居が見つかるとは限りません。そうなると、家を買い主に引き渡してから、新しい家に入居できるようになるまでの間、賃貸などの仮住まいを確保しなければなりません。

逆に、購入したい家が見つかって購入手続きを進めたものの、現在の家の売却目処が立っていない場合には、家を売り急ぐことで相場よりも低い価格で売却することにもなりかねません。

ですが、最初からダブルローンを組むつもりであれば話は違います。新居がまだ見つかっていないからと、良い条件で家を売却できるチャンスを見送ったり、逆に、まだ家の売却目処が立たないからと理想的な新居の購入を諦めたりする必要はありません。

<メリット2>仮住まいの確保、引っ越しの負担が軽減できる

上でもお話ししましたが、現在の家を売却し、買い主に引き渡すタイミングで新居の購入手続きが終わっていないと、一時的に仮住まいを確保する必要があります。

たとえば、3月10日に現在の家を売却し、新居の購入が7月10日だった場合、その間の4ヶ月間に住む場所が必要になります。賃貸などの部屋を探すのも手間ですし、賃貸料もかかります。また、現在の家から仮住まいへ、仮住まいから新居へと2回の引っ越しが必要になります。

ダブルローンを組む場合には、仮住まいを確保する必要はありませんし、引っ越しは1度ですみます。

ダブルローンのデメリットは?

次にダブルローンのデメリットについても見ておきましょう。

<デメリット1>融資審査が厳しい

ダブルローンを組むための条件でも触れましたが、金融機関の審査を通らなければ、当然、ローンを組むことはできません。現在の家の住宅ローンが残った状態で、新たな住宅ローンの審査を受けるのですから、それだけ高い返済能力が求められますし、金融機関の審査は厳しくなります。通常の住宅ローンを申し込んだ場合と比べると、審査が通らないケースは確実に多くなることでしょう。

<デメリット2>月々の返済額が大きくなる

住宅ローンを2本組むことになるので、当然のことですが、返済額は2本分になります。たとえば、40歳のAさんがダブルローンを組んで住み替えをするケースを考えてみましょう。

Aさんは、現在の家を購入するために、3,000万円を金利2%、返済期間35年で借り入れており、毎月の返済額は99,378円です。このAさんが、住み替えのため、新たに2,500万円の住宅ローンを、金利1.5%で組むとしましょう。返済期間は、定年退職を迎える65歳までに完済することを考えて25年間とします。この新しいローンの毎月返済額は、99,984円となり、2本のローンの毎月返済額は19,9362円と約20万円にもなります。また、仮に現在の住宅ローン残高を2,000万円とすると、一時的とはいえ、合計で4,500万円ものローンを組むことになるのです。

【ダブルローンを組んだ場合の毎月返済額:Aさんの場合】

   毎月返済額  ローン残高
 現在の住宅ローン  9万9,378円  2,000万円
 新たな住宅ローン  9万9,984円  2,500万円
 合計  19万9,362円  4,500万円

<デメリット3>住宅ローン控除は1軒分しか受けられない

現在の家の住宅ローンで住宅ローン控除を受けている人でも、ダブルローンを組んで新居を購入し、引っ越しをすると、現在の家の住宅ローンでは住宅ローン控除を受けることができなくなります。なぜなら、住宅ローン控除は自分で居住するための家のローンにしか適用されないからです。

たとえば、ダブルローンの期間が3ヶ月間あれば、その3ヶ月間に支払った現在の家のローン返済額は住宅ローン控除の対象にはなりません。ただし、要件さえ満たせば、新しい家のローンで住宅ローン控除を受けることが可能です。

ダブルローンだけでなく、買い換えローンも検討しよう

ダブルローン以外に、住み替え時に検討したい住宅ローンとして、買い換えローン(住み替えローン)があります。買い換えローンとは、自宅を売却しても住宅ローンが残ってしまう場合に利用できる住み替え専用の住宅ローンのことです。

自宅の売却代金を住宅ローン返済に充てても完済できない場合、通常、その残債は手持ちの資金で返済しなければなりません。ですが、買い換えローンを利用すれば、新たに組む住宅ローンにその残債分を上乗せして借り入れすることができるのです。

たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。

・現在の住宅ローンの残りが2,500万円
・現在の家の売却代金が2, 200万円
・2,500万円の家をフルローンで購入する

この場合、借り換えローンを利用すると、現在の家を売却しても返しきれない住宅ローン残債300万円と、新居の購入費用である2,500万円を合わせた、2,800万円を借り入れることができるのです。

【買い換えローンの仕組み】

買い換えローンのメリット・デメリット

買い換えローンのメリットとデメリットについても見ておきましょう。

・買い換えローンのメリット

買い換えローンのメリットは、住宅ローンが残ってしまう場合でも家を売却して、住み替えができることでしょう。通常、家の売却代金では返しきれない残債は、手持ちの資金で返済しなければ、家を売却することはできません。ですが、住み替えローンを利用すれば手持ちの資金を減らさずに家を売却して、住み替えができるのです。

また、多くの金融機関では、通常の住宅ローンと同じ金利で借り入れることができます。買い換えローンだからといって、金利が高くなるわけではありません。

現在の金利水準は、非常に低いので、これは大きなメリットと言えるでしょう。

・買い換えローンのデメリット

次にデメリットですが、借入額が大きくなってしまうことがあげられます。そのため、金融機関の審査は厳しくなりますし、返済の負担が大きくなってしまいます。

また、自宅の売却と新居の購入のタイミングをうまく合わせることができない場合には、仮住まいをすることになってしまいます。

まとめ

ここまで、ダブルローンとは何かということと、そのメリットとデメリットを見てきました。また、ダブルローンと比較するために、買い換えローンの内容とそのメリット・デメリットについても触れてみました。

ダブルローンは、買い換えローンと比べても借入額が大きくなり、金融機関の審査は非常に厳しくなります。また、審査が通った場合でも、一時的とはいえ、住宅ローン2本分の返済をしていくことは大きな負担になります。

ダブルローンを組めるのは、返済能力や手持ちの資金に余裕がある場合に限られるでしょう。また、それだけの資金力があったとしても、できるだけ小さい負担で買い換えができればそれに越したことはありません。そのため、私としては、ダブルローンよりも買い換えローンをおすすめいたします。

住み替えが必要になったらまずは、ダブルローンを組んだ場合、借り換えローンを組んだ場合のそれぞれの負担をシミュレーションした上で、どちらの選択をするのか検討してみましょう。

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この記事の筆者
小島淳一 ファイナンシャル・プランナー

日本FP協会AFP(R)認定者、相続診断士
住宅相談全般(購入・リフォーム・ローン)の他、保険や相続、老後・教育資金形成、資産運用のコンサルティングを手掛ける。各種セミナー講師としても活躍中。
FP相談のライフワーク

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