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結婚、教育費、自動車、住宅、老後など、大きなライフイベントにはまとまった資金が必要で、一朝一夕に準備をすることはできません。インターネットで検索すればさまざまな金融商品等の情報があふれていますが、会社員の場合は、まず、社内にある制度を確認してみてはいかがでしょうか。会社には便利で有利な仕組みが設けられています。

会社の制度を使うと、計画的に「給与天引き」による積み立てができる

まずは勤務先の資金準備制度を確認してみる

人生にはいくつものライフイベントがあります。大きな支出を伴うライフイベントには、結婚、出産、子どもの教育費、住宅取得、自動車購入、リフォーム、老後などがあります。趣味や旅行、レジャーなどにお金をかける方もいるでしょう。

これらのライフイベントを実現するための費用は、金額が大きいだけに準備に時間がかかります。

インターネットや金融機関の窓口では、投資信託による資産運用や、複数の金融商品のセット販売によるキャンペーンの広告などをよく見かけます。これらを活用して資金の準備をすることもできますが、会社員の方なら、まずは勤務先の資金準備制度を確認してみてはいかがでしょうか。会社の制度は、積極的な告知や宣伝をしていないものの、多くの場合、社員にとって便利で有利な仕組みになっています。

自動的に積み立てができる「給与天引き」

会社の制度で最も優れている点は、「給与天引き」による積み立てができる点でしょう。給与や賞与のうちの一定の金額をあらかじめ自分で指定しておけば、給与や賞与を受け取る前に、自動的に積み立てられます。

社会保険料や税金が「給与天引き」になっているおかげで、決してバカにならない金額を支払っていることを意識しにくいのと同じように、資金準備も「給与天引き」にすることで、あまり意識することなく自動的に蓄えられます。天引き後の金額の範囲内で家計をやりくりしようとするようになります。

「社内預金」や「財形貯蓄」で安全に確実に蓄える

会社の制度の内容は、勤務先によって異なります。安全、確実に蓄えることができる仕組みは「社内預金」や「財形貯蓄」でしょう。

社内預金制度

社内預金制度がある会社に勤務している方は、安全・確実な貯蓄方法としてぜひ活用したい仕組みです。預金限度額に「200万円まで」「400万円まで」などの制限等があるものの、最大の魅力は金利が高いことです。労働基準法によって社内預金制度には利子をつけなければならないこととされており、現在の下限利率は0.5%です。つまり、最低でも1年で0.5%の金利が付くことになります。会社によっては、もっと高い金利を設定しているところもあります。なお、利息等には約20%の税金がかかります。

現在は、メガバンクの普通預金金利が0.001%、定期預金金利が0.01%という超低金利時代です。そんな中、0.5%以上の金利が付く社内預金はとても有利な制度です。いつでも引き出せる点も使い勝手がよいと言えるでしょう。

結婚資金、出産資金、住宅購入の頭金、旅行・レジャー費用、自動車購入費用など、どんな目的にも活用することができます。

社内預金制度で注意すべきことは、勤務先の倒産リスクです。預け入れたお金は、勤務先が管理・運用するため、万が一倒産した場合はお金が戻ってこない可能性があります。

財形貯蓄

給与天引き・賞与天引きによって勤務先の提携金融機関に積み立てられるのが財形貯蓄制度で、会社員にとっては最も馴染みのある仕組みでしょう。ただ、会社がこの制度を導入していなければ活用することができません。会社によっては「積立額の◯%を奨励金として拠出」などの補助制度を設けているところもあります。預金金利が低い中にあって、会社からの奨励金は高い利息のようなものですので、とても有利です。

財形貯蓄制度には、「住宅財形貯蓄」「年金財形貯蓄」「一般財形貯蓄」の3種類があります。

「住宅財形貯蓄」は住宅取得やリフォーム費用の準備、「年金財形貯蓄」はセカンドライフ資金の準備に適しており、目的に合った払い出しをする場合は利息等が非課税になる優遇があります。しかし、目的外の払い出しをする場合は利息等に約20%の税金がかかります。

「一般財形貯蓄」は、どんな目的で活用することもできるため、結婚、出産、旅行やレジャーなど、さまざまなライフイベント費用の準備をすることができます。ただし、利息等には約20%の税金がかかります。

