【フラット35】なら諸費用ローンも住宅ローンの金利で借り入れ可能! どちらがお得か総返済額を比較

今まで【フラット35】では住宅ローンを借り入れする際、住宅購入価額しか借り入れできませんでした。しかし2018年4月からは家の諸費用分をプラスして借り入れする事ができるようになりました。諸費用分も住宅ローンで借りられることで、どんなメリットがあるのかを見ておきましょう。

購入時にかかる諸費用とは

住宅を購入する時には、土地や建物の価格以外にかかる諸費用があります。どんな諸費用がかかるかは購入する物件によって異なります。まずは、物件ごとにかかる諸費用について確認しておきましょう。なお、土地を購入して家を建てる場合は、土地の個性や建物により諸費用が大きく変わりますのでここでは除外します。

【3,000万円のローンを1人で組んで4,000万円の物件を購入した時の諸費用イメージ】

  諸費用 新築戸建て 新築マンション 中古戸建て 中古マンション
ローン諸費用      ローン契約書印紙代 20,000円
融資手数料 定額型:3万円+消費税など
定率型:2%+消費税なら64.8万円など   
保証料 保証会社による。概算で60~80万円程度が多い。金融機関が直接保証するローンや【フラット35】は不要
抵当権:登録免許税 融資額の1/1,000 (住宅の軽減税率が使えた場合)     
司法書士報酬 5~10万円程度   
団体信用生命保険料  【フラット35】は金利上乗せ、一般的に金利に含まれている   
 ローン諸費用合計(概算)  20万円~140万円程度    
保険  火災保険料 地域や建物の構造面積、補償内容等によって異なる。保険期間最長10年
地震保険料 都道府県や建物の構造により異なる。東京都・木造建築・保険金額1,000万円で年間保険料32,600円(建築年等による割引あり)。1年、または5年契約可能
火災・地震保険料(例) 1年契約4万円程度~、10年契約20~50万円程度
売買契約関係諸費用    売買契約書印紙代 20,000円   
仲介手数料 △(売主直接売買以外はかかる) × 上限で物件価格の3%+6万円
4,000万円の物件で126万円が上限 
登録免許税 所有権の移転登記(固定資産税額の・保存登記 家屋の移転・保存登記・土地の売買による移転登記)   
司法書士報酬 10万円~など   
管理準備金 × × ×
修繕積立金 × ×
固定資産税 引き渡し日から年末までの固定資産税
不動産取得税 0~5万円程
ホームインスペクション 5~15万円程度(物件の調査を行う場合)
売買関係ほか諸費用合計(概算) 40万円程~180万円程 80万円程~ 180万円程~+リフォーム代など 180万円程~+リフォーム代など
その他 引っ越し代 20万円~
家具・家電・オプション代ほか 100万円~
合計額(概算) 100万円~500万円程 280万円~400万円程 380万円程~500万円程+リフォーム代など

※税額は軽減税率を使えた場合。国税庁タックスアンサーNo7191、No7101参照
※一般的な諸費用のイメージです。物件により別途かかる諸費用があるかもしれません。

(関連記事:住宅ローンの借り入れ時に必要な手数料や諸費用とは?
(関連記事:住宅を購入するときに必ずかかる“諸費用”とは?

思ったよりたくさんの費用がかかるなあ、と思った方も多いのではないでしょうか。諸費用は購入する物件や選ぶ住宅ローンによって大きく異なります。引っ越し代や家財をそろえることまで考えると物件価格の1割程度は準備しておきたいところです。

【フラット35】は、保証会社への保証料がかからず、ローン契約者に万が一のことがあった時、保険金でローンを完済してくれる団体信用生命保険の保険料が金利上乗せであるため、当初のローン諸費用を低くおさえられます。当初のローン諸費用は印紙代、融資手数料、抵当権の設定費用くらいです。火災保険の支払方法を年払いにしたり、引っ越し代や家具、家電を節約することでも諸費用をおさえられます。

しかし、最近では中古住宅を購入するときに耐震性など家の安全性を調査するホームインスペクションの説明が義務化の方向になるなど、新たな費用がかかるようにもなってきています。最低限必要な諸費用を現金で準備できないと、住宅ローンとは別に金利が高い諸費用ローンを借りて費用を支払わなければなりません。また、諸費用の範囲も現在の諸費用ローンでは、ホームインスペクション等住宅の安全性の調査などにかかる費用まではカバーできません。

今回の【フラット35】の商品改定では、諸費用ローンを別途借り入れしなくても住宅の安全性やエコにかかわる費用まで住宅ローンで融資を受けられるようになりました。

【フラット35】の対象となった諸費用の内容は?

