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住宅ローンの返済中に病気やケガが原因で契約者の収入が途絶えた場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか。また、どのように対処すればよいのでしょうか。死亡や高度障害状態等に備える団体信用生命保険に加え、近年では疾病保障が付いた住宅ローンもありますが、どんな病気でも保障されるわけではありません。

団体信用生命保険の保障対象は、死亡以外では重度の障害状態に限られる

住宅ローンを借り入れするときにほとんどの人が加入する団体信用生命保険は、ローンの契約者が返済中に死亡・高度障害状態等になったとき、ローン残高分の保険金が保険会社から金融機関に直接支払われ、住宅ローンが完済される仕組みになっています。このおかげで、家族は住宅ローンの返済負担を引き継ぐことなく自宅に住み続けることができます。

多くの住宅ローンは、一般的に団体信用生命保険への加入がローン契約の条件となっており、加入しても保険料を支払う必要はありません(金利に上乗せされているため)。【フラット35】は原則加入となっていますが、未加入の選択も可能です。その場合、団信込みの金利から-0.2%の金利で借り入れすることになります。

団体信用生命保険の保障対象は以下の通りです。

【団体信用生命保険の保障対象(例)】

◯死亡
◯傷害または疾病による次のいずれかの高度障害状態
・両目の視力を全く永久に失った状態
・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った状態
・中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要する状態
・胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要する状態
・両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永遠に失った状態
・両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永遠に失った状態
・1上肢を手関節以上で失い、かつ1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った状態
・1上肢の用を全く永久に失い、かつ1下肢を足関節以上で失った状態

(「高度障害」の条件は金融機関によって異なる)

なお、【フラット35】の団体信用生命保険は、2017年10月以降の申し込み分から「高度障害」を「身体障害」に変更し、保障対象を身体障害者福祉法が定める障害等級1級・2級で身体障害者手帳の交付を受けた場合にしています。公的制度と連動させて保障対象をわかりやすくしていますが、以前から追加されたものもあれば、はずれたものもあります。

団体信用生命保険は、万が一のときにローン残債が0円になるため家族の生活保障に役立ちます。ただ、死亡以外の保障対象は、「高度障害」や「身体障害」の重度の障害状態に限定されています。したがって、このような状態に至らない場合は、病気やケガが原因で働けずに収入がなくなっても、住宅ローンの返済を免れることはできません。

疾病保障を付けると保障対象は拡大するが、一般的に保険料がかかる

近年は、団体信用生命保険でカバーできないリスクに備えられるように、多くの金融機関が疾病保障を付けた住宅ローンを提供しています。疾病保障を付けるかどうかは任意となっており、疾病保障加入時の多くの場合、月々の返済金に、保険料として0.2%~0.4%程度の金利を上乗せして負担する必要があります(返済金とは別に保険料を支払う方法もあります。また、保険料が無料の金融機関もあります)。

保障対象や保障条件は、金融機関によってさまざまですが、主な保障対象は以下の通りです。

◯がん
◯3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)
◯8大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)
◯8大疾病以外の病気やケガ
◯要介護状態

がんのみを保障するもの、3大疾病を保障するもの、8大疾病を保障するものなどがありますが、オプションとして、その他の病気やケガの保障や、要介護状態の保障を付けられるものなどもあります。また、同じがんでも、上皮内新生物を含むものもあれば、含まないものがあるなど、細かく定められています。

保障条件もさまざまです。ある疾病では診断されただけで住宅ローン残債が0円になり、別の疾病では、所定の状態が60日以上継続したと診断された場合にローン残債が0円になったりします。また、就業不能状態が1ヶ月以上12ヶ月までの間は返済金が保障され、12ヶ月を超えるとローン残債が0円になる場合などもあります。

このような疾病保障付きの住宅ローンを借り入れした方は、団体信用生命保険よりも広い保障を確保することができ、一定の就業不能状態の収入減をカバーすることができます。ただ、それでもすべての就業不能状態に備えられるわけではありません。

(関連記事:がんや3大疾病などに備えた「疾病保障付きの団体信用生命保険」は入っておいた方がよい?

借入条件の変更を金融機関に相談する! 住宅の売却も検討する!

団体信用生命保険や疾病保障で対応できない事態が起こった場合は、収入がなくなっても住宅ローンの返済を続けなければなりません。

返済が難しくなりそうなときは、滞納をする前に、借り入れしている金融機関に連絡をして、借入条件の変更ができないか問い合わせをしたほうがいいでしょう。借入条件の変更とは、返済期間の延長や、金利の減免などによって月々の返済金を減額してもらったり、一定期間返済を猶予してもらったりすることです。

なお、住宅ローンの滞納をして、滞納分の支払いをしなければ、数ヶ月後にはローンの一括返済を求められ、競売にかけられて強制的に売却されてしまいます。

借入条件の変更ができたとしても、返済義務がなくなるわけではありません。世帯の収入が回復するか、親族からの援助などがない限り、厳しい状況は続きます。もし、住宅ローンの返済が出来なくなった場合は“任意売却”(返済が難しくなりそうなときは“通常の売却”)で自宅を売却し、その代金で住宅ローンを返済することを検討したほういいかもしれません。任意売却とは金融機関の同意を得て、競売よりも高い市場価格で売れる可能性がある売却方法です。

これから住宅ローンを借り入れする方の中には、疾病保障を付けることを検討する方もいるでしょう。その際の確認ポイントは以下の2点です。

・保障の対象と条件の詳細
・保険料の総額

許容できる保険料負担の範囲で、納得できる保障を選びたいものです。

また、疾病保障を重視するあまり、住宅ローン選びの優先順位が下がると本末転倒です。まずは、住宅ローンが魅力的な金利水準やコストであるかどうかをじっくり検討する必要があります。

長期に亘る住宅ローンの返済中には、勤務先の倒産やリストラなど、病気やケガだけではない想定外の事態が起こる可能性もあります。そのようなときこそ、将来のライフプランをしっかりと検討して立案し、どのライフイベントの実現を優先するかを定めて対処する必要があるでしょう。

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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