【財形貯蓄制度の概要】

   住宅財形貯蓄  年金財形貯蓄  一般財形貯蓄
 対象  満55歳未満の勤労者  勤労者
 目的  住宅取得資金・一定のリフォーム資金  60歳以降の年金受け取り(5年以上20年以内)  自由
 積立方法  給与・賞与天引き
 積立期間  5年以上  原則3年以上(貯蓄開始1年経過後の払い出しは自由)
 税金  住宅財形・年金財形を合わせて貯蓄残高550万円までの利子等は非課税。ただし、目的外の払い出しは利息等に約20%の課税  利息等に約20%の課税

独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部のHPより筆者作成

積立貯蓄

勤務先が提携している金融機関に口座を開設して、給与・賞与天引きで積立貯蓄ができる仕組みです。利息等には約20%の税金がかかり税制優遇はありませんが、金融機関が金利上乗せ特典などを設けていれば、通常よりも有利になります。また、用途は問わないため、どんな目的の資金準備にも活用することができ、必要に応じていつでも払い出すことができる使い勝手の良さがあります。

(関連記事:自分の総資産額ってどのくらい?計算できるの?

「持株会」や「確定拠出年金・マッチング拠出」で長期的に財産形成をする

値動きのある資産に投資をすることで長期的な財産形成ができる会社の制度には、「持株会」や「確定拠出年金・マッチング拠出」があります。

持株会

給与天引き・賞与天引きで、定期的に定額で自社株を購入する仕組みが持株会制度です。

持株会制度を持っている多くの会社では、積立額の一定比率の奨励金を出しています。たとえば、奨励金が積立額の10%の場合、仮に社員が持株会制度を利用して毎月3万円を積み立てるとすると、会社から3,000円の奨励金が出て、合計3万3,000円で自社株を買うことができます。

株式のような値動きのある資産を定期的に定額で購入することは、相場の影響を受けにくいというメリットがあります。たとえば、毎月1万円で株式を購入する場合、株価が1,000円の月は10株購入し、株価が500円の月は20株購入することになりますが、2ヶ月の平均購入株価は666.7円(=2万円÷30株)になります。定期的に定額で購入することによって購入株価が平準化されるのです。

株式に投資をすることになるため、値動きがあり、元本保証ではないことに注意が必要です。勤務先からの奨励金を超えて株価が下落すると、メリットが帳消しになります。いつでも売却して換金することができますが、リスクがあるだけに長期の運用が適しています。なお、運用収益には約20%の税金がかかります。

確定拠出年金・マッチング拠出

確定拠出年金・マッチング拠出は、給与天引き(賞与天引きはなし)で毎月一定額を掛金として確定拠出年金に積み立て、預金や保険、投資信託を活用して財産形成をする仕組みです。

勤務先が確定拠出年金を導入し、なおかつ、マッチング拠出を導入していなければ活用することができません。

この制度の最大の特徴は、原則60歳(資格喪失)まで払い出すことができない点です。つまり、セカンドライフ資金の準備に限定した制度なのです。

その代わりに大きな税制優遇があります。積み立てる掛金の全額が所得控除になり、給与にかかる所得税・住民税が少なくなります。また、運用収益には税金がかかりません。さらに、お金を受け取るときも、一定の金額まで税金がかからない優遇税制が適用されます。優遇税制のある資金準備制度の中では、最も有利な制度ともいえます。

ただ、原則60歳まで払い出せないため、それまでに必要なライフイベント費用の準備には適していないことには注意が必要です。

まとめ

20代、30代の若い世代の方は、近い将来にさまざまなライフイベントが控えていることでしょう。ミドル層やシニア層も、目の前の家計のやりくりをしながらも、老後の生活資金の準備が気になる年代です。

老後までの長期を見据え、ライフプランを立てて、「いつ、何のために、いくら必要なのか?」を明確にし、目的に合わせた方法で計画的な資金準備をしたいものです。まずは勤務先の制度を確認し、給与天引き・賞与天引きによる効率的な資金準備方法を活用しましょう。

(関連記事:個人型の確定拠出年金、専業主婦も加入可能に?! そもそも確定拠出年金ってどんな制度?

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
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FPオフィス ワーク・ワークス代表

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