2018年4月から物件の価格に上乗せして【フラット35】で借りられるようになった諸費用の内容をチェックしておきましょう。

【フラット35】に上乗せできる諸費用(借り換えを除く)

対象となる諸費用 内容
金銭消費貸借契約書に貼る印紙代 ローン契約時に必要な印紙代
仲介手数料 土地の取引や住宅購入時に発生した場合
融資手数料 ローンを契約した金融機関への手数料
司法書士報酬または土地家屋調査士報酬 住宅や土地に係る登記費用
登録免許税 登記するために納める税金
火災保険料・地震保険料 火災保険会社に支払う保険料
ホームインスペクション等にかかる費用 住宅診断士が第三者の立場で住宅の劣化や欠陥、改修時期、費用などを診断しアドバイスを行ってもらうための費用
既存住宅売買瑕疵保険付保に係る費用 中古住宅の検査と保証がセットになった住宅専門の保険会社が引き受ける保険制度。中古住宅に重大な欠陥があった時の補修費用等
リフォーム瑕疵保険付保に係る費用 リフォーム時の検査と保証がセットになった住宅専門の保険会社が引き受ける保険制度【フラット35(リフォーム一体型)】のみ
太陽光発電設備の工事負担金 電力会社からの工事請求書に対して支払う費用

参照:国交省すまいのあんしん総合支援サイトほか

引っ越し代や家具の購入費用までは出ませんが、売買やローンの契約、住まいの安心のためにかかる諸費用はほとんどカバーできそうです。

特に住宅の劣化や欠陥を診断するホームインスペクションや構造上の重大な欠陥を補償する瑕疵(かし)保険に係る費用、太陽光発電設備の工事負担金など、住まいの安全性やエコ住宅といった国の施策を推進する費用も入っているのが特徴的です。

諸費用組み込み【フラット35】は諸費用ローンよりどれだけお得?

それでは、諸費用を組み込んだ総額で借りられる新しい【フラット35】と従来の【フラット35】+諸費用ローンでは、どちらがどれくらいお得になるのか比べてみましょう。

【フラット35】で物件価格3,000万円を借り入れ、別途諸費用ローンを300万円借りた場合の総返済額と、【フラット35】に諸費用の300万円を組み込み3,300万円の住宅ローンを組んだ場合の総返済額を比べてみました。

【フラット35】諸費用組み込み式と【フラット35】+諸費用ローンの比較

  【フラット35】3,000万円+諸費用ローン 【フラット35】3,300万円
【フラット35】元利金総返済額 4,045万7,296円 4,450万3,003円
諸費用ローン 元利金総返済額 520万7,332円
合計返済額 4,566万4,628円 4,450万3,003円
合計返済額の差 ▲116万1,453円
毎月返済額(参考) 10万8,725円 10万5,960円

※【フラット35】は融資率9割以上、金利1.8%、35年返済で試算
※諸費用ローンはARUHIフラット35を利用した場合の諸費用ローン 金利3.5%、35年返済で試算
※諸費用ローンの当初手数料、【フラット35】の融資手数料は考慮していません

諸費用ローンを別途借りた場合より、【フラット35】に組み込んだほうが100万円以上のメリットが出ました。

諸費用ローンは35年より短い返済期間を設定することもできます。たとえば諸費用ローンは20年返済とした場合、金利も0.25%下がるため元利金総返済額は408万3,721円となり、【フラット35】との合計返済額は4,454万1,017円です。諸費用組み込みこんだ場合のメリットは3万8,014円となってしまいます。しかし、【フラット35】とあわせた毎月返済額は10万8,725円から11万3,342円となり、月々の負担は4,617円増えます。

諸費用ローンの返済期間を10年返済など短期間にすれば、諸費用を組み込んだ【フラット35】より元利金の総返済額はもっと少なくなるでしょう。ただし、月々の負担はさらに増えることになります。住宅ローンは総返済額だけではなく、毎月の返済額が家計の中で無理がないかどうかも重要な問題です。

諸費用を組み込んだ【フラット35】と諸費用ローンを選ぶポイントは、「元利金と手数料をあわせた総返済額」「毎月の返済額」「対象となる諸費用の範囲」の3つです。

また、諸費用ローンでは、借り入れできる“上限”があるものも多いため、「諸費用がいくらかかって、いくら借り入れが必要なのか」をきちんと把握することも重要です。

自分の場合は総返済額を減らしたいのか、毎月の返済額を一定の範囲に収めたいのか、ホームインスペクションや住宅瑕疵保険など安全性や太陽光発電などエコ住宅を重視したいのかなど、優先順位をしっかりと考えてから選びましょう。

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(最終更新日:2019.10.05)
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